A8
話が動き出したね
ふと目を覚ます。
ここは・・・?
ズキりと頭に痛みが走る。
ああ、そうだ。僕はゾムの恋人だ。
何してるんだろ
早く戻らなきゃ
「ここはどこ?」
落ちているスマホに質問する
<ノラ王国~カニバル草原>
「んげ、王国近くにいるの」
ぺぺぺっと唾を吐く
「あーやだやだ。もう空気が汚いよね、ここは。おいどんの唾で浄化してやろうかな」
ぺぺぺぺぺ!と唾百裂拳を編み出したとき、突然声をかけられた
「なぜここにいる・・・?」
褐色の肌に銀の髪をしたエルフがこちらを呆然と見つめていた。
独り言してたのばれるの割と普通に恥ずかしい…
「あ、どうもこんにちわです。」
その瞬間地面に叩きつけられ眉間に剣をかざされる
「なぜここにいるのかと聞いているんだ!!!」
瞳に燃え上がる怒りをもってこちらを睨みつけてくる
「え、え、え、」
びっくりだし怖いしでうまく話せない
「あ、ぼ僕はカエデといいます。さっきここで目を覚ましてどうやったら家に帰れるのかと思ってました!本当にそれ以外のことはよく分かってなくて……」
「いつまでふざけている?余程殺されたいようだな」
エルフは躊躇なく僕の右腕を切り落とした
「エ?????~~~ンああああああああああああああああ!!!」
信じられない。
呼吸が止まる。痛みで一気に涙が出てくる
「なぜここにいるんだ。誰の仕業だ。答えろ」
「な、なんなんだよ!あんた!僕があんたに何したんだよ!!」
ぞぷ
と脇腹を貫かれる
「!???????~~~~~ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「何をしたか、だと。良いだろう。お前の体で思い出させてやろう。」
エルフが刺さっている剣の柄にゆっくりと手を伸ばす。
なんなんだよ・・・何をしたっていうんだよ
呼吸も困難なほどに苦しい。
ああ・・・。死ぬのかなあ。
ゾム……死ぬ前に会いたいよ……
痛みで震える目をぎゅっとつぶる
「煌王一閃」
眩しい光と共にエルフが勢いよく吹き飛んだ。
「もう大丈夫だ」
光の源には、
金髪に翡翠のイヤリングをした男が立っていた




