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episode:8,キメラ

_人人 人人_

> 楊貴妃可愛い <

 ̄Y^Y^Y^Y ̄

「……っクソ!あの盗っ人野郎、どこへ行ったのよ……」


思わず言葉使いが乱暴になる。ここまで悪くなったのは、昔一度だけシスターと喧嘩をした時以来だ。


ここまでかれこれ10分以上は走っているだろう。それに加え、日頃はまともに使っていない足を短時間に、全力で使用したのだ。一度停まってしまった足を動かすのには、それなりの時間を要するだろう。


息が上がる。額に出来た滴状の汗が道へと落ちる。


「はぁ…っはぁ……こんな所で止まっていられないのに………!」


今こうして私を動かそうとする原因は何なのか、私にも分からない。確かなのは、この行動自体は衝動的に行っている。と言うわけだ。


被害にあった人と私には何の接点もない。つまりこれは、この状態に私が勝手に首を突っ込んでいるだけなのだ。


自分でも馬鹿な事をしていると思っている。


けれども、その盗んだ物は本来、誰のモノなのだろうか。


誰が苦労して手に入れたモノなのだろうか。


こんな事、理不尽にも程がある。


だから私は一人でここまで走って来たのだ。自分が正しい事をしていると信じて。


……もう二度と、人が悲しんでいる顔は見たくないから。


「貴様待てっ!!」


突然背後から怒号が上がる。声の方を見てみると、人混みの中、この街には不似合いな程に黒色な革服の隊服を来た人達がとある一点だけに集中し、走っている。


警備官だ。そう気づいた時、その人達よりも奥の方の裏路地、何かにビクビクしながら彼らの方を覗く人影があった。


「いた………あいつッ!!」


捨てるように言葉を吐き、裏路地を目指す為、疲労により震えている足を踏み出す。



「…………っと、手に入れたぜ……これで依頼は終わりだ……」


裏路地を入り込み、完全に人の気配が消えている狭い空間、息を切らしながら喋れる男は、やはり私が追っていた奴らしい。


ここまでは予想していた。


しかしここで予想外のモノが目に入る。


「ああ、けれどもそれが本物なのか、その箱、開けて確認させてもらおうか」


男が座り込んでいるその反対側に、ボロ絹の着た、人離れした巨大の人影が2つ見えた。


体つきからして、亜人種なのは確実だろう。


「……ふむ、ちゃんと頼んだ数の宝石、よくやった。」


盗っ人が取り出した箱は、先程奪ったモノだろう。角度的な問題で、中に何が入っているのかは確認出来なかったが、喋っている内容からして、どうやら宝石の類らしい。


息を殺しながら、何か策はないのかと考える。


「そうだ……ちゃんと頼まれた通りの数だ……金だ。ちゃんと盗って来たんだ!報酬をくれ!」


まるで干からびた魚が水を求めるかのような、そんな飢えが男の声からは感じ取れた。


「まあまあ待ちな。報酬はよ……」


そう言うと、一番大きな亜人種が、ズボンのポケットから右腕を出し、ぶらりとさせた。


……何か嫌な予感がする。


そしてその予感は的中した。


鋭い爪が生えた、凶暴なその腕を瞬きする間もなく、座り込んでいた男の腹へと突き刺した。


「……えっ………?」


腹へと刺さる異物を見ながら、男は間抜けな声を上げた。


「あんたの報酬は……最初からねぇよ」


そう言うと、突き刺した腕を抜いた。返り血がローブへ付く。


腹を抜かれ、地面へと伏せた男は、胴体に空いた穴から大量の血を流しながら、軽く痙攣した後、永遠に動かなくなった。


息が出来なかった。今目の前に起こった事態を理解出来なかった。理解したくなかった。


……人が死んだ。本当に死んだの?でもあの血の量は絶対に死んでる。人殺しだ。人殺しがいる。目の前に人殺しがいる。


視界が点滅し始める。


喉が完全に麻痺し、何も発する事が出来ないのを理解していても、思わず口元に手のひらを重ねてしまう。


足もガタガタと震える。


二度と見ないと思っていた。50年前、あの光景を見てから、同じ光景は二度と見ないだろうと、神様に願っていた。だけど……


思わず涙が出てくる。


……逃げないと!


そう思い、その場から立ち去る。


「おい待て、何処に行くつもりだ?」


先程まで見ていた方から声が聞こえる。思わず足が止まる。


……しまった。


しかし、そう思うより先に、背後から肩を掴まれる。


そして次の瞬間、私の体は宙に舞っていた。理由は明白、今肩を掴んだ奴が、私をあの路地へと投げ飛ばした。


走る衝撃。


背中から落ちた私は、思わず小さな悲鳴を上げる。


徐々に背中が熱くなる。打撲特有の痛みが全身を走る。


あまりの急な痛みに涙を浮かべながら、なんとかこの場から逃げようと立とうとする。


が、体が震えて言うことを聞いてくれない。


動け……動け動け動け私の体動け!!


心の中で何度も叫んでも、体はそれ以上言うことを聞いてくれない。


ピチョン、と前から音がした。


……まさか…………


頭をゆっくり上げる。


目線の先、そこに立っていたのは、もう一人のローブ姿だった。


フードのせいで奥に潜んでいる素顔まで確認する事は出来なかった。


あまりの恐怖に顔を下げてしまう。しかしつかの間、視界に入って来たのは、赤く染まった革靴だった。


先程の水の音、それは目の前の奴があの盗っ人が作った血溜まりを踏んで来た音だったのだ。


「………………………」


口をぱくぱくさせる。言葉が言葉にならない。


「おいおい……こんな所に女の子供とか、おいルフエ、どうなってんだよ」


耳の奥を舐め駆け上がるような気持ち悪さを含んだその声に、私はより顔をしかめる。


「知らねぇよ……大方、さっき殺した男がこのガキに付けられていたんだろう」


全く舐めた真似しやがって、と、言葉を吐き、私の服の襟首を持ち上げる。


喉から情けない悲鳴が上がる。いくら足をバタバタさせようと、私を掴んでいる奴はビクともしない。


「しっかし、こんなひとけもしない場所に独りで来るなんて、何も考えていなかったのかい?」


ざらつく声が、私の耳奥にこびり付く。


「ひえっ………!」


声が裏返る。私の意志とは反し、今度は完全に体が固まる。


鼻腔を突き刺す血の匂い。それに反応した体は今にも嘔吐物を体から出しそうだ。


「てかこの娘、どうすんだよ。ここで殺すのか?」


そう言いながらフードを外す、もう一人のローブの男の素顔は……目元をギラりと輝かせたその特徴的な目元は間違いなく、蛇族のそれだった。


舌を伸ばしながら近づいてくるその姿は、教会にいる子供達の可愛らしい雰囲気からは程遠い、異様な雰囲気が目の前の蛇男からは放たれていた。


「おいおいシンジェ、フードわを取っていいよかよ?」


笑いながら片手でフードを取る動作を横目で確認した。


息を飲んだ。


その姿は、袖から覗かせるその赤く染まった腕は『狼族』なのに、フードを外したその顔は明らかに『牛族』そのもので、そこから生える角は『羊族』のものだ。


今まで見た事がない、異形な姿。それは昔、今なき村で聞いた事がある話を思い出した。


「……………複数遺伝子所持者キメラ?」


恐る恐る聞いてみる。


「おお、俺の事を知っているのか、嬢ちゃんよぅ」


舐めるように言う言葉に更に冷や汗が溢れ出す。


「何で………だってキメラは……!」


「…何だ?」


「………あんた達は滅んでいるでしょ!?60年前に!!」


複数遺伝所持者。今では与太話までに堕ちたその種族の噂は、私があの村で住んでいた時に聞かされていた。


共々、亜人種と言うのは、何千万年も前に、それまで感情を伝える『機関』が無かった動物に、神様が奇跡を起こし、人間のように喋り、二本足で立ち、顔に表情に作れるようにしたのが始まりだと言い伝えられている。


勿論、昔の人々は先代の王が行っていた差別的な思想は持っていなかった為、今より多く人種と亜人種が触れ合える機会があった筈だ。


その中には、違う種族同士でも愛し合う人達も出てくる筈。


そうやって生まれた子供は、双方の遺伝子を受け継いだ、『人の姿をしながら人ならざる姿』の優れた子孫が誕生するのだ。


こうやって生まれた種族を、後に人々は『純血』と呼ぶよになる。


そんな奇跡を見た先人達は、より良い子孫を残そうと、そうやって生まれた『純血』を、また違う『純血』同士を交わらせ、より良い『モノ』を作ろうとした。


けれどもいつしか先人達は気づく。


いくら他種族同士が交わろうと、『純血』同士が交わろうと、そこには優性と劣性の遺伝子が存在する事を知った。


いくら世代を重ねようと、表側に出てくる特徴はいつも、人種特有の体毛が生えていない肌であり、亜人種の生存本能が発達させた特有器官を持つ、この2つだけだった。


先人達も諦めようとしていた。


けれどもそこで奇跡が……否、『事故』が起きた。


ある日、何が原因だったのかは不明だが、『全て』の遺伝子が表側に出てきた子供が誕生した。


その姿に、先人達は恐怖した。


とても人種とは呼べず。


とても亜人種とは呼べない。


そんなどっちつかずの存在がこの世に誕生したのだ。


当時の浅はかな考えによって。


それを当時の先人は『複数遺伝子所持者』と名付けた。


それを境に、2人目、3人目と着実に増えていく複数遺伝子所持者は、いつしか大きな村一つが埋まるぐらいの人口に達したらしい。


先人はその光景に恐れ、恐怖し、いつしか彼らを滅ぼさんと刃を掲げていた。


そして先代の王は、即位してから僅か2ヶ月で全ての複数遺伝子所持者を滅ぼす事に成功したのだ。


それが60年前に起きた大虐殺は後に、『キメラの叫ぶ夜』と呼ばれ、世代交代の影響か、それは噂までに落ち着いたのだ。


私はそうやって50年前、両親によって教わった。今は亡き、哀しみのまま終わった種族を、忘れない為に。


……同じ迫害される『血』同士、その存在を忘れない為。


「なのに………なんであんた達は……あんた何者なのよ!?」


最早恐怖によって目は限界まで開かれていた。


言い伝えとは違う、その異様さに、私はただただ戦慄していた。


けれども憐れな事に今の私は、生存本能よりも、目の前に起こっているこの真実を知ろうとする好奇心の方がほんの少しだけ上回っているのだ。


「博識な嬢ちゃんには一つ教えといてやるよ……!!」


しかし次の瞬間、その思考が愚考その物だと身を持って体験した。


そう言ったキメラは、今度は私を再び空中へ放り投げた。


「キャッ!」


小さな悲鳴が漏れ、瞳を強く閉じてしまう。が、直ぐに状況を掴もうと、無理矢理目をこじ開ける。


瞬間、先程まで使用していなかったもう片方の腕が、風邪を切り裂きながら私の方へ向かって来た。


鋭利な爪を覗かせたその腕は、私の体へ、一直線に吸い込まれ……


衝撃。


空中で切り裂かれた私の体は、幸い怪我を負う事は無かった。


けれども、爪によって乱暴に、腹部から粗く切り裂かれた服は、空中にその細かい切れ端を無残に漂わせながら、その短い生涯を終えた。


勢いによって壁にぶつかり、その衝撃で喉から掠れたような悲鳴が上がる。


重量により、地面にズルズルと落ちる今の私は、服が無残にも引きちぎられた結果、上半身がはだけている。


「くっ………」


反射的に左右の腕を胸の前へと、隠すように持ってくる。


怒りと屈辱で、口の中に血の味が広がる。


「おいおいルフエ……お前、殺さないつもりか?……まさかこのガキを犯すつもりなのか?」


近づく蛇族の男が、そんな物騒な話を振る。


「いや、そんなつもりはなかったが……試しにガキの体でやってみるのも、乙な物かもな……」


地ならしをするように近づいて来るその存在に、私は理不尽な怒りを覚えた。


女と言うだけで好き勝手に弄ばれようとされるこの許し難い現状。


先程から恐怖で涙が止まらず、充血しきっている目を、目の前に立つキメラの方へと向ける。


「……なんて目付きしてるんだよ、嬢ちゃん。ちゃんと飯は食ってるか?痛い目見せてやろうと思って投げた体が、思った以上に飛んじまったから狙いがぶれたじゃねぇか……よっ!!」


突然の蹴り。反応が出来ず、向かってくる足を、腹部への侵入を許してしまった。


強い衝撃。


蹴り飛ばされた体が、壁を伝いながら勢いによって動かされる。


「がっ……はっ………!!」


……初めて味わう痛み。初めて人に蹴られるその恐怖。その2つの感覚が頭の中を激しく回る。先程までの怒りが嘘のようだ。


……逃げないと。


正常な思考が出来ない中、最前の手を尽くそうと、痛む体に鞭を打ち、体を起こそうとする。


「……おい、待てガキ、てめぇその背中………!」


突然背後からキメラの鋭い声が聞こてた。


「……………背中」


頭がぼぅとする。何も考えず、自分の背中を首を回して確認する。


「……っ!」


…………しまった。服が破れた今、彼らがその背中に視線が集まるのは当然の事だろう。


双方の肩甲骨に生える、私の髪の毛と同じ色の、あまりにも綺麗に輝く翼。


忌み嫌われる翼。


先程とは違う汗が、私の顔を流れる。


……マズい。この翼の事は、あの教会の人達と、そこにいる子供達だけだ。


この翼だけは、この50年間ずっと隠して来た。


たった一度だけ、教会の大浴槽が壊れてしまった時、街にある銭湯にへと皆で足を運んだ事があるが、その時はこの翼のせいで騒ぎが起きてしまった事がある。


私はその時の事がトラウマとなり、それ以来、毎夜お風呂の時は独りで入っている。部屋だって、本来は2人用の寝室をシスターに頼んで一人で使っている。


この翼があるから、皆に迷惑を掛けてしまう。


私という存在があるから…………


「おいおいおいおい………ガキ、背中に付いてるそのチンケなもんはなんだぁ?それ、明らかに『竜族』のモノだよなぁ?」


ゆっくりと近づくキメラ。


真っ白になった私の頭。


そう感じとったのか、スカートのポケットにしまっていた『あの紙』が顔を見せる。


「ん?なんだこれ……?」


それに気が付いたのか、キメラの腕が私のポケットへと近づく。


「………嫌。それだけはダメ!!」


手を振りほどこうとするが、まともに力が入らない。


取らせないよう、無茶苦茶に暴れる。が、そんな事が無駄な足掻きだと直ぐに気がつく。


乱暴に違う方向同士に引っ張られた『その紙』が、短い音を立てながら、真っ二つに引き裂かれた。


その瞬間、世界はもっと非情な物だと知った。


あれ以来、私が初めて自分から願ったモノが。


あれ以来、私が初めて自分から欲しいと思ったモノが。


お母さんとの、最後の約束を果たす為に必要なモノが。


私の夢へと繋がるモノが。


たった一瞬で、ただの紙へと帰した。


「……おいシンジェ…見ろよ、このガキ、シンセルスへの入学許可証を持っているぞ……」


「おいおい、冗談だろ?だってコイツ、翼が生えてるって事は竜族なんだろう?そんな奴が?よりによって貴族だらけのアレにか?」


「しかし竜族ならば、恐らく魔術特性もかなり高い筈だ。」


「確かに……けどフエル、それでもあの潔癖なまでな人種主義な奴らの中に、よりによって竜族が入り込むなんて、自殺行為に他ならないと俺は思うね。」


彼らの声が聞こえる。


けれど、耳の奥に入ってこない。


息の仕方すら忘れてしまったようだ。


あの瞬間から体が動かせない。


この光景が嘘だと信じたい。


「まあけど、折角流れこんだご馳だ……たっぷりと楽しませて貰おうか…………!」


体をその場に押し倒される。


最早何の意味もなくなった服を、彼らは全て引き剥がす。


地面に膝を付けるキメラ。


唾液が付いたその舌を、腹部から右乳房に向けて走らせる。


今から犯されようとしているのに、私は抵抗は勿論、視線すら動かせない。


不思議な事に。


恐怖はなかった。


悲しみもなかった。


怒りもなかった。


私の中にあったのは、『無』だった。


遂に舌が右頬へと達した時、キメラはゆっくりと、口角が不気味な程に上がり、ニヤついたその顔を私の方にわざと被せる。


「お互い楽しもうぜ……嫌われ者同士よぅ!!!」


その言葉を聞いた途端、頭のどこかで何かピースがハマったような気がした。


……そうか。


……そうだったんだ。


……私がこんな酷い仕打ちに合うのは。


……私だけこんな理不尽が起こるのは。



……きっと私が、竜族の血を引いているからなんだ。




「何やってんの……?お前ら………」




声がした。


どこかで聞いた事があるような、声がした。


「あ゛ぁ?……誰だ………?」


苛立ちを含む声が目線の先から聞こえた。


私は何も考えず、声の方向に顔を向けた。


しかし、声の主の立っている場所が原因なのか、はたまたメガネがない事で、視力が格段に落ちているのが原因なのか、そのシルエットの正体を把握出来ない。


「いや、だから……」


静かに、けれど確かに近づくそのシルエットに、私は見覚えがあった。


「お前らは……」


建物によって光が遮られ、その姿が確認出来る距離まで来た時……私は両目から、静かに涙を零していた。


その見覚えのある黒い上衣は、今朝私が嫌がらせのつもりで選んだ服だ。


「……俺の」


その見覚えのある髪型は、少しでもおかしな奴にしてやろうと、わざと横で結んだ髪型だ。


「………友達にさ」


その見覚えのある顔は、最初に見た時から、嫉妬を覚えるくらいに綺麗に整った、美しい顔があった。


「……何してくれてんの?」


全て悪い方に持っていった筈なのに、何故か全て似合ってしまう彼女は、やはり私の『目』で見た通り、何かしらの危険な香りがした。


危険な存在は、みんなから遠ざけないといけない。


ひと目見た時から、私は彼女の事を嫌っていた。


けれど、あの時この『目』で見た時、本当は気付いていんだ。


彼女の芯となる部分が、とても優しい色に包まれていたのを。


だからだろうが、今はその姿を見ただけでも胸の中が熱くなる。


その姿を見て、安心する自分がいる。


彼が来て、心の底から安堵する。


涙が溢れ出す。


「……助けて……モミジぃ………」


最早声にもならない、情けない声が喉から零れる。


けれども彼女は私のその声に応えるように、優しい笑みを浮かべた。


「大丈夫だよ、マリー……今から助けるから」


episode:8,END

種火足りない。

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