Episode001 事の始まり
こんにちは。@manacho03です。
前作の(仮)に続き(改)をお届けします。
前作とはほとんど違う内容になってますが、一部ネタバレしてしまう部分があるかも知れませんがご容赦ください。
それでは生まれ変わったロバート教授と10人の生徒達の物語。お楽しみください。
小鳥が鳴く春のうららかな午後。
サラに膝枕をしてもらってのんびりと過ごすロバート。
「いつまでもこんな時間が過ごせれば良いのに」
と思うやサラが叫び声を上げた。火だるまになって。
ロバートは「サラ! 大丈夫か? サラ! 死なないでくれ」
と叫ぶがサラの体は焦げていく。
「サラ!」
と自分の声で目が覚めたロバートは夢を見ていたのだと気づいた。
全身汗だくになって飛び起きた。
夢ではない、現実のことだと思い返しながら
ここはイギリス南部の静かな町、サウサンプトンにあるSAS(英国特殊空挺部隊)の秘密基地。
その中でも特に高度な訓練が行われるエリアには、日夜、若き魔法使いたちが集まり、その能力を磨いていた。
ロバート・クロムウェル、29歳。火属性の魔法を得意とし、将来を期待される幹部候補生である彼は、ある日訓練中に悲劇を経験することとなる。
その日、彼と彼の恋人であるサラ・マッキンレーはいつものように訓練を行っていた。 だが、ロバートの魔力が暴走し、彼の放ったパイロキネシスがサラに直撃してしまう。サラは防御魔法を展開できず、大やけどを負った。
「サラ! しっかりしろ!」ロバートは叫びながら、彼女を抱きしめた。何度も治癒魔法を試みたが、効果はなかった。
ロバートの涙が彼女の焦げた皮膚に触れて蒸気を立てて消えた。
「ロバート・・・・愛してるわ」とサラは囁いた。ロバートは震える声で答えた。「俺もだ、サラ・・・・」
「ロバート・・・・真実は、影の中に隠されているわ。必ず見つけて・・・・」
サラの最後の言葉を聞き、ロバートは深い悲しみと自己嫌悪に陥った。
彼はサラを失った悲しみを抱えながら、眠れぬ夜を過ごした。
そして最後にサラが言った真実とは何か考えた。
サラの死から数週間後、ロバートは訓練基地での生活を続けていた。
彼は同期のボール、ロジャー、フレディと共に訓練に励んでいたが、心の中の傷は深く、自己嫌悪から抜け出せないでいた。
また、サラが最後に言った真実とは何かをひたむきに考えた。
ある日、基地内のカフェテリアで一人寂しく座っていたロバートのもとに、ロジャーがやって来た。
「ロバート、今日は訓練どうだった? 少し気晴らしに外に出ないか?」
「いや、今日はいい。 ありがとう、ロジャー。」
「お前は俺たちの仲間だ。 サラもお前を責めてはいないはずだ。だからこそ、俺たちはお前を信じている」
ロジャーとは訓練の最初の日からずっと一緒だった。 彼はいつもロバートを信じ、支えてくれた。サラが亡くなってからも変わらずに。
ロジャーは心配そうに彼を見つめたが、無理強いはせずにその場を去った。
ポールやフレディも口々に「お前のせいじゃない」と励ましてくれた。内心では
「しかし、実際サラを焼き殺したのはロバートだ」という事実も隠し持ちながら。
「俺たちもサラを失ったことに苦しんでいる。 でも、君がここで立ち止まってしまったら、サラも悲しむだろう」
ロバートはその優しさに感謝しつつも、サラを失った痛みはまだ癒えないでいた。
ロバートは毎日、サラとの思い出に浸ることで心の痛みを和らげようとしていた。
彼女との訓練中の小さな事故や、雨の日のハプニング、共に過ごした穏やかな時間が彼の心に蘇り、その度に彼はサラを失った現実に直面していた。
「恋人を殺した男」として部隊で陰口をたたかれるロバートは、その日以来攻撃性魔法を人に向けて放てなくなり、自己嫌悪に陥っていた。
サラのことを毎晩夢に見ては、自分を責める日々が続いた。
自分が犯した罪なのか、何か別の力が働いたのか。 サラがなぜ防御できなかったのか、それが頭から離れない。陰に隠れた真実とは何なのか。
ロバートは酒に溺れ、毎晩居酒屋やバーを渡り歩く日々を送っていた。
彼は
「サラ、なぜアイスウォールが展開できなかったんだ? そしてなぜ俺は魔力を調整できなかったんだ? 真実とやらに関係するのか?」
と嘆きながら、次々と酒をあおった。
同期のボール、ロジャー、フレディだけが彼の酒に付き合ってくれた。
ある夜、ロバートはパブのカウンターで酔いつぶれていた。
グラスを手にしながら、彼はサラのことを思い出し、涙を流していた。
「サラ、俺はどうすればいいんだ……」
と呟くと、突然、隣に座っていた男が話しかけてきた。
「ロバート・クロムウェル殿ですかな? あなたのことは聞いておりますよ。サラさんの悲劇について、あなたは何かしらの罠にはめられた可能性があるかもしれません」
ロバートは驚いて顔を上げ、その男を見つめた。彼の名はチャールズ・グレイ。フリーメーソンの一員であり、彼の情報網は広範囲に及ぶ。スーツをきちんと着こなし、その態度は紳士的であった。
「何を知っているんだ?」とロバートは興味を持つ。
チャールズは微笑みながら続けた。
「詳細はここでは話せませんが、あなたが無実であることを証明する手助けができるかもしれません。
我々フリーメーソンの情報網を使えば、あなたが直面している問題を解決できるでしょう。あなたが本当に求めているのは真実ではないのですか? それを掴むためには、私たちの助けが必要です」
「フリーメーソン?」
ロバートは眉をひそめた。
「お前らのような連中が一体何を知っているんだ?」
陰の中の真実について何か知っているかも、と少し期待した。
「ロバート殿、誤解しないでください。 我々は長年にわたり、様々な人々を支援してきました。 あなたの状況も例外ではありません。 あなたが真実を知りたいのはわかりますが、そのためには私たちの助けが必要です。 あなたの力だけでは限界がありますよ」」
「何を知っている?なぜお前たちがそこまで関わってくるんだ?」
とロバートがうさんくさい目でチャールズを見ると
「真実とは、必ずしも表面に現れるものではありません。 掘り下げてみれば、あなたが知らない別の側面が見えてくることもあります。 我々の助けを借りることで、その全貌が明らかになるかもしれません」
トリャールズは答える。。
「信用しろと言うのか?」
「信じるかどうかはあなた次第です。ただし、選択肢は多くないことを覚えておいてください。 我々の助けがあれば、あなたが求めるものが手に入るかもしれない。 だが、それはあなた自身が決めることです」
ロバートは酔いが回り、怒りを抑えきれなかった。
「お前らがどれだけの力を持っているか知らないが、俺には信じられない。 俺はもう誰も信じられないんだ」
「もしあなたが本当に真実を知りたいのなら、私たちと手を組むことを考えてみてもいいでしょう。 あなた一人で探し続けるには、限界があると思わないですか?」
チャールズは静かに頷いた。
「理解します。あなたが過去に裏切られた経験があることも知っています。 しかし、私たちはあなたを助けたいと本気で思っています。
これは一度きりの申し出です。 あなたが無実を証明し、サラさんの名誉を回復するための手助けをさせてください」
ロバートは苦悩の表情を浮かべた。
「お前らの言うことが本当だとしても、俺にはもう信じる力が残っていない。 けぇれ、けぇれ!俺には何も信じられないんだ!」
チャールズは静かに席を立ち、ロバートに一枚の名刺を渡して言った。 「もし考えが変わったら、連絡してください。 あなたの力になれると信じています」
「最後に一つ、情報を進呈しましょう。エリュ・コーエンという名を憶えておきなさい
ロバートは名刺を無視し、再び酒に溺れた。チャールズが去った後、ロバートはその言葉を反芻しながら、一人カウンターに沈んでいった。
警察が基地内で聞き取り調査を始めた。
初めはロバートを疑う気配はなかったが、次第に質問が厳しくなり、彼の行動が細かくチェックされ始めた
ロバートは自分の無実を証明するために全力を尽くすが、疑いの目は消えない。
ロバートは「俺がやったんじゃない、いや、やったんだが。何か裏があるはずだ」
と不安にさいなまれながらも、チャールズの言葉を思い出し、「陰に隠れた真実」を暴き出す決意をする。
捜査が進む中で、ロバートは基地内での立場が危うくなっていく。
彼は自分がこのままでは犯罪者として扱われるのではないかという恐怖に駆られる。
「俺はここにいるべきじゃない」
毎晩サラの夢を見る。だが、いつまでもこうしてはいられない
とロバートは考え、サラの死を忘れるためにも新しい場所で生き直すことを決意する。 そしてサラが最後に言い残した真実とやらを明かそうとも。
しかし、亡命の計画までは考えていなかった。
同期のボールやロジャー、フレディはロバートの決意を理解し、彼を励ます。ロジャーは特に、
「お前は悪くない。 俺たちが証明してやる」
と強く言い、ロバートに希望を持たせた。
「隠れた真実を暴き出して寄る」ロバートは強く決意した。
しかしイギリスでは警察の目がうるさくて調査も出来ない。
ロバートは亡命を考え出した。
ロバートは警察の監視下に置かれ、自由に行動することが難しくなっていた。
彼の行動は常に監視され、少しでも不審な動きをすれば即座に拘束される恐れがあった。
ある日、ジャック・ニコルソンという刑事が面会を求めてきた。