陰キャの日常
第12話 ~休日の過ごし方~
部活動が終わり、家に帰ると、
「お帰りー。」
父親が、帰宅していた。
鈴木 郁弥僕の父親だ。
父親の仕事は、長距離トラックの運転手で1週間の内に土曜日、日曜日、祝日、以外は国内の色々なところに荷物を届けている。
そんな仕事のためか、あまり父親のことをよく知らない。
僕が小さい頃は、他の仕事をしていたようだが、その時、僕は全く何も覚えていない。
父の趣味はゲームで、小さい頃から今に至るまでゲーマーだ。
ゲームがないと生きていけないようだ。
夜。
既にお風呂に入り終わり母親が帰ってきて、夕食を作り終えたので、今から夕ご飯。
メニューは、ご飯、豆腐の味噌汁そして、豚の生姜焼き。
母の作る豚の生姜焼きは、とっても美味しい。
生姜の辛みが程よく、絶妙で辛すぎず薄すぎず、ちょうどいい生姜の味に、玉ねぎ、キャベツを軽く炒めたものは、シャキシャキとして、焼いているのに新鮮で美味しい。そして豚が、生姜の香ばしい香りが豚肉に染み付き、豚肉に浸していたアゴ出汁が噛むごとに溢れ出し、この豚肉が1番美味しい。
そんな、豚の生姜焼きを食べていると、
「学校楽しいか?」
父親が聞いてきた。
正直、わからない。
今いる友達といて楽しいのか?
部活をしていて楽しいか?
授業は楽しいか?
楽しいこともあれば嫌なこともある。それが多分普通。だとすれば楽しいとは思わない。
だが、この状況で『楽しくない』なんて言えるはずがない。
じゃあ、
「それなりに。」
やんわりに、楽しいか楽しくないかの狭間な感じで答えた。
父親は答えづらい顔で、
「そ、そうか。」
これで、一気に微妙な雰囲気になってしまった。
母親もこれに察して黙って、自分の作った豚の生姜焼きを食べている。
そして、その微妙な雰囲気は解けることはなかった。
次の日。
流石に一睡すると、昨日のような雰囲気はなくなり、打ち解けた雰囲気だった。いつもより、遅めに起きて下の階に行く。
「おはよう。」
ゲームをしながらこちらを向き、父親がそう言う。
「うん。おはよう。」
今日は、母親は、休日出勤で家には、僕と父親だけ。
僕はテレビをつけて、今日のニュースを見る。
〈最近話題の《鈴の音》新たなデザインを発表とともに、これからの季節に合わせたシーズンの服の製作にも取り掛かっているようです。
《鈴の音》は、デザイン会社で、フランスのパリのデザイン発表会で金賞を受賞した経歴があり、今1番波に乗っている会社です。さて続いては•••〉
テレビをつけながら、いつものあのパン、ベーコンアンドチーズパンを作る。
「チン」
トースターの音が鳴り、香ばしいパンの匂いがする。
「あっ、それ俺にも作って。」
父親が、そう頼むも、
「いや、自分で作って。」
キッパリ断る。
「稜駿は人の心を読み取らないとな。」
大きなお世話だ。そう心で思いながらニュースを見るのをやめて、昨日録画していた深夜アニメを見ながらパンを食べる。
パンを食べ終え、なんとなく美和中ノートをする。カタカタパンを動かしていると、
「おーい。稜駿。せっかくの休日なんだから勉強なんてするなよー。」
父親がそう言うも、
「いやー、一応さ。やっとかないと後に困るからね。」
僕がそう答えると、
「人生一度きりなんだからー。」
その一度きりの人生をより良くするために今しているんだが•••
言えない。こんなこと言えない。
お昼。
適当にカップラーメンを食べて、ゲームをする。
「それでいいんだ。」
「何?」
父親が何かを言ったが僕には、聞こえなかった。
「俺、ちょっとコンビニ行ってくるわ。」
「あっ、行ってらっしゃい。」
そう言って父親は家を出た。
第1章これにて終了です。
本当に、今までただ単に鈴木 稜駿が友達関係に悩んでいただけのような話ばかりですね。
序盤が終わり次回からここからが中盤です。
次回は、『第2章 崩壊する日常』です。
2回目ぐらいですが、崩壊はパニック系ではありません。もっとマシだと思います。
ヒントは、どう考えても父親ですね。
それでは、ここまで読んで頂きありがとうございます。第2章も気力があれば、早いペースで進んでいくと思いますのでしばらくお待ちください。
___第2章の前に「陰キャの日常if」が始まります。
そちらも読んでいただくとありがたいです。
本当に別世界ですから。これとはあんまり関係がないですね。