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第2話. 神様が利き手で描いた最高傑作

「ねぇ君、異世界転生してみない?」

「…」

 は?



 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



 ああ、ついに私幻聴まで聞こえるようになったのか。

 いや、今までも割と聞こえてたな、うんうん。

「幻聴じゃないよ~!」

 心なしか音質もいい。まるで電話越しではなく直接声をかけてきているようだ。

「うん。直接声かけてるんだって!」

 大体あのクソ上司がこんな少年みたいな声であるはずがないのだ。

「もしも~し、」

 ならば目の前に広がる青白く何も無い空間に佇む5つの人影もきっと幻覚である。

「え、そこまで来て信じないことある?」

 いや、幻聴に幻覚が付随するのならばそれはもう夢ではないだろうか。

「幻覚でも幻聴でも夢でもありません!」

「ユーリウス様、まだ意識がはっきりとしないのではないですか?」

「もう一度殺して目を覚まさせたほうがいいのでは?」

「ん?もう死んでるから死なないよ?」

「そうなのですか、!?」

「そ、そんなに戦慄する、?」

「百花ちゃ~ん、?だいじょうぶ~?」

「え、?あ、?多分大丈夫です、?」

「大丈夫じゃないわね~」

 社畜第一規則:とりあえず質問には答えるべし。

「あ、ねぇねぇ!僕のこと見えてる?見えてるよね?声は?大丈夫?」

「あー、全部大丈夫ですよ?」

「よ、よかったぁ、じゃあ自己紹介させて!」

「僕はユーリウス!創造神さ!」

「そうぞ、、?あ、はい。夢ですね。」

「夢じゃないよ!君は上司からの電話に出た時にストレスが極限に達して過労死したんだ!」

「か、かろうし?」

「うん。過労死。」

「karousi?」

「yes,karousi.」

「お、おーけー、」

 とりあえず頭の中を整理しよう。今わかってることは

 ・目の前にいるのは神である。

 ・私は過労死で死んだ。

 ・おそらくこの神物(じんぶつ)は私の心が読める。

 ・たぶんラノベのテンプレ的展開である。

 うん。実に単純明快で意味が分からない。

「そう!大正解!」

「はぁ、で、なんでこんな話に?」

「そう!それを話したかったんだよ!よかったぁ、話が進んで、、」

 この人も苦労してるんだな~(犯人)

「それで、君には異世界に転生してほしいんだけど、ここまでで質問ある?」

「死んだのは必然ですか?」

「うん。僕のミスとかではないよ。」

 なるほど、質問の意図をよく理解している。文化にも詳しいようだ。

「創造神っていうのはどの範囲の?」

「全部だよ。といっても僕にも部下がたくさんいてね、全部の世界を生み出したのは僕じゃないけど。」

「というと?」

「その部下と、その部下が住むこの世界を創ったのが僕なんだ。」

「なるほど。」

 じゃあ超お偉いさんじゃん。てか上司かよこいつ。

「あ、じゃあゼウスっていうのは?」

「作り話だね。」

 信者が聞いたら暴動起こるだろこれ。まじか。

「私を選んだ理由は?」

「たまたま覗いたときに一番かわいそうな死に方で死んでたから。」

「あとそっちに未練もなさそうだったし?」

「はぁ、じゃあ未練はあったので清算してくださいね。」

「え」

「で、続きお願いします。具体的には理由とか。」

「あ、うん。理由ね。」

「理由なんだけどさ、エネルギー問題っていえばわかりやすいかな?」

「エネルギー問題?再生可能エネルギーみたいな?」

「そうそう。もともと地球がある世界を生み出したのは僕なんだよね。」

「…」

 本物の創造神こいつだったのかよ。ちょっとショック。

「え、失礼じゃない?え?」

「それで?」

「あ、はい、それで管理してたのが後ろにいる4人の神なんだけど。」

「初めまして水の神ウィリアスです。」

「ミズノカミ。」

「?はい、?」

 こいつか、あのゲームのやつ!(違います。)

 こいつのせいで俺たちは…!

「私は大地の女神のノルマリアムよ~、よろしくね~」

「よろしくおねがいします。」

「私はね!炎の女神サラマリウムなの!」

「風の神シルフィリアスです!」

 、ほお。最初のウィリアスは好青年である。普通に歌い手とかやってそうなイケメンビジュだ。

 青い髪に青い目。ありきたりなカラーリングでもそこには流れる川のような清涼さが透けて見える。

 次のノルマリアムは長身で豊満な胸を持った美女である。理想的なおねえさんというやつだ。

 ここに重力というものは存在しないのだろう。余した胸も重力に従うのではなくでんと体の前に居座っている。

 サラマリウムはロリである。ノルマリウムと違い胸はないが、全体的に赤い姿が彼女の活発さを表しているようである。ただし、服がところどころ焦げているのを見るとしっかり炎の神なんだろう。暴発でもしたら恐ろしい限りである。

 シルフィリアスは学校高学年程度の少年でしっかり者のようだ。いまだ幼さが見えるような顔立ちもかえって彼の美しさを際立てていた。神が利き手で描いた最高傑作とはこのことだろう。

「この四人からエネルギーが偏りすぎているっていう報告を受けてね」

「もともとこの世界っていうのはユーリウス様が全く同じ世界を二つ作ったらどう変化するんだろうっていう疑問の下で実験的に作られた世界なんです!」

「なんだけど、思ってたよりも成長の仕方が偏っちゃったのよ~。」

「はい。本来ならエネルギーとして魔力を主体として、資源の両方を使っていくことを理想に作られたのですが、」

「それがなぜか魔力だけと資源だけで偏っちゃったと。」

「そうなの!お姉ちゃんのゆーとーり(言う通り)なの!」

「そのせいでさ、両方エネルギーが足りなくなっちゃったんだよね♪」

「で、その解決策っていうので資源量を僕が足し引きしてみたんだけどさぁ、これがシビアでね~、」

「ちょっとでもずれると世界が滅びかねないんだよね♪」

「…」

そんな簡単に世界って滅びちゃうんですか、そうですか。

いっつ・あ・すも-るわーるど。

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