B4
ノラ王国
第一王子 ミドラ
第二王子 カケル
第二王女 エラ
荒れてるねえ
「すまない、しばらく1人にしてくれないか」
親睦会が終わってからというもの、頭の痛みは日を追うごとに強くなっていた。
「俺は彼女をどこかで見たことがある。絶対だ。」
コツコツと机の端を指先で叩き続ける。
どこで見た。なぜ知っている。気になるのはなんでだ。
どうしてこんなにもイラつくんだ。
どうしてこんなにも頭から彼女の姿が離れないんだ
無性にイライラする気持ちを抑えつけるように修行へ向かう。
少し赤みを帯びてきたゴーレムへ竹刀を容赦なく振り落とす。
「腹が立つ」
竹刀を振り落とす速度をさらに上げる。
薄目でゴーレムはこちらを観察している。
「なんなんだ」
竹刀が音を立てて折れる。
役立たずが。
折れた竹刀を両手に持ち、躊躇なく突きを繰り出す。
辛抱たまらなくなったのかゴーレムは目を開き、その体をより赤へと近づけていく。腹から刀を取り出し鞘をつけたままこちらへ斬りつける。
「んんっぐう!」
正面からまともに食らい、肺の空気が口から漏れ出る。
だが気にするほどではない。
それ以上にあの日からの苛立ちが体を動かす。
「あああ!」
竹刀で目を狙う。
すんでのところで躱され、あばらに重い一撃をもらう。
「んんん、シイいい、、、!」
痛い。
歯を噛みしめて声を押し殺す。
気づけばゴーレムは目を開き、両手で構えをとってこちらを睨んでいる。
「気に食わない。」
「気に食わない気に食わない気に食わない気に食わないウザイうざいうざいうざいうざいうざいうざいウザイ」
いらい
らいらいらい
らいら
する
なんなんだ
。なんでこんな気分になる。
何に怒っているん
だ
むかつ
く
殺し
てやりたい
俺は竹刀をどこかへ投げ捨てボックスから聖剣を抜く。
ゴーレムも何かを察知したのだろう、刀の鞘を勢いよく抜き去りどこからか鎧を身にまとっている。
赤い蒸気が勢いよく体表から噴き出る。
「ノラ」
聖剣へ声をかける
それに呼応するかのように聖剣は眩しく光を放ち、その姿を王たる輝きで染め上げる。
「煌王一閃」
本気の力で振り下ろす。
ありえない地響きと共に大地が割れた
パラパラと煙が晴れると粉々になったゴーレムの兜と目玉が転がっていた。
聖剣を片手にゆっくりと亡骸へ近づく。
そして
どこを見ているのかもわからない眼球を踏み潰した。
「・・・新しいのもらわないとな」
聖剣を眺める。
こいつのスキルだろうか、頭の痛みは今は引いている。
「ノラ」
煌々と呼応するように光を放つ。
それを見た瞬間俺は聖剣を地面に叩きつけた。
「最初から俺の頭の痛みをとれ。俺が言わないと分からないのか。」
ガン ガン ガン
眼球が糸を引く足でこのクソみたいな剣を踏みつける
「名ばかりの役立たずが」
聖剣をボックスへと蹴とばす。
俺は王宮に出来上がったクレーターに暫く立ち尽くしていた
「フフ、凄く順調ね」
可愛らしい声が響く。
「もう少しよ。あともう少し。」
「・・・」
隣に並ぶミドラは何も語らず、恍惚とした表情でカケルを見つめるのであった。




