【一斗side】
落ち込んでいる時は、一人にして欲しかった。
それなのに、大成はしつこく僕に絡んでくる。幼馴染の大成、あまり友達と遊ぶなどしない僕だけど、大成とはよく会っている。社会人になっても、建築戦隊として一緒に悪と戦っている。
大成は僕とは全く違うタイプ。不真面目でお調子者ですぐ騙される。騙されてトラブルを起こす事も多く、僕もよく巻き込まれる。でも何故かずっと友達でいる。よくわからない。
父親が代々続く建築戦隊だったから、長男の僕は自然と跡を継ぐ事になった。本当は建築戦隊なんてやりたくなかった。争いは好まない、ただ淡々と生きていけばいい。他にやりたい事もなく断る理由もないから、建築戦隊になった。父親が強かったらしいが、僕も今まで特に努力をしなくても、負けることはなかった。
それが、今日、練習試合とはいえ、初めて負けた。得意技があっさりとかわされた。
「元気出せよ。苦明寺探検しようぜ」
大成は、僕を強引に外に連れ出した。正直、余計なお世話だ。だけど、断る元気もないから仕方なく、大成について行った。
・・・・いつまで歩くのだろう。大成は新しい場所に来た事が嬉しいのか、テンションが高い。僕にはそのテンションはついていけない。
大成が鍵を取りだした・・・・いや、まさか・・・
「建築戦隊 二階建てアパートショージコーポ 家賃二万 敷礼二か月分ジャー」
どうして、いきなり変身なんかするんだ?
「いつまでも落ち込んでいて、うぜーんだよ。負けたって、また練習して強くなればいいんだよ。かかってこい」
うざいのは、どっちだ・・・。と言おうかと思った。
「・・・かかって来ないなら、オレは建築戦隊を辞める」
ドキ・・・。なんだろう、この気持ち。大成が建築戦隊を辞める?・・・これは挑発・・・だよな。建築戦隊もやりたくはなかったし、大成と一緒にいたいわけでもないと思っていたけれど・・・・・でもいざどちらも失うのかと思うと・・・・。???
大成がいてくれるなら、僕はー。
「建築戦隊 庭付き一戸建て3000万ジャー」
「負けたって、また練習して強くなればいい」
大成のこの言葉が頭から離れない。だから、新技ができた。
変身を解いた。大成が僕に駆け寄り、抱きつこうとする。
「暑いよ」
僕は反射的によけた。
落ち込んでいる時、絡まれるのも、悪くはない。大成なら。
もし今が夏でなければ、このまま、大成に抱かれていてもいいんだけど。
たかげるげ、初めての恋愛物しかもボーイズラブでした。今までBL物には興味がなかったのですが、建築戦隊の23軒目、24軒目を書いていて、キャラが勝手に動き出すという現象に見舞われました。今まで小説や漫画を書いていて、初めての事です。
建築戦隊は、家同士の戦いってどうかなという子どもたちの妄想から生まれました。家の設定だけで、中の人、一斗とか大成とかは、軽視していました。
寛子は最初、庄司寛で男性でした。寛子は建築戦隊の出番になると「うぅ腰が・・・」といつも出られないオチにするだけの為のキャラでした。レイナも同様、「子どもが・・・」と出てこないキャラのつもりでした。
建築戦隊は子どもが言っているのを、母親である私がそれなりにまとめたものです。でもこのBL編は子どもには内緒です。わざと過激な表現を使っているから、子どもには見せられません。一斗対大成の試合を毛明寺でやろうと言ったのは、原案者です。それをこんなに妄想する私がおかしいわ。
建築戦隊は小説家書き歴15年の私にとって、初めての多い作品です。
・長編(これまでの記録原稿用紙35枚、現在の建築戦隊は90枚くらい)
・男性主人公(口車家の野望以来)
・戦隊物(まともに見た事はないのに)
・恋愛しかもBL
101話まで頑張ります。これからも見てくださるとうれしいです。




