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散々婚約破棄したり私から全て奪ったりしたんだから、元夫も妹も落ちぶれてください

掲載日:2026/03/05

ふう。


流石にこんなに酷い目に遭うと、一旦まとめて整理して、ちゃんとお話ししたくなりますわね。


というわけで、まずは私が酷いやり方で婚約破棄された話からしますわ。


私はアルモンド王国の下級貴族の令嬢として生まれた。


けど私の父も母も割と様々な成果を残した結果、私は結構上流の貴族の男性とのお見合いができるようになった。


私は最初嬉しかったけど…どうやら上流貴族の中で性格が悪くてちょっと余りがちな人が私とお見合いしてるらしい。


だから性格がほんと悪くて私は嫌だと思っていた。


それなのに、私の父と母が強く、そして逆らえないように私にいかに上流の貴族と結婚すると家に利益がもたらされるかを語った上で、ロードリオという男性との結婚の話を進めてしまった。


なので、もう私は諦めることにした。


だが…ロードリオの方が婚約破棄をすることになる。どうやらロードリオは他に好きな女性がいたらしい。


なのにロードリオは、私がロードリオを嫌いすぎて婚約破棄したんだという嘘をばら撒きまくった。


私は何も言ってないのに、あいつは俺の顔が気に入らないとか言ってきたんだとか他人に話しまくってるからね?


最悪すぎる。


だけど私は社交的じゃなくてロードリオはとても社交的。


私が否定しても、どちらの情報が広まるかなんて簡単なこと。


もちろん私は、ロードリオの顔がダメで婚約破棄した女になった。


しかも私がそこまで可愛くないせいで、何様が言ってんだみたいな事を言う人もたくさん。


ムカつく…がどうしようもないし、私には味方もいない。


というか、敵が増えた。


家族だ。


私の両親は、ロードリオの言うことを信じていて、私が家族の顔に泥を塗ったと怒った。


さらに、私の妹…一番敵への変貌具合が甚だしかった人。


妹は確かに元々私を見下していたけど…私が婚約破棄されてから一気に本性を現した。


まず、私が仕立てたお気に入りのドレスやアクセサリーを軒並み持ち出した。


事実上の盗難ね。


ちなみに妹としては、もう婚約破棄された未婚確定女性なんだから、妹の私が有効活用してあげるとのこと。


多分6歳くらいでも全然正当化できてないってわかると思うけどね。


でも妹はそれで押し切って、私からもうほぼ全てのドレスとアクセサリーを持ち去った。


さらに、妹はそれでありとあらゆる社交パーティーに参加し、ハイスペの貴族の男性を狙いまくってるらしい。


そこでは、様々な嘘をついていて、私の手作りのドレスやアクセサリーも、全部自分で作ったことにしてるらしい。


あ、ちなみに隠さず偉そうにこういうことも報告してくるの。当然の権利だって言ってね。


すると、こんな上品なものを作るのであれば素晴らしいお方なのだろうと思われるとか。


妹は私よりも顔がいいからね。そう思われるんでしょう。


私そんなこと一回も言われたことないよ。ふーん。職人さんみたいだねって感じ。


世の中ムカつくもので、容姿がいい人はなんでも好意的に解釈してもらえるということだ。


それで今妹は恋が上手く行っているらしく、身分が高い人と婚約できそうだということで、両親からも大絶賛。


私はますます家族で格下でどうしようもない存在ってことになっちゃった。


そんな私は…なんと、ロードリオから嫌がらせを受けることになる。


私が妹に軒並み奪われて全然着飾るものがないと知っていながら、男性を紹介してきた。


しかもその男性は、どうしようもない人らしい。


ロードリオがどうしようもないと認定してるって…もう未知数でしょ。


怯えるしかない。


でも無理やり場を設定された。私は部屋にこもっていたのに、全部郵便で通知が来てことが進んでいったの。


どうしようもない男性と会うと設定された当日。


今行かないと私もどうしようもない人になっちゃうかなと思ったので、私はちゃんと行くことにした。


で、いざ着くと、確かにテーブルに小さい紅茶を置いて待ってくれている男性がいた。


「あ、あのー。こんにちは」


「こ、こんにちは」


私は戸惑っていたけど、向こうも全く同じだった。


もしかしたらなんだけど、相手も私と同じ目に遭って今日来ることになってしまった可能性がある…?


それだったら、どうしようもない人ってことにされた人なのであって、全然どうしようもなくはないかもしれないよね。


そう考えて、私はちゃんと話そうと思った。


けど忘れてた。


私、全然着飾ってないんだった。


だから私が、ちゃんとした格好もできないどうしようもない人だと思われる…。


うん。私側がどうしようもない人を回避することがまずできないんだった。


ごめんなさい。もうどうしようもない人でいいです。はいはい、諦めましたよ。


とりあえず、同じテーブルに座らせてもらった。


今の時間はまだ明るい午後。ゆっくり夕方になりかけているくらいの時間。


「すみません変な格好で…」


「変な格好…いえ! そうは思いません」


「私、色々事情があって着るものがあまりなくって…」


「なるほど、もっと華やかな服などもあるということでしょうか」


「はい。そういうことです」


「なるほど。となると、僕は…まずは、あなたが本当に自分からロードリオとの婚約を破棄したのかを知りたいです」


「えっ」


「ロードリオは僕のいとこなんです。そして、いつ話しても性格が悪い。嘘もつく人間です。彼が顔を理由に婚約破棄をされたと主張しても、僕はまず疑ってかかりますよ」


「わ、私、婚約破棄された側です。顔を理由に婚約をしたとかいうのは…全部嘘なんです。でも証拠はないので口で言うことしかできません」


「…僕はそれでもあなたを信用したいです。ただ…もしよかったら、その代わりに僕も信用してくれたらなと」


「ありがとうございます。ぜひ。それで行きましょう」


「僕は…そんなにどうしようもない男ではないと思うんです」


「今少し話しただけでも信用できるお話しです。それに…あなたはおそらく、復讐を企てている」


「えっ。な、なぜわかるのでしょうか」


「目が、何かを狙っている目をしています。けど、その狙う先は私でもなくて、どこか遠くです」


「それで僕が復讐をしたいのだと…」


「少し決めつけすぎたかなとも思います。けど、なんとなくそうだなと思いました。なぜって、私も復讐したいですから」


「…なるほど」


ロードリオは私たちを可哀想な者同士セットにして、また次の嘘の噂でもたてようと思っているのかもしれない。


でも私たちは結果として、復讐をしたい者同士とすぐにわかった。


それなら…協力して本格的に動くことになるでございましょう?


ただ、まだ全然相手のことを知らないので、まずは自己紹介が必要だった。


「僕はグリーレイ。今は会計関係の仕事をしています」


「私はウィンネ。布の交易関係の仕事をしていますわ」


「あまりロードリオと接点がなさそうですね。彼は専ら法律関係の仕事ですから。どういう流れで、ロードリオとの婚約の話が出たんでしょうか?」


「交易の契約を結ぶ際に少し法律は関わってくるんです。私の両親も交易関係の仕事なのですが、その時から私の両親は法律関係で権威のある貴族であるロードリオの両親に相談していたそうです」


「なるほど。それで両親同士で婚約の話が出たと…」


「はい」


「家同士の関係があるとはいえ、ロードリオと結婚しろと言われるとは…しかも酷いやり方で婚約破棄をしたことにされるなんて」


「そうなんです。私の家族もロードリオも両方悪いんです」


「散々な目に遭いましたね…」


「ちなみに私から服やアクセサリーを奪いまくってるのは妹です」


「可哀想です」


「でもきっと、グリーレイも可哀想なんでしょう?」


「まあ、そうかもしれないですね」


グリーレイは少し笑った。


グリーレイは確かにいとこだし、ロードリオに似ている。


ロードリオは自分の方が男らしくてカッコいいとかどうせ思ってるんだろうけど、グリーレイは少し冷静そうだし、はかなそうなかんじだし、それが中性的な気もして…


あ、普通にタイプかもしれない。


それは置いておこう。いや、最後にちょっと言わせてもらいますと、ロードリオとグリーレイは全然違う。


そしてその後、グリーレイの可哀想な目に遭った話をたくさん聞いた。


基本的に、ロードリオが手柄を横取りしたり、お金を奪ったり、自分が迷惑をかけた人に代わりに謝りに行かせたり…


グリーレイも法律関係の仕事が多いらしいが、その仕事で散々な目に遭っていて、さらにロードリオの無駄に作戦が練られた立ち回りのために、ロードリオがグリーレイにしていることが軒並み証拠が出ないようになっているという。


私の婚約破棄の噂と同じ状況である。


「聞いてて思いました。やはり復讐をする必要があります。そうでないと私たちは虐げられっぱなしです」


私は勢いよくグリーレイにそう言った。


「同感ですね。具体的なプランを考えましょう。僕は贅沢なので犯罪などは犯さず、スマートな復讐を望みます」


「大賛成です」


それから色々話し合った。


で、また明日も会うことにした。


そんなことを数日繰り返しただけで、無能でどうしようもない者同士が恋仲だの噂が立ち始めた。


これを面白がるのがロードリオの娯楽というわけね。


でもいい。私たちは、まだ深い関係ではないけど、素晴らしい協力関係ではある。一旦周囲の目は気にせず事を進めなくては。


「まずはロードリオの悪どさをみんなにちゃんとわかってもらわないと」


「それはそうですね。でもどうやったらいいでしょうか。普通に噂を流したら僕たちがただ悪口を言うどうしようもない人に思われてしまうと思います」


「ですよねー。難しいですけど、一個思いついたのが、どうにかしてロードリオの本性を現させる方法です。例えば、私とグリーレイだけがいる場だと思わせておいて、ロードリオが悪どく振る舞う。けれど、実は第三者…それも重要人物が少し離れて聞いているという状況を作り出します」


「その作戦で、できたらいいですね。第三者の人選が重要でしょうか。僕、もしかしたら一発逆転できる第三者を知っているかもしれません」


「本当ですか?」


「はい。実は、ロードリオは…少々マザコンなところがあります」


「ぶおおっす…」


「だ、大丈夫ですか?」


「は、はい。すみません。意外ではあったんですけど余裕で想像もできるって感じで…ちょっと性格の悪い吹き出し方をしてしまいました」


「…気持ちわかります。僕だって新鮮な気持ちでロードリオがマザコンなことに思いを馳せたとしたら、吹き出すくらいには性格が悪いです」


「グリーレイは、ちょっとくらいの性格の悪さなら許してくれるタイプですか?」


「はい。もちろんですよ。人間っていうのは、少し自分勝手な人間味がないと、生きていくことができません。ちなみにウィンネはどうですか?」


「私が元気な少女なら、飛び上がって大賛成するくらい、同じ気持ちですよ」


「よかった」


「で、マザコンということは…」


「ロードリオの悪どさを、彼のお母さんにバラすんです。しかも色々効果的な状況にして」


「なるほど!」


「実は意外なことに、ロードリオの両親は意外とまともな人なんです。でもロードリオをかなり甘やかしていたし、今でもロードリオのことを大いに愛し、無条件に信用してしまっているところがあります」


「あ、そういうタイプなんですね」


それなら、グリーレイの作戦はかなり効果がありそう。


「早速具体的な作戦の詳細を話したいです」


「よし、いろんな事を想定した素晴らしいプランを完成させましょう」


そして、私とグリーレイは色々話し合った。


まず、私とグリーレイの前でロードリオが本性を現す場をどうやって作るか。


次にそこにロードリオに知らせずにロードリオの母親をどうやって呼びつけるか。


この二つを考えなくてはいけない。


「まずは、法律関係の会議が来月にあります。ロードリオも僕も出るし聴講客としてウィンネも参加することができます」


「そこでロードリオの本性を引き出すってことですね!」


「はい。でも、ロードリオの母親をどうやって呼ぶかが思いつきません」


「うーん…例えば、何か彼女が好きなものが何かとか知っていたりしませんか?」


「アクセサリーはかなり好きで、色々と集めていたはずです。引き出し7個分くらいあったんじゃないかなと思いますよ」


「かなりの量ですね! てことは、法律関係の会議でたくさんアクセサリーが販売されればロードリオの母親も来るかも…いやそんなアクセサリーが売られることなんてことありえないじゃないですか!」


「確かに一見するとありえなさそうではありますけど…。でも参加者に裕福な人が多いので、会議の後、商談が始まることはありますよ。絵とか壺が売り買いされているのは見たことがあります」


「てことは、アクセサリーもワンチャンある…私がアクセサリーを売りに行くって手がある?」


「でも、確か妹に奪われたんでしたっけ」


「そうなんです。でもこっそり貯蓄している材料のストックはあります。今からなんとか作れば…それなりものができるかもしれません」


「じゃあそれを売りに行くとして、今回アクセサリーが売られるという噂を、ロードリオの母だけに知らせないとですね。これは僕に任せてください。彼女と多少の関わりはありますので」


「ありがとうございます」


ってことで、私が頑張ることはアクセサリーを全力で作るってことと、それを妹に奪われないように隠し通すことね。大丈夫。質素な服の間に挟むなりしてなんとかやってみせる。


そして二週間経って、翌月に差し掛かり、法律会議の本番の日になった。


わたしは法律に興味がありかつ、アクセサリーを売りに来た商人の風貌で参加した。


もちろんグリーレイは法律関係者として参加している。


会議の前に少し私とグリーレイは話した。


「ちゃんと噂は流しました。ウィンネは伝説のアクセサリー職人ってことになっています」


「まずい。私、一応何度かだけはロードリオの母親に会ったことがありますのよ。眼鏡をかけたりして雰囲気を変えてるとはいえ、バレたらどうしましょう?」


「なんとかバレないように、声を変えてみるとか」


「声? た、高くしてみるか…こ、こんな感じでどうかしら??」


「結構別人の声でしたね…すごい演技です」


「ありがとうございます。ではロードリオの母親がいざ来たら、この高い声で話します。それで…ロードリオの本性をどうやって引き出すんでしたっけ?」


「とりあえず僕が馬鹿にされるように仕向ける予定です。そして、ロードリオにだけ、アクセサリー職人が、雰囲気を変えたウィンネだと気づいてもらいます」


「素晴らしい流れですね」


「そろそろ会議が始まります。お互い、頑張りましょう」


「はい!」


まずは私は聴講席に座り、全然意味のわからない法律の会議をたくさん聞いた。


ロードリオもなんか得意げに話していた。


そして会議が終わり…いよいよ作戦実行の時だ。


私は持参の小さな折りたたみ式テーブルを広げて、さらにテーブルクロスをかけて、アクセサリーを広げた。


グリーレイがこっちに来る。


後ろからロードリオが。


そして…ロードリオの母親もこっちに来る。


グリーレイはさりげなくここに来るペースを調整しているのだ。


ロードリオが自分の母親に気づくまでにはきっと少しの時間しかない。


いくらここにいる事を全く予測してないとはいえ、自分の母親なんだから。


グリーレイが本性を引き出すチャンスは、事実上一回か…?


だが、その一回が楽々引き出せるほど、ロードリオは愚かだった。


「ついに乞食のようにアクセサリーを売るようになったかこの可哀想な女は」


「…あなたが婚約破棄してから、私はとても苦労してるのよ」


「それは知らんな。でもまあ君みたいなどうしようもない人間ならそうだろうね。だから婚約破棄してやったのさ。まあ世間では君が顔重視で婚約破棄した側になっているけど」


ロードリオは私のことばかり見て自慢げに話すので、その声が聞こえる範囲どころか、真後ろに自分の母親が立っていることに気づかなかったようだ。


ちなみにロードリオの母親のさらに後ろでは、グリーレイがニコニコしている。


やり遂げたニコニコ。


それはとても人間らしく、私たちをどうしようもない人間だと見くびった人を憐れむ笑みだ。


「どういうこと…?」


ロードリオの母親はそれだけ呟いて、崩れ落ちた。


そこでやっとロードリオが振り向き、今回の作戦は完遂したのだった。




だが、そこから先のことは私もグリーレイもあまり想像できていなかった。


だけど、現実に起こったことは、ロードリオはあっけない人間で、本当にマザコンだったということだ。




両親からの後ろ盾を失ったロードリオは法律界でも権力を失い、もちろん周りはどうして両親の後ろ盾を失ったのかを気にする。


するとロードリオの悪事が顔を出すというシステムで、残念ながらロードリオの評判の下落は止められなかった。


ロードリオは人の寄り付かない岩場の小屋でひっそりと暮らしているという。




夜、私たちは作戦成功の祝いも兼ねて、二人で会い、優雅に夕食をとっていた。


そこでロードリオのその顛末をグリーレイから聞いて私は笑いっぱなしだった。


グリーレイも笑いっぱなしだった。


こんなに私たちを苦労させて見下してきた男が、母親にバレただけで没落してしまったんだから。


この上なくあっけない。


ちなみに私の妹はグリーレイが法的に訴える手続きをしてくれて盗みで有罪になった。


というわけで平穏が訪れた私たちも、もっと上品に笑い合えたらいいわね。


そんな風にきっとお互い思っていた頃だった。


もちろん私は、誰と上品に笑い合いたいかって言ったら…


「ウィンネ。僕と婚約してほしい」


もちろん、グリーレイとに決まってる。


お読みいただきありがとうございます。

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