A1
いよいよだね
「……んん」
大きな欠伸をして目を覚ました。
妙に頭が痛い。
うーん、あれ、ここは……
明るい陽だまりの中で目を覚ます。
ぽかぽかととても良い目覚めだ。頭痛いけど
見渡す限りの草原が広がっている。
赤、紫、ピンク、、、と美しく満開な花々が前方にあり、
ってちょっと待って。
わし外にいないか
え、え、え
痛む頭を頑張って回転させる。
なんで外にいるんだ。ここはどこ?
外にいる理由は…思い出せない。
慌ててあたりを見渡す。
目の前には草原、反対に後ろには鬱蒼とした巨大な森林がある。
いくらなんでもでかすぎる森だ。木一本でも東京タワーくらいあるんじゃないか。目の前の花畑と比較してしまうせいかあまりにも森は薄気味悪い。まるで音すら死んでいるかのようだ。
天国と地獄の間にいるような気分だ。
スマホは……お、ついた。
ただ圏外になっている。まあ、そんな気は薄々していた
どうみても電線やアンテナなんて近くにないだろうし。
それでも1つだけ知りたい。
ここは日本だよね・・・・?
別に旅行とか頻繁に行くタイプではないけどこんな場所本当に存在した?
そう考えるとスマホのディスプレイに文字が浮かび上がった。
「え、え、なになに」
<現在地:カニバル草原~ボス大森林>
場所の名前だ…!
なんだこの機能、スマホはこんなことできたのか!
現代文明最高!!
自分のスマホを我が子のように撫でまわしながら場所を確認する。地図とかはないが、文字だけでも十分わかる。
ここは日本じゃない。
ボス大森林に至っては見た目から日本を感じない(?)
さてどうするか
「とりあえず、人に会って日本に帰らないと。大使館とかに行けば帰れるはず。でもパスポート持ってないし、本当にどういう経緯でここに来たんじゃろ。」
ぶつぶつと独り言を重ねながらおいらは草原に向かって歩き続けた。
とりあえずここら一帯には人の気配が全くないし。
それにしても綺麗な草原だなあ。歩いていても足元に虫とか全然見当たらない。
まるで深緑色の絨毯の上を歩いている気分だ。
それくらいストレスを感じない。
「虫嫌いなわしからしたら天国じゃのうここは。アリさんすらいないし」
歩を進めていくうちに目覚めた時に見えていた花に近づいてきた。
近くで見ると以外にもめっちゃ大きかった。
目測だけど花一つで5メートルくらいあるんじゃないかな…。
首が痛いくらいだよ
でもさっきまで目につかなかったのはどうしてじゃろ。
なんかいきなりでかくなったような気がする。
謎の違和感に首をかしげる
「普通こんなに大きかったらもっと早く気付かないかな?」