表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロバート教授の不思議な授業(改)  作者: @manacho03
恋人殺しの汚名と日本渡航
2/24

Episode002.日本渡航 I

 ロバートはサラの死に不審を感じていた。

 あまりに出来すぎているような気がしたのだ。

 自分が力加減を調整できなかったのは納得できない。

 サラが魔法を発動できなかったことも納得できない。

 サラが言った「裏にある真実」とやらが関係しているのか?


 警察が自分を殺人犯として捜査していることを知る、自分のことを嗅ぎ回っているのだ。

 その中でもジャック・ニコルソンという刑事ががしつこく嗅ぎ回っている。

 ジャック刑事は執拗にロバートを追い詰めていた。

 彼はフリーメーソンの一員であり、ロバートを勧誘する指示を受けていた。その使命感からロバートを捕まえることに執念を燃やしていた。

 彼自身も過去に大切な人を失っており、その悲しみと怒りをロバートにぶつけているのだった。

 最愛の妻を病気で亡くしていたのだ。


「ロバート・クロムウェル、お前を逃がすわけにはいかない。 フリーメーソンの名誉にかけて、必ず捕まえてみせる」と、ジャックは心に誓っていた。


 ロバートは逮捕される前に独自に調査を始める。

 まず、部隊員に協力を求てみる

「恋人殺しにする話は無い」

「自分の罪をごまかそうとしてるだけだろう」

 とけんもほろろに断られる。


 部隊内で調査していると上司に呼び出された。

「自分の罪を軽くしようとしてるんだろう。 部隊をかき回すのはやめろ」

 とウォーレン・マクブライト大佐に忠告を受ける。

 それでも部隊内を調査して回る。

 するとある日

「お前はSASに置いておくことは出来ない。 やめてくれ。 首だ」

 とウォーレンに言われた。


 SASを首になった。

 ロバートはSASを追われた夜、ベッドに横たわりながら天井を見つめていた。

 サラの笑顔と絶望の表情が交互に浮かび、彼の心を蝕んでいく。

 「本当にあれは事故だったのか?」

 という疑念が頭から離れない。

 彼は拳を固め、自分に言い聞かせるように呟いた。「真実を突き止めるまでは諦めない。」


 SASというバックを失ったロバートをジャックが任意同行と称して、警察署で激しく尋問する。


 留置場に閉じ込められて、固いパンと薄いスープという体力を奪うための食事を与えられただけだった。まるで逮捕されたかのようだった。

 脱獄しようにもアンチマジックエリアになっているのか、魔法では脱獄できない特別な牢だった。

 さすがは魔法大国イギリスの警察だと妙な感心をするロバートだった。


「あの時の自分は何かおかしかった。サラもおかしかった」

  と弁明するが、ジャック刑事は聞く耳を持たなかった。


「逮捕状を取って本格的に尋問してやる」

 とジャックが意気込んで言った。逮捕状が出るまであと2日、ロバートは焦りを感じていた。


 ある日、友人のポールが面会に訪れた。

 彼は警察内部の協力者を通じて入手した特殊な道具をロバートに手渡した。

 道具は看守の目を盗んで差し入れの中に隠されていた。


「ロバート、お前を助けるために、俺もリスクを取った。 だが、お前が真実を突き止めることができるなら、それでいい。 日本なんてどうだ。平和な国だと言うし、日本で新しい人生を始めるのも良いんじゃないか」

 とポールは言い、彼に脱獄道具を手渡した。


 ロバートは薄暗い独房の中で、冷たい壁に背を預けて座り込んでいた。警察の取り調べが続き、彼の心は限界に近づいていた。

 「サラ、なぜ君を守れなかったんだ……」

 その思いが彼の胸を締めつける。


 彼の心の中では、逃げるべきか、それともここで罪を償うべきか、葛藤が続いていた。

しかし、サラの死の真実を突き止めることこそが、彼の唯一の望みであり、生きる意味だった。「真実を知らなければ、俺はここで死んでしまう……」


やがて、ロバートはポールからの脱獄道具を手にした瞬間、決意を固めた。「これしかない。俺は逃げるしかないんだ」と、自らに言い聞かせるように呟いた。


 ロバートは慎重に脱獄の計画を立てた。警察の監視を避けるため、夜中に行動を開始した。

 夜が訪れ、牢獄は静寂に包まれていた。

 ロバートは息を潜め、ポールから手渡された特殊な道具を取り出した。

 手が震える。これから自分が犯そうとしている行動の重大さが、彼の全身に重くのしかかる。


「もし失敗したら……」

 その思いが頭をよぎる。だが、もう後には引けない。

 彼は道具を鍵穴に差し込み、慎重に回し始めた。

 小さな音が響くたびに、彼の心臓は激しく鼓動し、額に冷たい汗が浮かんだ。


 鍵が開く音が小さく響き、ロバートはそっと扉を押し開けた。

 彼は慎重に廊下を歩き、警備員の目を避けながら進んだ。

 背後から足音が近づくたびに、彼は心臓が止まりそうになる。

 すれ違う警備員が自分を見逃した瞬間、彼は無意識に深い息を吐いた。


 ロバートは牢獄から脱出し、警察の目を逃れて空港へ向かった。ポールの助けで何とか飛行機に乗り込み、日本へと向かうことができた。空港の雑踏の中で、彼は変装のためにかけたサングラス越しに周囲を警戒していた。


飛行機に乗り込む直前、ロバートはポールに感謝の気持ちを込めて言った。「ありがとう、ポール。君の助けがなければ、今頃どうなっていたか……」


 ロバートは日本行きの飛行機に乗り込み、シートに深く沈み込んだ。

 機内のアナウンスが流れる中、彼は自分が今まで経験したことのない不安を感じていた。

 イギリスから逃げ出したという事実が、彼を落ち着かなくさせていた。


「本当にこれでよかったのか? 俺はまたやり直せるのか……」

 ロバートは窓の外を見つめながら、自分に問いかけた。

 日本という未知の土地で、新しい人生を始めることへの期待と同時に、失敗したら全てが終わるという恐怖が彼を支配していた。


 飛行機が離陸し、イギリスの地を離れた瞬間、ロバートは一瞬の解放感を味わった。

 しかし、それと同時に胸の奥に広がる不安が、彼の心を揺さぶった。

「もう後戻りはできない。ここで失敗すれば、全てが無駄になる……」


新たな生活が始まるという期待感と、それを打ち砕かれるかもしれない恐怖が、ロバートの胸に交錯していた。「本当にやり直せるのか?」という問いが、彼の心を重くしていた。


 ロバートは空港に降り立つと、すぐにタクシーを捕まえて事前に予約していたホテルへと向かった。

 ホテルに着くと、手早くチェックインを済ませ、部屋に荷物を置いた。

 彼は一息つく間もなく、サラの死の謎を解くために、日本に来た真の目的を果たすべく、すぐに行動を開始する決意を固めた。


 ロバートはホテルに到着してすぐ、サラの死に関する手がかりを求めてネットで調査を始めた。

 彼は以前から疑念を抱いていたエリュ・コーエンという組織についてさらに調べを進め、その名前が最近の日本国内での活動に頻繁に登場していることに気づいた。

「この組織が何を企んでいるのか突き止めなければ・・・・」

 ロバートは自らの使命感に駆られるように調査を続けた。


 それにしてもまずは生活拠点を設けなければならない。

 取りあえず、日英合同演習で仲良くなった陸上自衛隊の相田一尉の家に転がり込むことにした。


ロバートは相田一尉の家で数日間過ごし、日本の文化や環境に慣れるよう努めた。

しかし、彼の頭の中からは、サラの死に関する疑念が離れなかった。

エリュ・コーエンという組織がサラの死にどのように関与しているのかを突き止めるため、ロバートは早速調査を開始することを決意した。


 「ロバート、この国で君が安心して生活できるように、私もできる限りのサポートをするつもりだ。

 何か困ったことがあれば、いつでも連絡してくれ」

 相田一尉は力強く言った。

 ロバートはその言葉に深い感謝を感じながら、

「ありがとう、相田さん。あなたの支えがあれば、この国で新たなスタートを切れる気がします。」と答えた。


 ある日相田から「事象改変研究所」と言う新しい学校の話を聞く。

 なんでも、近頃増えてきた魔法師やら超能力者に対抗するための心材を育成するための高校のようなところだという。

「ここなら仕事も出来、合間を見て調査も出来る。 超能力の研究も出来る。 その代わり当局の難事件捜査の手伝いをしてほしい」と言われる


 ロバートは相田一尉の提案を受け入れ、すぐに事象改変研究所での仕事を開始した。

 彼は新しい環境に順応しながらも、サラの死にまつわる謎を追い続けた。


 最初は超能力など興味の無かったロバート教授だが、研究を始めるとその可能性に目覚める。

 サラの事故は魔法だけに頼った弊害かも知れない。威力で勝る魔法をスピードと制御力で勝る超能力で制御できればより発動時間が早く強力な力が手に入るのではないか、と仮説を立てる。


 教授は研究室で夜遅くまで超能力の研究を続けていた。

 机の上には数々の文献と実験器具が散らばり、彼はその中で一心不乱にデータを分析していた。

「ミスティック・シナジー」と名付け、研究を続ける。

 「ミスティック・シナジー」とは、魔法と超能力という異なる2つの神秘的な力が結びつき、個別に発揮される力よりもさらに強力な力を生み出すことを意味する。


「ミスティック・シナジー・・・・この理論が正しければ、魔法と超能力の融合によって新たな力を引き出せるかもしれない」

 彼の目は情熱に燃えていた。


 日本語学校に通いながら読み書きも憶えた。


 調査をしていくうちに、エリュ・コーエンのアンディという人物がいたのを思い出した。


 サラを熱心に誘っていた人物だ。

 ロバート教授はエリュ・コーエン、さらにアンディという人物を調べ始めたが、資料をたどっていくと必ずたどる糸がプチッとちぎれてしまう。

 アンディという人物で分かったことは偶然にも現在日本にいると言うことくらいだった。

 「アンディは日本にいるのですね。好都合です」

 日本語学校に通っているうちに先生の影響か、妙に丁寧な言葉遣いになっていた。


 教授はゆっくりと調査、研究をすることができた。

 酒も飲まなくなった。その代わりパイプたばことコーヒーをこよなく愛するようになっていた。


 そうこうするうちに相田を通して日本の警察から協力要請が来た。

 魔法を使いたくない教授ではあったが、相田に対する感謝の念と事改研の「捜査に協力」という方針から協力することを決意した。


 国際テロ組織の摘発をしたいが証拠がない。教授の力で何とかならないか、とのことだった。

 犯罪現場に行ってみると血だまりに被害者が倒れていた。

 その体には、所々に大きな穴が空いていて、死因は失血死だった。

 

 教授はサイコメトリーを使って犯人を特定した。手口も分かった。

 アイススピアという魔法でうちつられていたのだ。

 アイススピアは氷の槍を空中から召喚し目標に突き刺す魔法だ。

 

 犯人は分かったが所在は分からない。

 教授は再びサイコメトリーで犯人がよく出入りしているビルを特定した。

 警察が突入すると犯人は果たしてそこにいた。

 

 犯人は魔法で抵抗したが、同行した教授の防御魔法で警官隊は無事だった。

 犯人が魔力切れになったところを見計らって、複数の警官で押さえつけて逮捕した。

 教授が解決した初めての事件だった。


 しかし、教授は自分が人に対して攻撃魔法を使えないことを気に病んでいた。

 そこで、研究所の優秀な生徒達に攻撃して貰うことを思いついた。


 ここにロバート研究所の攻撃、防御のバランスの取れたチームが出来た。


 しかし、教授は満足していなかった。

 生徒の質が低いのだった。


 それから20年間、警察や自衛隊の要請を受けて、月に1度くらいの割合で研究所の皆は出動することになった。


 卒業生は主に警察、自衛隊の特殊部隊に就職するものが多かった。


 魔法等級、超能力等級というものがあるのだが、ロバート研究室では単純な魔法、超能力を教えることはないので1級とか2級の資格を取るものはいなかった。その代わりミスティック・シナジー等級を取得して卒業していくのだった。


 そして、アキ、ワタル、リサ、スージー等の強力なメンバーがそろって入ってきたのが今年のことである。


「今年は期待できるかも知れませんね」

 教授はほくそ笑んでいた。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ