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GARDENIA NEWS 1170.6.23
バッシュ・アルカーナ議長 25日夜、首都で会見
未だ計画の殆どが明らかにならない「フィリランセス極地再開発支援政策」について、提唱者であるバッシュ・アルカーナ議長が会見を開くことが決まった。
政策の下地となる各地の調査は既に始まっており、『リィンレツィア』ルートの視察も年内を予定していることがわかっているが、具体的な内容について語られるのは今回が初めてである。
この件に関しては先日、叡力機工学を専門とするティント・ディナル氏の全面協力が大きな反響を呼び、各方面に問い合わせが殺到している。会見は、その鎮静化も狙いの内であろう。
この決定を受け、GDUは関係者を首都に派遣するとコメント。
砂海に関わる人々は勿論のこと、フィリランセス国内で注目が集まる「フィリランセス極地再開発支援政策」。
注目が集まる会見は、混迷を極めそうだ。
さて、「フィリランセス極地再開発支援政策」に関して、実際ガーデニア市民はどのように感じているのだろうか。
本誌のアンケートでは、ガーデニア在住の回答者の約八割が、アルカーナ議長の政策に不安を抱いており、その多くが「内容がわからない」、「説明不足」などと政策の不透明さに不快感を露わにしている。
その感情の根底にあるのは、やはり『粛清』という未曽有の悲劇であろう。
粛清当時、ガーデニアの五区に住んでいたと言う四十代の男性は、「粛清のきっかけになったのも、砂海開発。政策がどういうものかわからないけれど、万が一の時、襲撃されるのはガーデニア。あの時のことを思い出すと、今も震えが止まらなくなる」と語る。
かの災厄の契機については今も議論が続いており、明確に砂海開発がその引き金になったとは証明されていない。
だが当時の経緯を知る人々にとって、砂海開発が大きな懸念となることは至極当然のことであろう。
GDUは現在も議長の政策に否定的な態度を貫いており、市議会に代わってガーデニア市民の声を代弁してくれるのではないかと期待も高まっているようだ。
あの『粛清』から八年。
当事者である我々にとって、悲劇はまだ過去のものではない。
此度の会見は、反発を強めるガーデニア市民を納得させるものとなるであろうか。




