ヴィオ・レイ・エンスの語らい
『私は悪役令嬢になる、はずだったんだけど……』一万PV突破御礼投稿第六弾!
「投稿」とは「怖さ」を知ることッ!「恐怖」を我が物とすることじゃあッ!
書き上げてから時間を置くと怖くなります。でもすぐ投稿すると大抵ミスがあります。ジレンマ。
頑張って投稿したヴィオ先輩の物語、お楽しみください。
「ったく、なっちゃいねぇぜ!」
「何がだ」
俺の苛立ちに、隣にいたネスティが本から目を上げた。
「分からねぇか!? この学園だよ! 地位の高い奴が低い奴をいたぶり、下の奴は文句も言わない! このジメジメした鬱陶しい空気、何とかしてぇと思わねぇのか!?」
「別に」
「お前はその冷たさ、何とかならねぇのか!?」
ネスティが溜息を吐いて本を閉じる。よし、話を聞く気になったな。
「で、その空気を変える為の行動が、弱い者いじめをしてる奴らを更に上からいじめる、だったか?」
「そうだ」
「意味が無いだろう。お前が弱い者いじめの代表になるだけだ」
「それで良いんだよ」
俺の笑いに、ネスティは溜息を吐いた。
「御伽噺の魔王にでもなるつもりか」
「言い得て妙だな。俺様が巨大な悪になれば、貴族も平民も皆平等に恐れる。そうすればちまちましたいじめは無くなる」
「恐怖による統治か。それで弱い者いじめが無くなったとしても、怯えしかない活気の無い学園になるだけだ」
「そこで英雄様が必要な訳よ」
馬鹿らしい、と立ち去らない辺り、一応聞く気はあるようだ。
「暴虐な俺様に立ち向かう奴、弱くて身分の低い奴が良い。そんな奴が俺様に歯向かい、意見する。それを見たら、馬鹿共の目もちったぁ覚めるだろうよ」
「自分の力を弁えろ。侯爵家でしかも素手で熊と戦えそうな大男だぞ」
「そんなの関係なく立ち向かってくる、骨のある奴はいねぇもんかねぇ!」
「無い物ねだりだな」
分かっちゃいるけど辛いぜ。
「俺は邪魔はしないが乗る気も無い」
「あぁ、お前じゃ家が強過ぎる。来年の新入生に期待だな」
「望みは薄いと思うがな」
はっはっは! ネスティ、居たじゃねぇか! 俺の求める英雄が!
平民で、しかも女! これ以上無い『俺様に逆らうはずのない奴』だ! それが俺の前に立って真っ向から文句を言って来た!
食堂の連中の顔ったらないぜ!
「あんな弱い子が立ち向かっているのに、自分達は何をしているんだ……」
そう言いたそうな顔で、だ!
そしてネスティ、人が悪いぜ! 妹があんな良い女なら教えてくれたって良かったのによ!
入学式の件は聞いてたが、公爵家令嬢じゃなぁと考えから外していたが、あの知恵! 度胸! お陰で予定以上の成果が上げられた!
これでこの学園は変わる! 身分も強さも関係なく、誰もが理不尽に声を上げ、過ちを正せる学園に!
この話をしたら、あの冷静なネスティがどんな顔をするか、今から楽しみ……、お。
「おーい、ネスティ!」
読了ありがとうございました。
お兄様と仲良し設定を追加。あとお兄様にクールキャラも追加。今更ですが。
知的な乱暴者って難しい! 誰だこんなキャラにしたの! 私ですごめんなさい! 許す!
そんな茶番を脳内で繰り広げながら四苦八苦してました。
さて次はいよいよ真打登場! 残り二話! よろしくお願いいたします。