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会場の控室にて
公爵家に割り当てられた控室は、豪華な家具一式が備え付けられ、個室が三部屋も割り当てられていた。
セキュリティも万全で、メイド服を着た公爵家の黒服部隊が複数名常駐している。
当然だが、この部屋のメイドたちは私がエリザベス様の身代わりだと知っている。
顔見知りのメイドが小声で話しかけてきた。
赤い髪をお団子にまとめたメイド服姿で、名前はカレン。
「おそらく、この部屋も監視されています。不用意に出歩かないようにしてください」
彼女たちは、要人警護の専門家である。
私は、素直に頷いた。
「どうやってこの場を切り抜けるつもりなの?」
「実は、第三王女様にもご協力頂きたいのですが」
カレンは、作戦内容を簡単に説明してくれた。
「でも、その作戦は危険じゃないかしら?」
「多少の危険は織り込み済みです。そのために我々黒服部隊が存在します」
「わかったわ。第三王女様を説得したら良いのね?」
第三王女様は、公爵家の人間ではないが、今回の騒動の当事者である。
「イリヤ様。ちょっとご相談がありますの」
私は、第三王女様を個室に誘った。