何でそんな悲しいこと言うん?
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
プロットタイプと似たような世界観。
主人公は鏡花。
けれども断言出来ない。
「何でそんな、悲しいこと言うん?」
彼女はただそう言った。特段悲しんでいる訳ではなく、落ち込んでいる訳でもなく、ただ静かに諭す様な、聡い目がそこにあった。
友人と一緒にコラボイベや、リアイベの類に同行する事になった。置かれていた展示物はどれも素敵で、世界観を精巧に表していた。けれどもそれより目が向いたのは、同じ会場に居る同担だった。
皆、髪を染めていて、凝った髪型をしていて、フリルの着いた服を着ていて、爪の先まで綺麗だった。何もせず、ただお気に入りのカチューシャを付け、オフィスカジュアルで参加している自分が、どうしようもなく惨めに思えて、少し気落ちしてしまった。
イベントが終わった後、彼女と近くのカフェで一休みする事になった。
「今日、とても素敵だったね」
「ね。顔の一部だけでも誰か分かるんだもん」
彼女はとてもボーイッシュな格好をしていた。色白の肌に映えるようなモノクロのヒップホップ系。前にコラボしていた推しに合わせて来たのだとすぐに分かった。
「……同担の方々、皆綺麗で……私はただのダサい格好で……」
その場に合った格好って訳でもない。肌荒れを気にして薄化粧。何もかもが相手に劣っている。
こんな風に弱気になってしまうのは、一緒にいるのがあの子だからかも知れない。人のいうことを過度に否定せず、あっさり受け入れて、『そうだね』と言ってくれる。評論や批判を求める周りの男性陣とは違う。
受け入れて欲しいのだ。ただ正論を並べられるのではなく、ただ私の意見を一緒に抱えて欲しいのだ。
「何でそんな、悲しいこと言うん?」
思っていた答えとは違う言葉だった。『落ち込んじゃったの〜?』なんてからかいでもなく、『そんな事ないよ〜』なんて励ましでもなく、ただ淡々と疑問をぶつけられた。
「確かに皆お洒落だったし、好きという気持ちは伝わって来たけど、其れに君の気持ちが劣ってるとは思えないんだけど」
「あ……」
「少なくも、私は良いと思ったし、周りにいる人達と同じくらいお洒落だと思ったから、何でそんな事言うん?」
「ごめん……」
「いいや。悪いのは私の方だね。ただSNSでも私の推しがそう言ってたからさ、つい。寂しいこと言わないでよ。ただそれだけだけ」
それから何とも微妙な空気のまま横並びになって帰った。駅での別れ道、彼女はくるりと振り向くと、何時もの様に雑談を始めた。
「女の子はね、誰も言われなくても自分で『可愛い』って思わないと駄目なんだよ。言えないなら、何度でも私が言ってあげる。『可愛い』」
リアイベ、あるじゃないですか。
実際に行かなくても、流れているコメントを見るだけでも楽しいです。
ただお洒落な方が、
『周り皆綺麗で、私はただの陰キャ。妄想を垂れ流してるだけ』というコメントを見る度に、
『何でそんな悲しいこと言うん?』
という気持ちになります。
あんなに綺麗でお洒落なのに、何でそんな事言うん?
確かに皆様とってもお洒落なんですよ。
でも別に貴方が劣っている訳ではないでしょう? って。
見る度に書いちゃうよ。懲りる事なく。