マイン・ド・カウ・ワードリーの決意
『私は悪役令嬢になる、はずだったんだけど……』一万PV突破御礼投稿第五弾!
この「悩み」こそ「生」のあかし
この「悩み」あればこそ、「喜び」も感じることができる
これが投稿か…………
結構オチに悩んだマインの物語、お楽しみください。
私は弱虫。
お父様に殴られ、お母様に叩かれ、お兄様やお姉様から出来損ないと詰られ、蹴られ、ただ終わるのを待つしか出来なかった。
そんな家から逃げ出したい一心で、勉強を頑張った。そして全寮制のエイムハイン学園に合格した。
そうしたらお父様もお母様も、急に優しくなった。そして、偉い人と仲良くなるように、入学式の当日まで言われ続けた。
男爵の家は、貴族の中では一番下だ。だから偉い人に位を上げてもらおうと言う事なのだろう。
だから入学式では偉い人を探す事しか考えていなかった。
だけど。
「ここは由緒正しいエイムハイン学園! ここに通う以上、平民も貴族も関係ない! あるのは真摯に学ぶ姿勢とその成果よ! 彼女にその資格が無いと言うのなら、この学園そのものと戦う覚悟をなさい!」
凄く大きな声で、私はびっくりした。でも何だか怖くなかった。
『戦う』と言う言葉が、やけにはっきり聞こえた。
テンペルド様みたいになりたいと思った。でも弱虫の私は声もかけられない。皆が怖くて、泣いて、謝ってばかりだった。そんな時、
「貴女、平民にぺこぺこ謝るなんて貴族の位を何だと思っているの!?」
アーリー様が声をかけてくださった。怖かったけど、嬉しかった。一人じゃなくなった。
アーリー様がテンペルド様と勉強をすると聞いて、私は図書館に向かった。こんな事初めてだった。
そして、テンペルド様が私の痛みを見つけてくださり、ウィニーさんに優しく抱きしめてもらって、私は初めて自分のしたい事を言えた。
その日の夜、アーリー様にお礼を言いに伺ったら、アーリー様の顔はとても険しかった。
怖かった。また怒られるのではないかと思った。でもテンペルド様が、ウィニーさんが、そしてアーリー様がいっぱいくださった私の中の勇気をかき集めて、お礼を言った。
アーリー様は私を抱きしめた。ウィニーさんみたいに優しくはなかった。少し苦しくて、とても嬉しかった。
アーリー様のお部屋の入口で泣いていた為、テンペルド様にご心配をかけてしまったけれど……。
私は弱虫。
でもそんな私に優しくしてくれる人がいた。
泣いてくれる人がいた。
だから私は戦う!
アーリー様と、テンペルド様と、ウィニーさんに恥じない私になるんだ!
「ま、マイン! お、お前よくも親に向かってそんな口を……! 逆らうとどうなるか、もう一度身体に教え込んで……! だ、誰だ! マインの友達!? 誰だか知らんが帰……。あ、アーリー伯爵家令じょぶべっ!」
読了ありがとうございました。
文字数の関係で男爵の描写が分かりにくいかも知れませんが、マインが強くなるべく一人実家に向かったのを知り、猛然と追いかけ間に合ったアウグスによってぶっ飛ばされています。
……何かマインはアウグスとのフラグが立ち過ぎている気がするんですけど、どうしましょ?
いや別に百合も良いんですけど、そうすると男が余って……。え……? それはそれで? なら良いんですけど……。え?
次は一番キャラ作りに苦労したヴィオ先輩の物語。よろしくお願いいたします。