ジーン・ニー・アッシュの思い
『私は悪役令嬢になる、はずだったんだけど……』一万PV突破御礼投稿第四弾!
ねーちゃん! とうこうっていまさッ!
天才の設定をちょっとだけ生かした物語をお楽しみください。
「楽しかったなー」
今日は樹の上で昼寝してたら、落っこちて、綺麗なおねーさんと可愛いおねーさんに会った。
綺麗な方がモリー。可愛い方がウィニー。
「あら、子どもの頃お兄様に呼ばれて以来ね、そのあだ名」
モリシャス、なんて言いにくいからあだ名を付けたら、モリーはにこにこしていた。
僕がウィニーから道具を借りようとした時はすっごく恐い顔してたけど、僕がちゃんと大人から借りてくると、優しくなった。一緒に描こうって言ってくれた。
可愛い方のウィニーは全然怖くない。でも僕の周りの大人みたいに、何でもかんでも褒めない。僕が樹の葉っぱの色が、緑と、黄色と、青と、白で出来てる事に気が付いて、色を混ぜている時に、
「凄いですね! 明るい所は黄色と緑、暗い所は青と緑、光っている所は白で描いているのですね!」
そこだよって所を褒めてくれた。
僕の周りの奴らは馬鹿ばっかりだ。僕が適当にやってる事と、頑張ってやってる事の区別が付いてない。何でも
「天才だ! 天才だ!」
で片付けようとする。そう言うのは嫌いだ。僕を見てない。僕がした事を見てる。大人はそれにしか興味が無いんだ。
だけどモリーとウィニーは違った。違う事をしたら怒るし、頑張ったら褒めてくれる。それは僕を見ている事。だから二人の側は、今日の樹の上みたいに気持ち良かったんだ。
学園の勉強は大体覚えちゃったから、勉強しなくて良いよって言われてるけど、モリーとウィニーが居るなら、授業ってのに出てみようかな。
そしたら僕が凄いとこいっぱい見せられる。いっぱい褒めてもらえる!
モリーとウィニーなら、僕が授業に行っただけでも、
「頑張ったね」
って褒めてくれそう。それは凄く良いぞ!
でも行くだけで褒められるのも何か恥ずかしいな。よし、何か凄いの持っていこう。
これまでの三倍の力を生み出す新しい燃料使った乗り物の試作品を持っていってみようかな。それとも土がある限り幾らでも実を付ける果物の苗が良いかな。
明日が楽しみだなぁ。
「ジーン! 凄い速度で暴走したり、土を根こそぎ枯らすような物は作っちゃ駄目よ!」
「……はーい」
「でも凄かったです。もっと安全に使えるよう頑張れば、きっと皆の役に立てますよ」
「うん!」
僕、褒められるの好きだと思ってたけど、怒られるってのも悪くないな。
壊れた試作品と教室の机、それとからからになって砂になっちゃった土を皆と片付けながら、僕は初めて『学園って楽しいな』って思ったんだ。
読了ありがとうございました。
オチ欲しさにジーンをマッドサイエンティストにしてしまいました。モリシャス様叱ってください!
次は気弱な令嬢マインの物語。気弱っ子可愛い。
次回もよろしくお願いいたします。