アウグス・リー・アーリーの償い
『私は悪役令嬢になる、はずだったんだけど……』一万PV突破御礼投稿第三弾!
なに? タイトルが悪役令嬢なのに追放が出てこない?
それは無理矢理『ざまぁ』しようとするからだよ
逆に考えるんだ 「ほのぼのでもいいさ」と考えるんだ
ちょいシリアスのサブ役令嬢の物語をお楽しみください。
私は最低だ……。
伯爵家令嬢と言うだけで、神に選ばれたかのように平民を見下していた。
テンペルド様が入学式の日に、貴族も平民も学ぶ上では同じと言った時、私は耳を疑った。公爵家令嬢の言葉とは思えなかった。
授業が始まってからも、テンペルド様は平民のウィニーと過ごしていた。そこで私は思ったのだ。
『あの平民がテンペルド様の邪魔をしているのだ』
お優しいテンペルド様が口に出せないのなら私が、そう思った。伯爵家令嬢の私が言えば、平民のウィニーはすぐテンペルド様の元を離れるだろう、と。
しかしウィニーは涙を目に溜め、震えながらも私の言葉を拒否した。信じられなかった。平民とは貴族に怯え、何も出来ないと思っていたのに。
そして私はテンペルド様の怒りを買った。死んだと思った。しかしその後勉強を共にしようと言ってくださった。救われた気がした。変われるかも知れないと思った。
それなのに。
「ごめんなさい、マイン……」
私は側にいたマインの苦しみに気付いてあげられなかった。守っていたつもりが、ただただ追い詰めていただけだった。
あの場に来ただけでも勇気を振り絞ったのだろう。私はそれを察するべきだったのに!
結局マインの心の傷は、テンペルド様が気づき、ウィニーが癒した。私は何も出来なかった……。私なんか居なくても……。
「……アーリー様……?」
マインの声! 何故こんな時間に、いえ、私の所なんかに……?
気が付けば扉を開けていた。
「……どうしたの?」
相談ならテンペルド様やウィニーに、と言いかけて飲み込む。あまりに惨めだ。
「……お礼を、申し上げに、参りました……」
「……お礼ならテンペルド様とウィニーに」
「いえ」
マインが、私の言葉を、遮った?
「お二人に、勿論、感謝しています。でも、一番は、アーリー様です」
「……私が、何を……」
「……お側に置いて、くださいました」
何を言っているのこの子?
「アーリー様が、お側に置いて、くださらなければ、私は、学園に、居られませんでした。アーリー様が、居なければ、お二人には、会えませんでした」
涙が、溢れる。私からも、マインからも。
「こんな私を、守ってくださって、ありがとう、ございます……!」
思わず私はマインを抱きしめ、大声で泣いた。マインも同じように泣いた。ずっとずっと。心の痛みが消えるまで……。
翌日『私とマインが心中する』と言う噂に、テンペルド様が血相を変えて駆け付けられた……。申し訳ない……。
読了ありがとうございました。
アウグスは当初ウィニーをいじめるだけのチョイ役だったのにどうしてこうなった……。
最終的にとってもお気に入りになったので良いんですけどね。
次回はショタっ子ジーンです。よろしくお願いいたします!