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ロストクラウン  作者: 柿の木
第一章
1/175

0、誓約

  



 我らの誓約は血と誇りを以て、女王と王冠のもとに交わされる。





GARDENIA NEWS 1170.4.1


砂海案内業界に新たなる風

 

 フィリランセスの第四都市、ガーデニア。

 砂海と共に生きるこの街でも、春の気配を感じられる方は多いのではないだろうか。

 三年前、首都高等教育機関に新たに開設された「砂海研究課程」。

 砂海の研究者や案内人の育成を目的として開設された砂海科から、この春初めて卒業生が巣立って行った。

 卒業生の多くが、砂海科で学んだことを活かすため、ガーデニアの砂海研究機関や案内業界に就職する。

 砂海科の一期生となった少年に話を聞いた。

 彼は案内業界の最大手「デザートカンパニー」に就職が決まっていると言う。


「砂海科に入るのは大変でしたが、案内人の勉強だけでなく砂海についても詳しく学ぶことが出来たと 思っています。まだまだわからないことも多いですが、まずは『タグなし』として色々なことを吸収して、いつかルレンさんのような案内人になりたいと思っています」


 この初々しくも力強い若人たちに大きな期待を寄せるのは、ガーデニア砂海案内組合(GDU)だ。

 GDUがガーデニアの統治機関となってから、案内業界の発展は迷走を続けている。

 GDUの認可を受けない案内業者が横行し、トラブルや砂海での事故が多発。

 イメージアップのために、ガーデニア市議会主導のもと砂獣退治や砂海案内のパフォーマンス化を図ったが、案内人の意識低下や実力不足などが目立つ。

 その意味でも三年間の専門教育を受けた砂海科一期生たちが吹かせる風は、砂海案内業界の暗雲を晴らす契機となってくれるだろう。

 GDUの代表たちは一期生の積極的受け入れと共に統治機関からの一部脱却を表明していることからも、一期生たちの影響は大きいと考えられる。


 あの悲劇から、明日で八年。

 脱却に関しては賛否両論あるが、あの惨劇が繰り返されぬよう、GDUとガーデニア市議会は手を取り合い、時に議論を戦わせながら歩んで行くべきであろう。


 この始まりの季節の先に、若人たちと砂海案内業界の輝かしい未来があることを願ってやまない。





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