表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森の魔術師は王国の騎士に求婚される  作者: しろねこ。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/20

新たな生活

屋敷に着いた翌日、ミューズは祖父母であるパルシファル辺境伯に会うことになった。


母が亡くなった後の自分を心配していたことをそこで初めて知ったのだ。


ティタンから死を偽装されてたことを聞き憤慨したが、波風を立てて逆にミュートを危険に晒してはいけないと考えて秘密裏に探していたそうだ。


国内外問わずオッドアイの特徴を持つものを探していたが見つからなかった。


孤児院ではジュエルによって情報を秘密にされており、早い段階で顔も隠させていた。


あの時は状況も真相も暴かれておらず、敵か味方かわからないパルシファル辺境伯に伝えられることはなかった。




「ずっと会いたかった」


老いてしまったが、また祖父母に会うことができたこと、自分を思って泣いてくれることにミューズも泣いた。


目がとろけるんじゃないかというくらい泣いて泣いて、次の日は屋敷にてずっと籠もっているくらい腫れてしまったのは仕方がない。




「父上、いや国王陛下が受理してくれた。これで君はパルシファル辺境伯令嬢で、俺の婚約者だ」


いずれスフォリア公爵令嬢として復籍する予定だが、今は地位を確立させなくては第二王子であるティタンの婚約者に成れない。


辺境伯令嬢であれば問題なく結ばれるため以前より打診をしていたのが功を奏し、円滑に手続きを進めることが出来た。


「ありがとう」

腫れた目に冷やしたタオルをあてながらお礼を伝える。

恥ずかしさもあって今は目も合わせられず、この状態に助けられている。


(婚約者、私が)

目どころか顔中熱くなる。


家族への愛情が忘れられずいつかは優しい人と一緒になりたいと夢を見ていたが、こんなに大事にされるとは思ってなかった。


祖父母に会いに行く際のドレスも用意されており、専属のメイドと従者もつけてくれた。


ティタンがいない時は護衛騎士もついており、至れり尽くせりである。


いくら初恋の人でもここまでされていいのだろうか。


ドレス代など支払うと言っても受け取ってもらえず困っていたが、何かあった際に返せるようにしようとへそくりを貯める決意もして。


「明日には腫れが引くといいなぁ、婚約パーティ用のドレスとアクセサリーを準備せねばならない」

「婚約パーティ?!」

ガバっ起きるとティタンは当然という顔をしていた。

「俺は曲がりなりにも第二王子だ。婚約者が決まれば皆に披露しなくてはならない。兄上もレナン嬢も家族皆楽しみにしているから、残念ながらなしには出来ないな。

色合いは決まっているから、あとは細かな調整とデザイン選びだ。何せ二週間しかないから急がねば」

「二週間」

くらりと目眩がし、再びベッドに伏せる。

「早く君に家族になってほしいんだ。ずっと待ち望んでいたから」


優しく髪を撫でられ心地よいが、不安と心配しか沸き上がってこない。


「ティタン様、お願いです。残り時間でマナー講師の方もつけてください…少しでも不安を取り除きたいです」


ティタンのもとに来ると決めたのは自分だと腹をくくった。

せめて出来ることはどんどんしていこうと考える。


「君が望むなら。チェルシー、当日までミューズの体の手入れを手伝ってくれ。今でも麗しいが、当日はどこの令嬢にも負けないくらいにな」


「お任せください、わくわくしますわ」

チェルシーというミューズの専属メイドは見るからにうきうきしている。


「マオ、婚約パーティの招待客のリストと出席者数の最終確認をニコラと共にしてくれ。例の件もすすめる」

「わかったのです」

専属従者のマオも深々と頭を下げる。


自然治癒に任せようと思った腫れを魔法で治す。

反動で体が重怠くなるが致し方ない。


(今から平民になりたいって言ったら逃げられるかしら?)


ティタンなら全てを投げ売ってでもついてきてくれそうだが、ここまでお膳立てしてくれたエリックは容赦しなさそうだ。


シェスタの国でのやり取り、切り捨てると決めたら容赦しないだろう。


配下に暗殺と拷問に長けたものもいるらしいと聞いた、尋問は全てその人に行わせるほど信頼しているという。


その者はエリックを崇拝しているというから、もしも裏切ったら差し向けられるのだろうな。


一生来るかもしれない追手に怯えるよりは大人しく婚約パーティに出るほうがマシだと腹を決める。




「出来ることはやれたかしら」

ついに婚約パーティの日。


チェルシーにピカピカに磨かれたミューズは馬車の中でポツリと呟く。


ダンスは一曲、ひと通りの挨拶、貴族の名前は高位貴族は覚えた。

あとはチェルシーとマオに支援してもらい、それで今日を乗り切るしかない。


「今日の姿もとてもキレイだ、俺のためにと思うと嬉しさも一汐だ」


ティタンは抱きしめたいのを我慢し、代わりにミューズの手を握った。


ドレスの色は白地に紫のグラデーション。所々に金の刺繍がされている。

アクセサリーはペリドットを貴重にした物を身に着けている。


ティタンの瞳の色だ。


デコルテが美しく見えるようなデザインをしており、白い肌が強調されている。


ティタンの衣装もミューズと合わせ、白と紫を基調としているが髪の色よりもやや暗めの紫を使用していた。

濃淡による差をつけてあるためシュッとした印象を与える。

刺繍は金と青を組み合わせており、アクセサリーは金の台座とサファイアを用いてミューズの瞳の色を表している。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ