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半分ゾンビな俺のゾンビ殲滅伝記  作者: 紫亜 靡生
第一章〜呪われた体に宿るチート〜
5/8

戦闘と脱出

やっとアクションが出てきます。


「………………………。」


長い間、相坂はじっと写真をみつめていた。そして白衣の男、大住智也をチラリと再び見て。日記の最後を見直した。そして、写真を握りしめ。


「………………………………。」


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛‼︎」


突然雄叫びをあげて転がっていたイスを掴み大住の死体めがけて叩きつけた。


(ふ、ざ、け、ん、じ、ゃ、ね、え‼︎

何が羨ましいだ⁈勝手に人を道具みたいに扱って、それを羨ましいだ⁈俺はこんな体になることを望んだ覚えはねぇよ‼︎‼︎)


(死ぬ間際でもあの人、あの人…。いい加減捨てられたことに気づけよ!

お前らは捨て駒だったんだよ。何で気づかない⁈)


彼はそんな怒りを思いながら何度もイスを叩きつけた。

何度も何度も何度も何度も何度も何度も、イスが壊れても、死体がグチャグチャになってもやめなかった。


それから5分ほどイスを叩きつけ、最後に思いっきり頭に蹴りをかました。


頭はプロのサッカー選手がキックしたボールのようにもの凄い勢いで壁にめり込んだ。


「………最後の最後まで人を道具扱い。救いようのないヤツだ。」


相坂は嫌悪を露わにした顔でそう呟いた。そして脱力したようにドカっとその場に座り込み、


「ハァーー、これからどーすっかな?」


と呟いた。


(まずはどこに行くかだ。やはり家は気になる。母さんと父さんは無事だろうか……。他の連中は…まあどうでもいいや。

その次はやっぱ武器か?襲われないとしても持ってないと不安だ。それに持ってなくて人に会ったらどうやってゾンビが徘徊してる町の中を移動したのか説明できない。

あと俺の私物も気になるな。つか俺今制服だしたぶんどっかに保管されてるんだろう。)


淡々と自分の考えを頭の中でまとめていった。


「まずは探索だな。」


と呟き腰を上げ、部屋から出てみると先ほど自分が眠っていた所にはゾンビが2体ほど居た。


(やっぱ俺の事は襲わないんだな…。)


ゾンビは相坂の事など気にせず、うめき声をあげながら徘徊していた。


(………そいや俺の力ってどんくらい上がってんだろ。こいつらで試してみるか。)


近くを見渡し武器になりそうな物を探す。


(あるのはハサミと鉄棒だけか。………なんかテープないかな。)


と適当に近くにあったマスキングテープのような物で1mほどある鉄棒の先にハサミをぐるぐる巻きつけた。


すると簡易的な槍の出来上がりだ。


(今の俺にはこれで充分だ。さてと…。)


相坂は4mほど前方にいる一体のゾンビを見据え槍をしっかりと掴んで構えた。


そしてドンと思いっきり地面を蹴った。


すると…


「え?」


4mもの距離をたった一歩で来てしまったため勢いが殺しきれずゾンビと正面衝突し、


「ぐへっ」


そのままドテっと倒れこんでしまった。


「いってー…この距離をたった一歩…。こりゃますます化け物だな……ってうおっ!なんじゃこりゃ。」


目の前を見るとゾンビが壁にめり込んでおり、いたるところが吹き飛んでいた。


相坂は転んだだけで大した傷ではないのだがタックルをくらったゾンビは絶命している。相坂の今の体の頑丈さがよくわかったといえよう。


(あー…気を取り直してもう一回やるか。)


自分が化け物じみている事を再認識し少し落ち込んでる気持ちを奮い立たせ残りの一体に目を向けた。


(さっきは勢いよく相手に飛び込んだから失敗したんだ。次はしっかりと手加減しないとな。)


もう一度槍を握りしめ構えをとった。体の向きを横にし足を広げ中腰になり、再び構えの姿勢に入った。


右腕をどんどん後ろに持っていく。腕が疲れないように右手の親指と人差し指で軽く支える。


槍の上から銃のように今度は相手の胴体に狙いを定め左足に力をこめ…。


(今だ!)


足を踏み込んで前に飛び出す。前回の反省を活かしてゾンビの少し前に移動した。そのまま体を左に捻って右足を出し、その勢いで後ろで槍を持っている腕を前に突き出した。


槍は簡単にゾンビの体を体を突き抜け相坂の腕までもが貫通し、そのまま壁に激突した。


バシュゴッ‼︎‼︎


返り血を体中に浴び、槍を引き抜いた。ゾンビを見ると体に大穴が空いていた。


(さすがのゾンビもこんな大怪我を負ったら死ぬみたいだな。

つか槍の先のハサミが刃こぼれしてるし……。まあ俺には棒だけでも今は充分みたいだけど。)


ゾンビから槍を引き抜き、ビュッと振って血を払った。


「とりあえず…俺は今の自分の身体能力を知らなければならないな。

とりあえず探索がてら走るか。」


30分後


相坂は一つの部屋で体育座りをして1人でブツブツ呟いていた。怪我などをしてるわけではない。

理由は…


「何これ?俺本当何者? マジでリアルに化け物じゃん。」


相坂はあれから自分の身体能力を測るためにありとあらゆることをした。全力で走ってみたり、重たいものを持ったり、ジャンプしてみたりといったホントに軽いものだ。


が、相坂はそこでかなりの人外っぷりを発揮した。


全力で走ったら蹴った地面がめり込む、重たいものを持とうとして実験台を持ったり、ジャンプしたら思いっきり天井に頭をぶつけたり(しかもあんまり痛くない。)


もう、そんなことがあり過ぎて彼はすっかり鬱状態になった。


(……けどまあ色々発見はあったけどな。)


そう、彼は色々な物を入手したのだった。


まずはこの研究所の地図。


この研究所は地下にあり棟が5つあるらしく中央に今相坂がいる棟が1つ、その周りを囲うように棟が4つあるらしい。4つの棟は連絡通路のような物があるらしく、研究者達がここに籠城する際は連絡通路をシャッターで塞いだらしい。


が、相坂にはそんなことはどうでもよく、出口さえわかれば良かった。


あと、その連絡通路の確認がてら走り回っていても大した疲労も感じなかったのでその事もズルズル引きずってる。


次に武器。


非常用に窓を割ったりするために消防隊員とかが使う斧を2つ。刃渡りが15cmほどの包丁を2本。そして長さ2mの鉄棒を一本。

といった感じだ。


棒は背中に下げており包丁は包帯を巻きつけ、ベルトに下げていた。

斧は手に持っていた。


最後に相坂の私物だ。


これは今いる保管室に保管されてあった。スマホの電源を入れると親からの着信やメールやSNSでいっぱいだった。他にも漫画やバックなどがあったがその日は授業が無かったので食料は入ってなかった。

(SNSやメールにところどころに倉橋の名前があったけど相坂は見なかったことにした。)


(はーーー…。けどまあ襲われないってこと抜いてもたったこれだけの武器でゾンビども大量に殺せる俺も異常だな。)


そう彼が今まで通った道は、ほとんど死体で埋め尽くされている。


相坂が、町に出ないようにと配慮して片っ端から殺したのだが…正しく無双状態だった。


すると、


(んっ、まだいるな……。数は5、6体ってとこか。)


相坂は五感も更に鋭くなっているのでこんな風に耳や鼻でゾンビの気配を察知できるようになった。もちろん人間や他の動物も可能だ。本人曰く匂いが違うらしい。


(ゾンビは血臭くてすぐわかるな……。んーよし!行くかー。)


重たい腰を上げてゆっくりとゾンビがいるであろう地点に歩いて行った。


(あーいたいた。)


相坂は壁に隠れ少し顔を出してゾンビを確認した。別に襲われないから堂々と出てっていいのだが、もし普通の人間と一緒に行動する時のイメージトレーニングをしているのだ。


「スーーハーー。スーーーハーーー。」


相坂はゆっくりと深呼吸をし背中に下げてある鉄棒を取り出し


(敵は6体。ここは狭い通路だ。まずは棒を投擲してそれから………)


と、これからの行動を考えていった。


「よし、行くか。」


そういってゾンビの様子を伺い、ゾンビが重なる瞬間を狙った。


ゾンビが2体重なった瞬間、相坂は通路に飛び出て棒を思いっきり投擲した。


通常の人間が投げても威力も飛距離もないが、今の彼はZ cellによって身体能力が跳ね上がってる。

棒は弾丸のような勢いでゾンビ目掛けて飛んで行き、2体を串刺しにした。


串刺しにされたゾンビは勢い余って倒れてしまい、棒のせいでうまく身動きがとれなくなっている。


そんなことをしている間にダッシュで他のゾンビの前まで来た。ゾンビの目の前でくるりと回転をしながらその勢いを殺さず裏拳の要領で右手の斧を首筋に叩きつけた。ゾンビの頭はポーンと吹っ飛び、胴体はその場でどさっと倒れた。


(まずは1体…!)


くるりと回転しピタッと正面の方向に止まった。すぐさま両手の斧を前方に居た2体のゾンビ目掛けて投擲。斧はゾンビの首あたりに刺さり。2体のゾンビが苦しむ。


その隙に2体のゾンビの間に潜り込み首に刺さった斧を掴み思いっきり振り上げた。


ゾンビは首から頭にかけて真っ二つになってしまい絶命した。


(これで3体………って、ん⁈)


斧を手の中で回して斧を持ち直そうとしたのだが、何故か両手には斧が2本ともない。


慌てて上を見ると斧が見事に天井に刺さっていた。


どうやら振り上げる勢いが強過ぎて斧が手からすっぽ抜けして、天井に思いっきり刺さっていたらしい。


「って嘘ぉーー‼︎‼︎」


と叫び、慌てて腰に下げてあった包丁に手をかけた。


(くそー……やっぱ銃が欲しい。)


包丁を引っ張るとシュルルっと包帯がほどけ、刀身が再びダッシュをした。


ゾンビはこちらに襲いかかってはこないがこっちに気づいていた。


「っらあ!」


相坂は思いっきり地面を蹴り、壁を走った。壁を駆け上がり天井に到達し、ちょうどゾンビの真上に来た。



そこから一気に天井を蹴り上げ真下のゾンビに落下の勢いを重ねた逆手に持った包丁の2撃を首にくらわせた。


(これで4体…!)


受け身を取りながなら相手を見据える。すぐさまバックステップで一歩ほど下がりそして、棒が突き刺さっているゾンビ2体の頭が確認できる位置にきて


「よっと…!」


包丁をゾンビ2体の頭目掛けて投げつけた。


吸い込まれるように2本の包丁は2体のゾンビの頭に見事に命中した。


(6体…!殲滅完了。)


全てのゾンビの死亡を確認し、相坂は息を吐き出した。


「ふーー。あーーもう血でべったりだー。ここシャワーないのかな…。」


自分の血まみれの服を見て呟いた。


(それにしても…。こんな簡単にゾンビとはいえ人を殺せるなんてなー。)


相坂は今いる中央棟に居るゾンビをそれなりの数を殺してきた。


(元々の性格によって割り切ったのか、半分ゾンビだから人を殺す事に戸惑いを感じないのか…。どっちなのかはわからないけど……。)


顔に浴びた返り血を私物のバックにあったハンカチで拭きながら


「今はともかく外に出た方がいいな。」


いくら相坂でも食事を取らなければならない。相坂はほぼ一ヶ月何も食べていない。ずっと眠っている間は栄養剤か何かを点滴で打たれてると考えていた。


「日記の通り食料は一切無し。出口の確認はした。武器もある。

後は今の場所の確認だな。それが出来たら出発するかー。」


相坂はその場にドカッっと腰をおろしスマホのマップで現在位置を確認した。


(家に近かったらなるべく帰るか…。

あれ?以外と近い。)


どうやらこの研究所は相坂の住んでいる町から15kmくらいのところにあった。


「こっからなら余裕で帰れるな……。」


相坂はゆっくりと立ち上がり天井にぶら下がっている2本の斧を見て


「よっと…!」


ジャンプをして持ち手を掴むがなかなか抜けない。仕方ないのでコウモリの様に天井に足を着き力を込めて引っ張った。


「むむっ!…ふんぬっ!あらら?」


するとスポッと抜け相坂は頭から地面に大激突。


「あー、いったーーくもあんまないけどそれでもビックリした。」


体が丈夫なので大した怪我は無かった。



他にもゾンビから棒と包丁2本を抜き取り、包丁は包帯を再びぐるぐる巻にしてベルトに下げ、棒は背中に下げていた。


斧をしっかりと持ち出口であるエレベーターに向かった。


エレベーターに着きボタンを押した。


(これからの敵はゾンビだけではない。人間も俺の正体がバレれば俺を殺しにかかる。

いくら俺でも銃弾を頭に受ければ死ぬ………はず。とにかく町で誰かにあってそいつと一緒に居ないとな…。

非常にめんどくさいが。)


行動するのは男かせめてうんと年上の女性にしようと考えながらエレベーターに乗り込んだ。


エレベーターが到着し扉が開くとそこはボロボロな建物の中だった。


(なるほど、廃病院を改造してこの研究所を作り上げたのか。

それに確かこの病院ってガチで出る心霊スポットとして有名だったっけな。情報はあいつらが流して人を来なくさせたのか……。

どうりでバレないはずだ。)


薄気味悪い空気がただよう廃病院に好き好んで来るバカは少ないだろうしな…。


そんな事を考えながら彼は黙々と歩く。いや早歩きをする。


相坂は大のオカルト嫌いであり、心霊スポットなどというふざけた物はゴメンなのだ。


「いや、落ち着け相坂恭弥。この情報はデマだ、そうデマなんだ。あのバカどもが流したデマに違いない。

そうに決まってる。ハッハッハ……。」


段々悪化してブツブツ言いながら早歩きしだした。そしてついには


ガコッ


「ひいっっ‼︎」


突然聞こえた物音(自分の背負ってる鉄棒がひっかけて落とした物の音)で彼はもう一目散に猛スピードで建物を出ようとしました。が中々肝心の出口が見つからない。


挙げ句の果てには自分の事を追いかける幽霊なんかを勝手に想像し始め。


「あ ーーーーーーーーーー‼︎‼︎無理もう無理‼︎窓‼︎窓どこ⁈」


と窓を探し始めやっとの事で見つけた窓に全速力で突っ込んで行き。


バリィン‼︎‼︎


と荒々しく脱出した。が、当の相坂は今すぐこの病院から離れたいが為、受け身を取ってすぐに全力疾走。しかも身体能力が跳ね上がってるのでそれはもうすごいスピード。


約一ヶ月振りの外とかもうアウトオブ眼中。


周りなんて見向きもしない。いや、この場合見ないようにしているのかもしれない。


相坂の脳内では自分の事を追って来ている大量のサ◯コさんという、なんともカオスな状況が繰り広げられている。


相坂はひたすら森の中を抜け、道路に出るやすぐさま野生の勘で道を選び走り続ける。


彼が落ち着いて減速したのはそれから10分後、町まであとたったの3kmという地点だった。


「ぜー……ぜー……ぜー……ぜー‼︎」


久々の長距離走で流石にバテたのか相坂は道路の中央で大の字に寝転び一言。


「はー…はー……。夕日がキレイだ。」














































僕もオカルト嫌いなんで相坂と同じ事考えそうです笑

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