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短編

目標は、宇宙飛行士を辞めること

作者: 花みかん
掲載日:2026/02/08

 僕はよく、このコックピットに乗っている。コックピットは、静かで、乗り心地が良くて、そしてとても清潔だ。窓からは、星空が見える。とても綺麗だけれど、この宇宙空間は実はとっても過酷なんだ。宇宙だから空気が薄いことだってあるし、体調管理だって徹底しなくちゃならない。

 朝、食事はバランス良く取らなくちゃいけない。だから、苦手なものがあっても、用意された食事は残さず食べなくちゃいけない。

 他にも、ドクターのバイタルチェックが毎日ある。

「おはよう。体調は大丈夫かい?」

噂をすれば、ドクターが来た。ドクターは、時間になると体温を測り、僕の体調をチェックする。宇宙飛行士にとって、体は資本だからね。ちなみに、僕がピンチになった時は、コックピットのすぐ横にあるボタンを押すと、すぐに助けに来てくれる。とっても優秀だ。

 そんなことを考えていたら、ドクターは僕の腕に管みたいなものを繋いで、薬を入れはじめた。これも、宇宙空間で生きるために必要なものなんだって。

 バイタルチェックが終わったら、僕はコックピットで勉強をする。宇宙飛行士には、膨大な知識も必要だからだ。国語に、算数に、とにかく沢山覚えることがある。そして、それが終われば、今度は報告書を書くことができる。これがなかなか楽しい。例えば、昨日なんかは、窓から見つけたエイリアンを描いた。今日は、昨日の夜に見た星空を描こうかな。報告書をどこに出すかだって?特に誰に出す訳でもないけれど、しいて言うなら旅の記録かな。報告書を上手く書くコツは、色を沢山使うことだ。

 宇宙空間が過酷じゃなさそうだって?そんなことはない。宇宙飛行士は結構大変なんだ。だって時々、息が苦しくなるから。時々、空気が薄くなったように。喉がヒューヒューなるんだ。だからそんな時は、あのボタンでドクターを呼ぶ。ドクターはすぐに駆けつけてくれる。そして、僕はゆっくり息をして、薬を飲むんだ。苦しい間、ドクターは背中をさすったり、声をかけ続けたりしてくれる。ドクターには感謝しなくてはならない。そして、しばらくすれば、ピンチ脱出。大きな問題はない。

 僕の目標は、こんな宇宙飛行士を早く卒業することだ。コックピットを降りること、それがドクターの、お母さんの、お父さんの、僕の望んでいることだ。

 だって、この宇宙の苦しみや息ぐるしさは、早く無くなって欲しいからね。



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