Episode013 教授の過去 I
そして2週間ほど経ったある日、スージーが言った。
「まだ不審者がうろうろしてるみたいね。」
ジムも同意した。
「気になって仕方ないってリョーコがこぼしてたよ。」
リョーコからテレパシーが届いた。
「ジム、聞こえますか? また不審者がいました。 研究室を覗いてますわ。」
タケルが意気込んだ。「今度こそ、俺が捕まえるか。」
「それが良いかもね、今回は。」
スージーが同意した。
リョーコが指示を出した。
「本校舎の屋上にいるわ。双眼鏡でカフェテリアを眺めてる。」
タケルとアキが向かうと、暑い中黒ずくめの不審者を見つけた。
不審者は屋上の端に追い詰められ、汗を浮かべながら周囲を見渡していた。
「逃げ道がない…」
と焦るその瞬間、アキの「ストーンウォール」がその道を封じた。
不審者はためらうことなく逃げようとしたが、タケルの素早い動きが彼を捕らえた。
タケルが不審者にタックルし、ようやく捕まえた。
遅れてやってきたスージーたちが不審者の手を後ろでくくり、黒いマスクを外した。
「ブライアン……」スージーが驚いて口にした。
アキが尋ねた。「スージー、知り合いかい?」
「お父様の部下よ。そしてフリーメーソン東京ロッジの幹部よ。」
スージーが答えた。
「フリーメーソン? あのフリーメーソン?」アキは驚いた。
屋上は暑いので、不審者もといブライアンを連れて研究室へ移動する。
研究室の中は、様々な実験器具が整然と並び、壁には過去の研究成果が掲示されていた。空気はわずかに消毒液の匂いが漂い、静寂が支配していた。
「で、何やってたんだ?お前」とタケルが問い詰めるが、ブライアンは黙ったままだ。
スージーがため息をつきながら言った。
「私の警護よね、ブライアン。パパ、いやお父様に頼まれたんでしょ」
ブライアンは口を閉ざしていたが、スージーの問いに思わず声を荒げた。
「それは違います、お嬢様。 グランドマスターは貴女のことを心配して・・・・超能力者の危うさを一番よく知っているのがお父上なのですから」
スージーは詰め寄る。「どう違うのよ」
ブライアンは覚悟を決めたように語り始めた。
「お父上は、若い頃から超能力が堪能で、そのお力で数多くの敵をほうむってこられました。 生命の危険も何度か経験され、だからこそお嬢様にそんな危ない世界に足を踏み入れてほしくなかったのです」
スージーは怒りを抑えられずに言った。
「だからって私の行動をあなたに監視させるなんて・・・・」
ブライアンは困惑しながらも答えた。
「違います。相談を受けた私が独断でお嬢様の近辺を探っていただけです」
スージーは納得したように頷いた。
「そうだったの・・・・でも私はここで楽しく超能力と魔法を勉強しているの。 余計な詮索はやめて頂戴」
スージーは怒りを抑えられずに言った。
「だからって私の行動をあなたに監視させるなんて……」
ブライアンは困惑しながらも答えた。
「違います。相談を受けた私が独断でお嬢様の近辺を探っていただけです」
「どういうこと?」とスージーが問い詰める。
覚悟したのかブライアンは
「フリーメーソン、ジャパングランドマスターであらせられるお父上は、若い頃から超能力が堪能で、そのお力で数多くの敵をほうむってこられました。 生命の危険も何度か経験されたと聞いてます。 だからお父上はお嬢様にそんな危ない世界に足を踏み入れて欲しくなかったのでしょう」
えらく物騒な話が飛び交う。
スージーのお父さんってフリーメーソンのグランドマスター?
それってこの国のフリーメーソンで一番えらい人じゃないの?
それでこないだフリーメーソンの講義の時暗い顔をしてたんだ。
「だからって私の行動をあなたに監視させるなんて・・・・」
スージーは怒りを抑えられない。
「違います。 相談を受けた私が独断でお嬢様の近辺を探っていただけなんです」
スージーはブライアンの言葉を聞きながら、心の中で父親の意図を噛みしめていた。
「お父様は私を守りたかったのね…」
彼女の胸に温かな感情が広がったが、それは同時に、彼女を縛る枷でもあった。
「でも…」スージーは心の中でつぶやいた。
父親の愛情が彼女を包み込むように感じる一方で、その愛情が自分を縛る鎖のようにも感じられた。
「お父様は私を守りたいのだろうけれど、それは私が目指しているものとは違う」
スージーは拳を握りしめた。彼女の心の中で、父親の意図に従うべきか、それとも自分の信念を貫くべきかという葛藤が激しくぶつかり合う。
「でも…」スージーは心の中でつぶやいた。
父親の愛情が彼女を包み込むように感じる一方で、その愛情が自分を縛る鎖のようにも感じられた。
「お父様は私を守りたいのだろうけれど、それは私が目指しているものとは違う」
一瞬、父親の意図に従って安全な道を選ぶべきかという考えが頭をよぎる。
しかし、スージーはすぐに首を横に振った。
「違う、私はただ守られるためにここにいるんじゃない。私には私の使命があるんだ」
と、彼女は心の中で強く思った。
スージーは深呼吸をし、ブライアンに向き直った。
「お父様の気持ちはわかるわ。 でも、私は自分の力で道を切り開くことを選んだの。 たとえ危険があったとしても、それは私が選んだ人生よ」
彼女の声には決意がこもっていた。
父親への感謝と愛情を抱きつつも、スージーは自分自身の意志で前に進むことを選んだのだ。彼女は心の中で、父親に「ありがとう」と静かに告げながら、これから自分が進むべき道を見据えていた。
スージーは深く深呼吸してからブライアンに言った。
「そうだったの・・・・。パ、お父様の気持ちはわかったわ。でも私はここで楽しく超能力と魔法を勉強してるの。余計な詮索はやめて頂戴」
スージーの声には、決意と少しの怒りが込められていた。
「今はまだ・・・・ですよ。 他のクラスならまだしもロバート研究室に入ったと聞いて、私も気が気ではありませんでした。彼の研究室は危険です」とブライアンが震える声で警告する。「それはどういう……」スージーが尋ねると、背後から声が聞こえた。
その声はあたりの空気を一変させた。
「私がどうかしましたか?」
いつの間にか入ってきたロバート教授が立っていた。




