陰キャと陽キャの日常 〜差〜
第8話 ~差~
美智香和こども園の頃、僕と寺野はよく一緒に遊んでいた。
レンコンブロックという子供の創造性を培うおもちゃで遊んだり、外でただ走り回るなど仲が良かった。
でも、その中にも差があった。
僕は寺野と遊ばない時は、必ず決まった友達と遊んでいた。
1歳下の頭の良い女の子と遊んだりするときや三佳月(中二病になる前)のような人と遊んだりなど、顔馴染みのある人としか遊ばなかった。
逆にあまりよく知らない人は少し避けていた。
そう、今とあまり変わらない。
今も2年5組から3年4組のクラス替えのときも馴染みのある人しか意識しなかった。
他にも同じクラスだった人は今のクラスにも数人はいる。
僕はそんな人なんだ。踏み出さない、先に進もうとしない。
それが僕。
一方、寺野は僕とは真逆で僕と遊ばない時は誰とでも仲良く楽しく遊んでいた。
僕はそれを1歳下の女の子と遊んでいるときに見かけた。
カードゲームで寺野は僕は名前を知らない誰かと遊んでいた。
その記憶が、今になっても覚えている。
そして、さっきも寺野は元は違うクラスだった人達ともう話していた。
元々知り合いだったのかは分からないけれど、寺野は誰とでも話せる社交性がある。
寺野はそんな人。踏み出して、先へ進もうとする。
僕と寺野の違い。
わかってるのに目を逸らす。
それが、成長できない1つの理由。
後ろを向く。それは、僕と寺野の決定的な違いを確認すること。
前を向く。それは、僕と寺野に反り立つ壁を破壊すること。
どうやって破壊するのか?
簡単な話、僕が社交的になってしまえば解決する。
だけど、簡単なはずなのに難しい。
ただ1人に話しかけて話すだけのシュミレーションは簡単なのに実行できない。
何故?
わからない。
自問自答をして答えが返ってくるなら迷うはずもない。
答えが見つからない。
目を逸らしている訳ではない。
本当にわからない。
どうして僕はただ人と話すという行動ができないんだ?
僕は寺野と遊んでいた時の僕は目立っていたし平気だったのにどうして?
宮條さんや最上さんはすんなり話せるのに、同年代の人だけ。
そんなことを考えるだけで5分は過ぎてしまい、予鈴のチャイムが学校全体に鳴り響く。
寺野たちは席に着き、授業の用意をし始める。
疑問は解決されないままぎこちない1時間を過ごした。
差を取り除くには、僕が行動することが絶対条件。
5時間目と6時間目の間の休み時間。
僕はたまたま3年間同じクラスだった中里 康太に話しかけることにした。
3年間、同じクラスでちょっと失礼だけど僕と同じクラスではあまり目立たない陰キャ。
話も少しなら合うと思い話しかけた。
「あ、あの。中里くん。」
「え、オレ?」
「う、うん。あの3年間同じクラスだったからな、何かの縁かなーって思って。」
「へ、へぇー。」
僕はこの時、僕の欠点に理解した。
「あっ、それじゃあ。」
「うん。」
僕の席に戻り机に突っ伏する。
話してみてようやく理解した。
僕が話しかけない理由。
それは、僕がみんなから引かれるのが怖いんだ。
多分、子供の頃は恐怖なんてなかったのだろう。だから寺野と一緒にいるとき、目立っていても気にならなかった。
だけど恐怖を知ってるいる僕は会話スキルが皆無。コミュ障と呼ばれそうなほど。
それで、みんなから引かれるのが怖い。
僕は中里と話しているときに感じたことがある。
それは、恐怖。
もし、中里が迷惑と感じていたら。
もし、中里が僕を陥れようとしていたら?
もしものことで頭がいっぱいになってまともに話せなくなる。
実際どう感じていたのか?
多分、完全に引かれていた。
この恐怖は、どうしたら克服できるのか?
寺野のように一体どうしたら誰とでも仲良く話せるのか?
僕にはわからない。
そして、チャイムが鳴る。時間は待ってくれない。
たった10分間で僕は僕の弱さを学んだ。
だけど解決はできない。
だって、こども園に通っていた頃からずっとこんな僕なのにどうしたらいいのかわかるはずがない。
そんな僕と寺野の友情ってただ紙面上にあるようなもの。ただ僕がお金持ちだから優しいだけ。
ペラペラの1枚の紙のようにすぐに破れてしまいそうな紙なんだと僕はこの時思った。
ですが時間は進み、放課後。
家に帰る前に塾の時間です。
最近、この小説が一体いつ終わるのか不安で仕方ありません。
最終回の想像はできているのに、文章が中々追いつかない。だから考えだけが膨れ上がるというまるで自転車操業みたいな状況でいつ終わるのか検討もつきません。
倒産危機です。(頭の)
では読んで頂きありがとうございました。




