ウィニー・プリティアの誓い
『私は悪役令嬢になる、はずだったんだけど……』一万PV突破御礼投稿第七弾!
こんな諺がある……
「なろラジが短編モチベーションを作った」
いよいよ主人公登場の第七話! お楽しみください!
時々怖くなる。私はこんなに幸せで良いのか、と。
入学式の日、覚悟はしていたけれど、身分を笑われて辛かった。きっとこの学園に居る間、この目と声に耐え続けるのだ、と。
しかしそんな後ろ向きな覚悟を、モリシャス様は打ち払ってくださった。闇に飲み込まれそうな私に差した光だった。
その後もとても仲良くしてくださり、せめてものお礼にと作ったお弁当も喜んで食べてくださった。
……ハンス殿下まで誘われたのには本当に困ってしまったのだけれど、優しい方で良かった。
モリシャス様のお兄様とお会いした時に、うっかり目元が似てると言ってしまった。失礼な事を言ってしまったのに、モリシャス様とお兄様は笑って許してくださった。温かい方だなと感じた。
アウグス様は、最初は怖い方だと思っていたけれど、マインさんの一件の後、
「マインを救ってくれて、ありがとう……!」
と涙ながらに言ってくださった。本当はとても思いやりの深い方なのだ。その上、私に名前で呼ぶ事を許してくださった。嘘みたい!
ジーン君もそうだった。
「僕を呼ぶなら名前で呼んでー。様もなし。じゃないと返事しないからねー」
可愛いけれど、きっとジーン君にも無邪気さの陰で、頑張ったり無理をしている事もあるのだろう。
受け止めてあげたい。……とんでもない物を作るのは、やめて欲しいけれど。
マインさんは、この前の休みにご実家に帰られて、ご家族に今まで我慢して来た気持ちを訴えたそうだ。
後から聞いたアウグス様が馬車を駆って追いかけ、マインさんに手を上げようとした男爵を引っ叩いたそうだ。
「まるで、物語の、王子様でした」
嬉しそうにはにかむマインさんと、真っ赤になって俯くアウグス様。そのお陰でマインさんに折檻が行われたら、伯爵家から厳しい罰が降ると言う話になったそうだ。良かった。
「俺様ならもっときっちり締めてやったのにな」
ヴィオ先輩は時々私達の勉強会やお茶会に来ては、そんな事を言う。でもこの人の心は真っ直ぐだ。悪ぶらない方が良いと思うのに。
……素敵な方々に囲まれて、自分に何が出来るのか、不安になる。平民で、何の力もない私が……。
「ウィニー!」
「! モリシャス様!」
モリシャス様のお顔を見ると、さっきまでの不安が風の前の雲の様に散っていく。
……そうだ、私はモリシャス様の為に、出来る事を精一杯させて頂くんだ!
「ご機嫌よう、ウィニー」
「ご機嫌よう、モリシャス様」
素晴らしい一日が、また始まる……!
読了ありがとうございました。
ウィニー可愛いよウィニー。
人の良い所や弱い所に気付ける力を持っているけど、自分に対しては自信が無い。それがモリシャスによって変えられた、と言うのがウィニーの背景です。
一方的に救われるのではなく、相互に救い合える、そういうの、好きですね。ともすれば共依存まっしぐらですけど(笑)。
最終話は我らが悪役令嬢、になれなかったモリシャス様です! よろしくお願いいたします!