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二、白球のプリンス編①

五回目投稿です。

遂に本筋をやっていきたいと思います。

よろしくお願いします。

ブックマークと評価ありがとうございました。

日間入れました嬉しいです。

頑張ります。


二、白球のプリンス編①


 麗華は今日も遅くまで、習い事をしてようやく解放された。本当にご苦労なことだ。私としても頭が下がるよ。その調子で、令嬢としてのスキルをどんどん上げてくれ。宿主の力は、それを依り代にする、私の力の底上げにもなるからね。


「今日は何だか、良かったな……」


 麗華は物思いに耽っていた。そうだろう。そうだろう。大好きな誠くんとこんなにも話をして、距離が縮まった日は無いのだから。存分に思い起こし、喜べばいい。


「さあ、寝ましょう。明日も学校だから」


 ゆっくり休めよ。明日もまた、あの悪しきヒロインとの戦いがお前を待っている。寝て、力を蓄えるのだ。……寝つきが良いなこの子は。もう夢の中かい? 余程疲れているんだね。さて、じゃあ私は自分の本職を始めようかな。おやすみのところ悪いが、少し体を借りるよ。


 私は麗華のカバンから一冊漫画雑誌を取り出した。鈍器のような厚さがあるな。買ったのがバレないか冷や冷やしたぞ。雑誌の名は月間少年ビクトリー。私が注目した作品は『白球のプリンス』という野球漫画だ。


 白球のプリンスは弱小私学に進んだ主人公が野球部を立て直し、強豪校と戦い、甲子園を目指していくという人気漫画だ。そう。この漫画のヒロインを今回は潰してやろうというのだ。


 問題のシーンは、秋の地区大会準決勝。主人公チームは、ライバル校である有名私立を倒し、二年目の春にして初の甲子園出場を決定する。このシーンで主人公はヒロインから手作りの御守りを手渡されて、試合に臨み、見事に勝利する。そして、ヒロインと主人公が思い合う仲から、完全に結ばれた存在になるという訳だ。


 それだけでも腹が立つが、私が注目した理由はそこだけではない。そのライバル校のマネージャーたる理事長令嬢はサブヒロインとして設定され、この試合に勝ったら、主人公に告白しようと思っているのだが、勿論負ける。というか、負けた。今月号で負けたのだ。そして、自ら主人公から手を引いた。


 許せるか? こんなことがあっていいはずがない。私がこの物語に介入し、この令嬢をヒロインに勝たせようという訳だ。ふふふ。初仕事だ。ワクワクするなあ。早速行ってみるか。麗華、悪かったな。体は返すよ。ゆっくり休んでくれ。


 私は作品の中に入った。そう今、私は球王学園の野球部マネージャー。有賀涼香(ありがりょうか)という訳だ。そして、作品時間はピッタリ。例の試合前だ。


 私の作戦はごく単純だ。というのも、やはり作品を根本から崩し、ヒロインを倒すには少々の工作では足りない。物語にとって重要な場面、ターニングポイントを見つけ、そこを崩すのだ。つまり、今回の場合求められることは。試合に勝つこと。それだけだ。試合に勝って、令嬢のフラグを立てると共に、ヒロインのフラグを折ってやる。


 試合に勝つには何が重要か? やる気かな? 選手たちはやる気十分だ。甲子園が掛かっているのだから当然だ。監督も檄を飛ばしている。言うことないだろう。普通ならな。でも、ここは普通じゃない。漫画の世界なのだ。作者という神によって運命が決められている世界なのだ。つまり、このままじゃこいつらはどうやっても負けるのだから救いようがない。


「皆様。少々よろしくて」


 だから、私が取る作戦は簡単だ。


「この試合の指揮は私が執りましてよ。良いですわよね? 監督」


 勿論、選手や監督からすればいいことはない。非難ごうごうだ。


「何言ってるんですか? 涼香さん」

「そんなの急に言われても。熱でもあるんですか?」


 一番怒っているのは監督ね。


「涼香様。いくら何でもそれは……」


 私にとって好都合なのは、涼香という理事長令嬢は元々わがままで無茶を言うキャラクターということだ。つまり、立場を盾に押せば通せる。


「監督。ならあなたは解任よ。嫌なら私の言うように指示を出しなさい」


 その一言で、監督は黙った。それでいい。


「この試合は絶対に勝たないといけないの! 皆、分かったわね!」


 私が檄を入れても、皆の反応は薄い。でも、これでいいんだ。これで、世界は変わった。悪魔たるヒロイン率いる主人公高に勝つには変えていかなくてはならないんだから。私の指揮で、試合に勝つ。

 

 さあ、面白くなってきたぞ。


 続く。


ありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

ブックマークや評価待ってます。

よろしくお願いします。

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