C2
「お前、最近人間に肩入れしすぎじゃね?」
「ふん、気まぐれに過ぎん」
私、アイスを先頭に谷へと進む。
後ろのみなはまだなんとかついてこれているようだ。
「相変わらず魔力が濃いねえ。こんなとこ長時間居たら頭がくらくらするわ」
「全くだ」
アイスの言うとおり
飛竜の谷は危険ランクでいえばB(+)~A(-)にあたるほどのかなりの危険地域だ。
我々も1人、2人で進めば命はない。
また危険な場所ほど魔力濃度が濃い。
魔力濃度に耐えられるものだけが生息を許されるからだ。
段々と道に魔晶石が見えてくる。
谷にのみ結晶化する魔力の塊だ。
「もうすぐだな」
注意深くあたりを観察するが、頭の隅に引っかかることがあった。
「アイス」
「どうした相棒」
「いつから相棒になったんだ。まあいい。お前、人間と会ったか」
「いんや、会ってはいねえな。ただ広場で突っ立ってるのは見かけたな」
「・・・そうか」
用はないとばかりに顔をそむける
「いやいや言えよ。気になるだろ笑」
こいつやばすぎー!と後ろのみんなに愚痴っている。
まったく・・・
「いや、気のせいだとは思うのだが。」
頭の中で思うことをまとめながら話し出す。
「人間の世話をしている時気になることがあったんだ。奴は喉や手足に深刻なダメージを負っていたが外傷は大したものではなかった。」
「ケガが原因であんなよろよろの雑魚になってるわけじゃないってかい」
「恐らくだが。それと、奴の中で違和感があったんだ。」
「もったいぶるねえ。面白くなかったら谷に落とすからな」
一発アイスの頭をどつく
「奴からこの魔晶石と同じ魔力を感じたのだ」
道沿いに固まる魔晶石を手に取る。
「流石に気のせいだろ。魔晶石は属性もなんもない、純粋な魔力だろ?」
「そうだ、魔力には必ず色がある。これは世界の掟であり、エルフもモンスターも人間もこの枠にある。」
魔晶石に魔力を流しこむ。真っ黒だった石が深い藍色へ姿を変えていく。
「だがもし、そのような存在がいたとしたら。」
ケタケタと笑っていたアイスの顔に影が差す。
「ああ、そんときゃ」
「魔王の復活だな」




