二、白球のプリンス③
7回目の投稿です。
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ニ、白球のプリンス③
「プレイボール!」
さあ試合開始だ。盛り上げて行くよ。うちは先攻。本来ならこの回。うちは3点を先行して力の違いを見せつける展開になる。でも負けるんだから意味ないけどな。だから、ここでもっと点が欲しい。
相手投手はエースである主人公ではない。控えの投手が投げている。だから、点が取れるんだけどな。主人公は150キロのストレートに高速スライダー。チェンジアップも搭載の補正モンスターだ。そう簡単に打てる相手じゃないんだ。
控え投手はやはり噛ませ犬であるが為に、能力の絶対値が低い。やはり、ここを叩くしかないのだ。一回から強烈な先制パンチを決めてやる。
第一、3点しか取れないのは監督の消極策のせいだ。初めての投手だから、よく見ていけなんていらないの。
「涼香様。ここはどのような作戦で?」
「相手投手は大したことないわ。どんどん積極的にいきなさい。エースを引きずり出すのよ」
まあ、3点でもエースは次の回から出てくるんだけど。私はこの回で引きずり出したい。
私の作戦は当たった。連打に次ぐ連打。打者一巡の猛攻、ついでに満塁ホームランまで飛び出して一気に9点を先行した。やりすぎたかな? いやいや、何事も徹底的にだ。しかし、ここで四番バッターってところでピッチャー交代。エースのご登場だ。
ストレート3球で空振り三振。気合入ってんなあ。MAX153キロは速えな。やり過ぎだろ。これは打てないな。化け物じゃん。
でも9点あるからね。一回1点取られてもとりあえずは大丈夫。抑えていきましょう。
「さあ、皆。守っていくわよ!」
言ったもののだ。言ったものの。何だ? これは? 神の意志というのはこれほどまでに強いのか? この試合は玉田高校が勝つという天命。それがここまで強烈なものだとは私は想像していなかった。
本来なら一回裏には2点を返される場面だった。軽く相手が勢いづく場面。しかし、勢いもくそもなかった。9点差あっても連中は意気消沈するどころか、恐ろしいほどの威圧感を放っている。野球モンスターか? こいつらは。
連中の反撃は凄絶を極めた。しかし、耐えた。私達は耐えたの。私の弱点ノートは効果的だった。何とか、ギリギリで交わし続けた。エースの森山くんはボロボロになりながら良くやってくれたわ。こっちの追撃は皆無。主人公は出てきてからパーフェクト。8回終わりまでに18奪三振。化け物ね。
それでも勝ってた。8回裏ツーアウトフルベース。バッターは主人公までは。
「打ったぞー! 大きいー!」
満塁ホームラン。苦手のインハイをフルスイングでバックスクリーン。逆転。
「フッフッフ」
追い詰められると変な笑いも出るものね。なんてこった。ここまで補正というものは強いのか?
主人公がベンチに戻り、泣いているマネージャーたる悪魔にガッツポーズを見せる様を見て私は決意を新たにした。
この試合。絶対に勝ってやるからな!
続く。
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