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真実と偽りのデスゲーム  作者: Mです。
3/3

正しき者の視点

 自分の液晶に書かれているカードの数字は【6】

 そして、もう一枚は裏返っているカード。

 そのカードの数字を当てなければならない。

 

 対面には仁品 ノウム。

 左に大場 カズイエ。

 右に芝原 リンカイ。


 こちらから見えるカード、大場から【7】

 仁品が【4】

 芝原が【9】


 私から見えるカードは【4】と【6】と【7】と【9】

 そして、私の裏のカードは【1】と【2】と【3】と【5】と【8】

 この5つの数字のどれか……


 間違えばその場で負けが確定する。

 残り二人にでもならない限りは、感で数字を当てるのは得策ではない。


 配られているのは【1】から【9】の数字から8枚、

 その数字の中の一枚は配られること無く場に伏せられている。

 私から見えないカードの3枚は他の連中に見えていて、

 私が知りたい答えは私以外の3人は知っている。


 数字を直接確認するような質問はできない。


 思考を巡らせる。


 その瞳は正しいモノだけを見る。

 質問に嘘をつくことはできない。

 質問をパスされない限りそれは真実だ。


 私は一つの答えに辿り着く。


 このゲームの勝敗は自分の質問の内容では無い。

 誰がどんな質問をしたか……それが重要だ。


 「それじゃ、僕から……正視さん、君に質問するとしよう」

 そう仁品が私にその質問を投げる。

 冷静に……ゆっくりと相手の目を見る。


 「君から見える僕の数字は【5】以下かい?」

 そう尋ねる。


 一度、目を閉じ瞬きする。


 この質問で彼が答えを導き出せる確立。


 仁品の目線に立ってみる。

 まずは、彼のカードの数は【4】、答えはYESだ。


 彼の目線から私から見える【7】と【9】の数字が見えている。

 彼には私の表のカード【6】は見えていない。

 逆に私の裏のカードは彼に見えていて、彼の持つ表のカードの私の知らない2枚のカードが見えている。


 その二枚のカードは【1】か【2】か【3】か【5】か【8】のどれか。

 現時点で彼が見える【5】以下かという質問で導き出せるのは、彼は【1】から【5】までの数は5枚中、2枚しか見えていない。

よって、私が【下】と答えたとしても、彼はまだ3分の1の答えでしかない。


 「【5】より下……」

 私はそう答える。

 このように、質問は逆にヒントを与えるだけだ、パスをしてその質問件を失っても良いが、最初の質問くらいはしておきたい。


 「それじゃ、次は俺の番だ」

 芝原 リンカイがそう手をあげる。


 「仁品先生、あんたに質問する」

 そう仁品を見て……


 「仁品先生、あなたから見える俺のカードは8以下ですか?」

 再び瞬きをする……


 芝原 リンカイ彼から見えるカード。

 【4】と【7】は見えている。

 【6】と【9】は見えていない。


 答えは【9】よって、答えれば【8】と【9】のどちらかを確定することになる。

 もし、【8】がすでに彼の表のカードに存在していれば、彼は答えに辿り着いてしまうことになる。


 「回答は拒否しよう」

 仁品はそう答える。

 答えられなかった……


 【9】は仁品には見える。芝原には見えない。私には見える。

 【8】は私には見えない。だが……二人には見えている?

 そこに辿り着くための質問こたえは?


 時計回りで質問するとすれば、順番的には私の番だろうか。


 質問は相手に情報を与えるに過ぎない。

 どうせ、情報をばら撒くと言うのなら膨大にばら撒いてみるとする。

 そうすれば、彼ら彼女らはその真実こたえを自ら語ってくれる。


 「大場先生、あなたから見える数字の中に【6】の数字はありますか?」

 私はそう質問する。

 その答えは誰よりも私が知っている。

 答えはNO。

 当然だ、そのカードは私だけが見ることが許されているカード。


 この質問のもたらす効果。

 当然私にしか見えていない【6】のカード。

 仁品、大場、芝原の3名には見えていない。

 私の質問を鵜呑みにしていた場合、私の表のカードを【6】とは思わず、この場に配られていない伏せられたカードが【6】だとそう信じているのであろう。

 そして、それと同時に先ほどの芝原の質問の疑問も……


 正しいことを見る……笑える。

 こうして、嘘を見せている自分に。



 「み……見えていない」

 そう、大場は答えた。

 知っている……その回答には意味はない。

 意味をなすのは、この情報を植え付けられたあなたがたの質問だ。

 そして……

 もう一度先ほどの、推理を整理しよう。


 【6】のカードが自分たちの裏のカードから否定されたことになる。


 まず仁品……私と同じく大場の【7】と芝原の【9】が見えている。

 それでいて、【6】は見えていない。

 そんな中で【5】以下かと質問した。

 彼の裏のカードは【4】答えはYES。


 もし、これがNOと返答する状況だったとしたら……?


 【5】と【8】が私には見えない。

 そのどちらかが……彼に見えているのなら……

 彼はその答えに辿り着く……


 その先の芝原の質問……【9】を知りたい彼が【8】以上かと質問した。

 そして、それを問いかけられた仁品はそれに答えられなかった。

 私の中で【8】を除いた、【6】以上の数字が見ている……

 それが、示すものは……私は自分の見えない一枚のカードを見る。


 答えに辿り着けた……そんな気はするが……

 後は確証を得るだけか……


 「正視さん……あなたに質問しよう」

 大場はそう私に言う。


 「あなたから見える私のカードは【5】以上か?」

 そう質問する。

 少しだけ考えを整理する。


 思った通りだ。

 その私の質問に、流される。


 彼が知りたい数は【7】だ。

 芝原の持つ【9】のカードはお互いに見えている。

 私にも見えない【8】のカード。


 もし、彼に同じように【8】のカードが見えていないとすれば、

 ここでする質問は【5】以上ではなく、【7】以上と私に質問するべきだ。

 【6】は私が否定した。

 【5】は恐らく彼にも見えていない。

 【5】【7】が見えていない。


 彼の中で【8】のカード見えている確立は高い。

 よって、私がこの質問に答えるのは彼に答えを与えてしまうようなものだ。



 「質問の回答を拒否します」

 私はそう大場に伝える。


 仁品は芝原の質問を拒否しているため、その質問件を失っている。


 順は芝原にまわる。


 「大場先生、あなたに質問する」

 そう芝原が言う。


 「あなたから見える俺のカードは【5】以上ですか?」

 芝原はそう大場に質問をする。


 答えは【9】……彼がその問いに答えればYESだ。


 そんな彼の質問から浮き彫りになる真実こたえ


 彼は【9】の数字を知りたい。

 それは、私を含め3人が知っている。

 私のせいだが、【6】のカードは死にカードになっている。

 【7】のカードは私にも彼にも見えている。

 

 なぜ【5】以上で質問をした?


 【7】を知りたい大場は【5】以上と質問した。

 【9】を知りたい芝原も【5】以上と質問した。

 【6】と【7】と【9】は私が確認している数字。

 【5】と【8】……私には認識できない。

 【5】より上で二人が認識できない数字……

 大場は【5】と【7】

 芝原は【5】と【9】


 となれば、二人とも自分の表のカードは【1】か【2】か【3】

 そして、場に伏せられたカードもその3枚のどれかだろう。

 少なくとも私の裏のカードが【5】の確立はほぼ否定される。


 そして、どちらの質問からも浮いている数字……

 二人の目から認識されているだろうその数字は……


 大場は質問を拒否する。

 


 再度、仁品に質問権が渡る。

 「芝原君、君に質問しよう……」


 「君から見える僕のカードは【3】以上かい?」

 その質問に……


 「……回答を拒否する」

 そう告げる。

 よって、彼の質問権を失い、私に回る。

 終わりにする……


 「仁品先生に質問します……あなたから見える私の裏のカードと大場先生の裏のカードを足した数から芝原さんの裏のカードを引くとその解は7以上になりますか?」

 彼はその質問に……少しだけ戸惑う……

 何の意味があるのか……そう戸惑った顔をしている。


 「いや……ならないな」

 そう答えた。



 「コール……」

 私はそう言うとジャージのポケットに手を入れると、深く椅子に座った。


 【6】は私にしか見えない……そして私が殺したカード。

 【7】と【9】は私にも彼にも見えている……

 【4】は自分の知りたいカード。

 【5】または【8】……これを【7】に足して【9】で引く。


 【7】以下になるなら……当然【1】【2】【3】の確立も否定される。


 「私の裏のカードは【8】だ」

 そう答え、立ち上がる。


 パネルに【clear】の文字が表示される。


 正しいモノを見ろ。

 それが正解だ。

 それは裏切らない。


 ほぼ、同時に隣の席にも一人目の正解者が現れたようだ。

 もしかして、彼がと思い目を送るが……


 ぱっとしない女性が一人立ち上がる。

 確か、先ほど少し彼が親しげにしていた相手か?


 だいたい、想像できる。


 「先に待っているよ、つまらない偽善で足元掬われるなよ?」

 私は彼の後ろを通るように教室を一足先に退場する。


 

 正しさよりもずっと……あいつの偽りの方が人を助けているのかもしれない。

 所詮、私の正しさもこの島の狂気に引き寄せられたものだ。


 「なるほど……」

 一足先に廊下に出ると、また一つ柵が開いていた。

 明らかに罠……って感じだけどな。


 ゆっくりと私はその方向に歩き出す。

 

 「えっ、ねぇちょっと危険だってっ」

 同じく一足先に上がりを決めた鳴響リンネが私の後を追ってくる。



 長い廊下を歩く……

 ほとんどの教室はドアが硬く閉ざされている。


 そして、ようやく一つのドアが閉ざされていない教室を見つけた。

 結構な時間が過ぎただろうか。

 そろそろ、もう一人か二人、あがった者が居るかもしれない。


 ガラリとその扉を開ける。


 「フフっ……」

 自然と込上げた笑いと同時に冷や汗がつぅと額に流れる。


 無残に転がる7人の死骸……

 数日前?……いや、昨日か?もしかすると……数時間前かもしれない……

 恐らく、同じことがあった……

 そして、その全員が全滅。


 そして、殺人鬼はんにんは懲りずに次のゲームを始めたのか。



 「えっ?」

 着いて来ていた少女が青い顔をしてその様子を見ている。

 無理も無いと思ったが……


 「ネネ?」

 フラフラと教室に入っていく。

 

 知り合いが……混じっていたのか?


 「ネネ、ネネ?」

 近寄った生徒の名前だろうか、その名を何度も呼んでいる。


 そんな彼女を目にも留めず、私は別のモノを見つめその場所に歩き出す。

 その机の上に置かれたモニターの目の前に立つと……


 それを見計らったように映像が映し出された。


 映し出される仮面を付けフードを深く被った何者か……

 



 そんな正しき彼女と殺人鬼の会話。

 その内容は……今のボクは知らない。


 正しきはそこで何を見て……

 偽りは何を見誤るのか……


 事件ゲームは負ける事を考えないぼくかのじょの予想を反し……

 そして、勝利を確信する犯人さつじんきさえも裏切るように……


 そして、ボクは自分のテーブルの敗者となり、隣のテーブルの敗者と、

 敗者決定戦を行い……

 ボクは……彼を置き去りに教室を出た。


 最初の敗者が決まった。


 どんな手段で実行されたのかはわからない。

 再び教室に戻った時には……



 最初の犠牲者オオバカズイエはその場に転がっていた。

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