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政治経済エッセイ

名古屋市長選挙では河村路線が継承! では河村氏の「正当な評価」はどうなのか?

作者: 中将

◇河村市政は市民から「高く評価」された



質問者:

 河村前知事(現在は衆議院議員)の路線を継承する広沢一郎さんが当選されましたよね。広沢さんは前副市長だったようで、まさしく「後継者」として適格でしたね。



筆者:

 「たかしから一郎へ」のキャッチフレーズを使い後継者として全面アピールをされていましたね。


 10月の2024年衆議院選挙の愛知1区(名古屋市東区、北区、南区、中区)では河村たかし氏は2位・3位連合をしたとしても上回る得票数を得ています。(投票率50.81%)

 

 今回の名古屋市長選挙は投票率は40%弱ほどと低かったものの、自民・立憲・公明・国民の推薦を受けた大塚氏に13万票差以上(得票率17%以上)の大差をつけて圧勝しています。


 対抗馬の大塚氏が「増税派」と言われて批判を浴びたのも大きかったようです。

 具体的に何かを「増税すること」を宣言したわけではないのですが、「減税を言わないことは増税と同義」と有権者の方が判断されたのだと思います。


 また、大塚氏は河村市政を批判するばかりで具体的な名古屋市のビジョンを示せなかったのも大きな敗因だと思いますね。



質問者:

 相手陣営にそれだけの数の国政政党が推薦した候補者に対して圧倒的に勝ってしまうようなことって無いですよね……。


 河村さんの支援がついているだけでこの地区では圧倒的に強そうですけど、

 具体的にどんな政策が有権者の皆さんに効果的に響いたのでしょうか?



筆者:

 広沢氏が掲げた政策としては河村前市長の政策を引き継ぎ、市民税減税5%の状態から10%にすることや、名古屋城天守の木造復元事業を訴えたほか、自身の公約として、0歳児からの保育料完全無償化などを掲げていました。


 具体的な内容としては市民税が減税(低年収世帯では5000円ほど)が最も注目されていますね。


 経済対策としては3割増しの地域振興券(有効期限半年)を抽選で配布するなど、

 名古屋市の経済を活性化する政策も行っています。


 また、少子化対策としては、名古屋で子育てをスタートするご家庭に50,000ポイント分の商品をプレゼントしています。

 幼児教育・保育の一部無償化、幼児の医療費無償などの政策が子育て支援に繋がっていると高評価を得ています。

 


質問者:

 一方で、最も注目されている住民税減税についてですが、

 年間5000円程度では「減税の実感が湧かない」というお話もあるのですがそれについてはどうなのですか?



筆者:

 そもそも市単位で出来る減税は市民税ぐらいなもので、名古屋市としてはかなり“最善手”に近いことをしているように思いますよ。


 河村氏は「金メダルかじる事件」だったり問題行動も多かったですが、基本的には評価されており、選挙結果として連続で反映されていたといっていいでしょうね。


※マスコミは無駄に“接戦だ”と報道していましたが、実情は違っていました。



◇河村氏の評価は的確か? 「減税でも税収増」のカラクリ



質問者:

 ところで、市民税減税をすることで「かなりの住民税増収になっている(具体的には800億や1600億とも)」と河村さんは主張されているのですが、日頃から減税を訴えておられる筆者さんとしてはどうなのですか?



筆者:

 これはちょっと「河村マジック」とも言えることが行われておりまして、

 「嘘では無いが本当でもない」「データを絞って過大評価」という“業”を使っている点があると思います。


 まずこの名古屋市の税収のグラフを見てみますと、


 挿絵(By みてみん)


 確かに黒いラインの「地方税収(住民税が大きな割合を占める)」が右肩上がりで増えています。



質問者:

 特に2018年からの伸びが凄いですね……。一体何か特別なことをされたのでしょうか?



筆者:

 実はここに「大きなカラクリ」があるのです


「平成30年度以降の市民税・県民税から適用される主な税制改正」という名古屋市の公式ページホームページから引用させてもらいますと、


『県費負担教職員(小・中学校、特別支援学校等の教職員)の給与負担事務等が道府県から指定都市へ移譲されたことに伴い、平成30年度から、指定都市にお住まいの方の個人の市民税・県民税の所得割(総合課税)の標準税率について、2%分が財源措置として道府県から指定都市へ移譲され、市民税は6%から8%、道府県民税は4%から2%に改めることとされました。


 平成29年度の市民税の所得割の税率は、標準税率6%に対して5%の市民税減税が適用され、5.7%となっています。県民税から移譲される2%分は、愛知県が支払っていた小・中学校等の教職員の給与などを名古屋市が支払うための財源であるため、減税の対象ではありません。したがって、平成30年度以降は、従来の減税後の税率5.7%に県民税から移譲される2%分を加えた、7.7%となります。』


 と、この年から市民県民税の総合計がそのままで名古屋市民税が増えるという形になったのです。


 言葉だけでは分かりにくいと思うのでそのホームページに掲載されている図も添付しておきます。


 挿絵(By みてみん)


 つまり、何か特別なことを名古屋市が取り組んだわけではなく「愛知県に存在する全ての市町村の市町村民税にプラス材料」があったのです。


 その愛知県からの移譲された金額はおよそ1000億円ほどだそうです。

これは「河村氏が減税で増収した」と主張されている金額と近いものがあります。



質問者:

 な、なるほど。だから「過大評価」だとおっしゃったわけですか……。



筆者:

 多くのメディアが使っている「情報を絞っている」という戦略を河村氏も使っているという事です。


 ただし、2010年に減税をしてからでも住民税収は横ばいかむしろプラスであるというところは評価するべき点でしょう。

 

 いつも減税の話になればすぐさま「財源論」のお話になりますから、

 「減税をしても税収は減らない」という点は評価できると思います。

 やはり一定程度には「減税による好循環」が起きているという事の証左ですからね。


※人口についても河村市政中で5%(10万人)ほど増えていますが、誰の市政でもそれなりに増えていたので、それを加味した分上で横ばいという評価です。



質問者:

 確かに、ちょっと「減税して大幅増収」することは考えにくいので、

 正当な評価をすることは今後の国家に対する減税を訴える上でも重要になりますよね。



筆者:

 河村氏も「減税で税収横ばいでも凄い」という言い方をされたほうが、無用な揚げ足取りをされずに済みます。


 情報をちゃんと入手・調べることができる側からすれば、すぐに「過大評価」だと分かってしまいますからね。


 下らないところで政策に水を差されないためにも、早急に主張を訂正することを望みたいと思います。



◇市長の報酬を削減することについて



質問者:

 河村さんについては市長の報酬を年収2700万から800万へ自ら下げることで、

 市民に対して示しをつけているようですがこれについてはどうなんでしょうか?



筆者:

 世間的には議員報酬を削減することに対してかなり好意的に受け止められているようですが、僕は議員報酬を削減することについては反対したいです。


 欧米の国々で地方議員の報酬が無かったこと(兼業している人がほとんど)が大きな要因としてあるようですが、

 イギリスなどの国では議員のなり手が不足し、議員報酬を平均収入より上にすることでようやく確保できているようです。


 日本においても地方議員のなり手が少なくなってきており、8町村では無投票の上に定数を下回る議員数しかいないと言う「定数割れ」が起きてしまっています。


 僕は専業として議員や公共団体の長としての仕事をしっかり行い、役割や身分、成果によって適切な報酬が支払われるべきだと考えています。

 

 ただし、リコールができるのは地方のみで国会議員に関しては国民側が途中で罷免することができませんのでこの点の改善は必要なことだと思います。



質問者:

 そもそも議員の報酬は全体の予算から見たらそんなに多くはないですからね……。


 「ちょっとの財政改善」よりも「ちゃんと仕事をする」ということのほうが重要だということですね?



筆者:

 そうです。キチンと成果を出していただけるのであれば多少高い給与であったとしてもいいですし、能力の高い若い方も報酬が高い方が政治家を志す「将来の目標」としてくれる可能性が上がります。


 僕は「自らの給与削減」は有権者に対するイメージアップ戦略の一環に過ぎないと思います。


 また河村氏が「お金に無関心」か? というとそうでも無いようです。


 河村氏は最初の衆議院議員時代(当時民主党)、テレビや新聞に何度も登場し、

「議員という特権階級の味方なのか、はっきりさせればいい。庶民の味方になって廃止法案を出す」などと発言し、先頭に立って国会議員互助年金の廃止を訴えました。


 その結果、与党だった自民党・公明党の議員年金廃止案が通り、2006年4月1日をもって廃止されました。


 ところが2021年3月9日には、制度の批判を鋭く展開していた当の河村氏が国会議員年金を受け取っていたことが、朝日新聞の『大村氏「辞職を」、河村氏「謝罪を」 年金問題で延長戦』という21年3月12日の記事などで明らかになっています。


 更に5年間の申請見送りをしなかったどころか、「一時金」方式の何倍もの額にあたる「従来の15%減となる年金」を受け取る選択肢を選んでいたことが分かっています。                                     



質問者:

 それは酷いですね……つまり、市長の報酬減額は当選のためのパフォーマンスだったということでしょうか?                                     



筆者:

 本人はそうは言わないでしょうけど、僕は少なくともそう分析しています。


 名古屋市長としての報酬をカットできているのは、河村商事株式会社という親族企業(長男が代表取締役社長、妻が取締役)が存在しており、仮に落選しても収入が無いわけでは無いからです。


 河村氏は「庶民アピール」をされていますが、世襲では無いにしろお金のかかる選挙に何度も出れる時点で「上級国民」であることは間違いないと思うのです。

 庶民目線で政治家として働きたいという気持ちも本当だと思いますしね。


 ただ一つ勘違いしないでいただきたいのは、僕は別に河村氏をそこまで叩きたいわけではありません。

 河村氏は減税を訴えている時点で政治家として「相対的に見ればかなりまとも」ではあることは間違いないと思います。


 しかし、「個別事案を是々非々」で「過大評価はしない」というのが僕のスタンスとしてあるのです。                                 



質問者:

 やっぱり、政治家に対する評価と言うのは個別事案を是々非々で見ていかなくてはいけないということなんですね……。



筆者:

 やはり、「この人は良い政治家」だと思い込んでしまい「白紙委任状」を渡してしまう事が一番危険ですからね。

 

 政治家は公僕として一挙手一投足が「審査対象である」ということを監視する側である国民としても忘れてはいけないという事です。



◇今後の河村氏の政治家人生を「阻む者」



質問者:

 河村さんは衆議院議員に戻られたわけですけど、今後は減税を訴える政治家として頑張っていただきたいですね。



筆者:

 やはり財務省の持つ力は強大であり、その力の源泉である「財政法4条」を切り崩すことが大事だと思います。


 しかし、最大の懸念点は「味方」にあると思っています。

 河村氏の所属している日本保守党の共同代表である百田尚樹氏が「子宮摘出」などの発言で物議を醸しており、河村氏の評価そのものも百田氏次第では転落していく可能性があるという事です。


※百田氏の失言についてはこちらをご覧ください https://ncode.syosetu.com/n1365jt/



質問者:

 あれは本当に酷い発言でした……。全く世間の実情が見えていない感じがありました……。



筆者:

 息を吐くように失言をされる百田氏の今後の状況次第では「百田氏と早々に切る」ことが河村氏の活躍に繋がるのではないのか? と僕は思いますね。



質問者:

 下らないことで国民のための政策が出来なくなってしまっては元も子もないですからね。



筆者:

 どういう形であれ、日本が良い方向に進んで欲しいところですね。


 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回は「河村市政の正当評価」という事について取り上げさせていただきました。


 今後もこのような政治・経済について個人的な意見を書いていきますのでどうぞご覧ください。

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