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一、ヒロイン殺しの九十九神②

2回目投稿です。

読んでくれたら嬉しいです!

ブクマありがとうございました!

よろしくお願いします。


 一、ヒロイン殺しの九十九神②


 翌日。

 私は麗華と共に学校に来た。私がいることに気がつくものは誰もいないがな。平和なものだ。しかし、麗華の心は晴れない。何故なら、今日も恋の噛ませ犬にされることが分かっているからだ。


「はぁ」


 そうため息をつくな。私がどうにかしてやる。楽しみだ。

 麗華が教室に入ると、三人の娘が寄ってきた。これは麗華の子分みたいなもの。取り巻きだ。ハッキリ言って恋には邪魔なものだ。しかし、令嬢には付きものだ。


「おはようございます。麗華様」

「ええ、ご機嫌よう」


 麗華はすました顔でそう答える。本当は笑いながら楽しく挨拶したいのだ。しかし、人にはイメージというものがある。人はこれが壊れることを恐れる。しかし、イメージとは周りが作るものなのだ。それを恐れている限り、ヒロインの手のひらの上なのだ。あの性悪共は、それを最大限利用してくるからな。


「大月さん。おはよう」

「お、おはようございます」


 爽やかに挨拶をしてきた男こそ、麗華の好きな男。佐藤誠(さとうまこと)。同級生だ。隣の席だ。サッカー部のエースでイケメン。そして優しく、八方美人。絵に描いたようないい男だ。


「誠。おはよ」

「望結。おはよう」


 そして現れたあの女こそ宿敵だ。麗華を噛ませ犬とするなら、メインヒロイン。鈴木望結(すずきみゆ)だ。軽い天然気味に見せかけた性格と、幼なじみという立場を利用して誠を我が物とする性悪女だ。席は誠を挟んで隣になる。


「ごめんね。誠。今日、お弁当忘れて来ちゃったんだ。由紀と食べる約束してて忘れてたんだ」


 始まったよ。麗華も嫌な予感を心に誠の方を見る。


「大丈夫だよ。気にしないで」


 それを聞いたヒロインが、麗華の方を向いた。そうこれがやつの作戦だ。


「どうかしたかな? 大月さん」


 どうかしただと? どうもせんわ。見てただけだ。しかし、それを奴は大袈裟に言う。そうすることで、無理矢理、麗華を会話に巻き込むのだ。そして、麗華はイメージを気にする。


「あ、朝から隣でいちゃつかないでくださるかしら?」


 心にもない言葉が口をつく。そして自ら後悔する。そして、乗っかってくる子分たち。


「そうよ」

「そういうのは他所でやってくれる?」


 こうなればもう最悪だ。


「ごめんなさい」


 何とわざとらしいしおらしさ。これが、ヒロインの作戦なのだ。これで、麗華の印象は悪くなり、ヒロインの印象は良くなるのだ。


「はは、大丈夫だよ。望結。ごめんね。大月さん」


 ほら見ろ。見事にやられた。だが、それでいい。これは、私に言わせれば大チャンスなのだから。


「俺は昼はどうしようかな? 金無いしなあ」


 来た! とヒロインは思っているだろう。奴は由紀って友達も麗華と同じように噛ませ犬にするつもりなのだ。ヒロインは一緒に食べようと誠に提案するだろう。麗華はそれを羨ましいと思いながらも、聞かないフリをするのだ。いつもならな。少し体を借りるよ。


「じゃあ、誠も……」

「なら佐藤くん。私達と一緒に学食はいかが? おごって差し上げるわよ。ねえ、皆さんいいわよね?」


 あの顔、ヒロインのあの顔笑えるぜ。キョトンとしてやがる。そりゃあそうだ。普段吠えない犬が吠えたようなものだからな。


「えっ? ええ、もちろんです」

「歓迎です」

「ねえ」


 誰も反対する者はいるはずもない。基本的に、女子は皆、誠は好きで、ヒロインは嫌いなのだ。


 面白くなるぞ。この謀反は。


「まじ? いいの? おごってくれるのかぁ。いいなあ」


 誠が断る理由もない。誠とヒロインは別に付き合っていないし、金が無いというのも好都合だった。焦るのは、ヒロインだ。


「でも、誠……」

「いいですよね? 佐藤くん」


 絶対にお前には発言させてやらねえ。発言は被せる! 潰す!


「じゃあ、お願いしようかな。おごってもらお」


 ちょろいもんだぜ。そして、もう逃さない。ヒロインさんよ。あんたのとこには誠はもう戻らないよ。


「分かったわ。よろしくね」


 私はここで麗華に体を戻す。いやあ、愉快だな。ヒロインのあの顔、毒づきたくてしかたないだろうな。でも、できない。イメージがあるからな。これは、お前が麗華に対してやってきたことと同じなんだぜ?


「やりましたね。麗華様」

「凄いです」


 皆から小声で感嘆の声が掛けられる。取り巻きは麗華が誠を好きなことはもちろん知っているし、ヒロインのやり口も知っている。彼女たちも嬉しいのだ。麗華本人は訳が分かっていないが。


「皆様、どうしたの?」

「どうしたのって、麗華様大丈夫ですか? お昼ですよ。誠くんと学食楽しみですね」


 それを聞いた麗華の口元が緩む。訳は分からないが、嬉しいのだ。全く愉快だ。


「よろしくね。大月さん」

「えっ? ええ、よろしくお願いします」


 誠に直接言われることで、実感が湧き、喜びが溢れてくる。この感情を忘れるな。あの悪鬼たるヒロインに勝つにはその気持ちが必要なのだ。見てみろ、ヒロインのあのほとばしる怒気を。体から湯気でも出そうだぞ。

 

 さあ、面白くなってきたぞ。次はどうしてやろうかな?


 続く。


ありがとうございました!

次回も頑張って書きます。

ブクマも評価も歓迎です!

よろしくお願いします。

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