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陰キャの日常  作者: 陰キャ代表
season 2 第1章 新たな日常
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陰キャと陽キャの日常 〜格差〜

第7話 ~格差~


三佳月がやらかした後も授業は続き、いつの間にか昼休み。

今日は3年生になってから初めてのお弁当。

だけど、多分思い出に残らないんだろうな。と思いながら食べる。

思い返してみれば、1、2年生の頃の始めてのお弁当とか全く覚えていない。

正直、覚えていても意味がないので別に忘れてもいいのだが。


もちろん、お弁当も変わってる。

プラスチック容器にご飯や冷凍食品ではなく『曲げわっぱ』という木を曲げて作られた弁当箱に、どこかの高級な米、食材だけ高級な卵焼きに生野菜は使えないとのことで産地だけ高級な金平牛蒡きんぴらごぼうなど。流石、あのシェフ揺るがない。

プラスチック容器から曲げわっぱに変わった時のことはよく覚えている。

僕の近くに人が集り、あまり見ない曲げわっぱに興味深々だったことを覚えている。

だが中身はこれなのでその後の冷め方は尋常じゃないことはよく覚えている。

この話を思い出すときもあるし、思い出さないときもある。

今日は思い出した。ただそれだけ。

僕はそれを三佳月と一緒の席で頬張っている。

「普通でござる。鈴木殿のそのお弁当。」

「変わったシェフが作ってるから仕方ないよ。」

「変わったシェフでござるか?」

「変わってるというよりかは面倒なのが嫌なだけかも。」

「だとしたら1番シェフに不向きな人でござるな。」

「確かに。」

シェフの話を三佳月としているのに、突然肩を2回『ポンポン』と優しく叩き、話しかけきた。

「よう、稜駿くーん。一緒に食べてもいいか?」

「別にいいけど、他の人達は?」

「あいつらは別のクラスになってしまったからなー。」

「クラス違っても教室には入れることができる気がしたけど。」

「まぁ堅いことは気にするな。ほら、校外学習と幼馴染と同じクラスのよしみでさ。」

「最初から良いって言ってたけど。えっと、どうぞ?」

僕は三佳月と対になるように座っていたので、椅子を横にずらした。

「いや鈴木、そんなことしなくてもいいから。俺は真ん中に座るから。」

そう言って、近くにあった誰も座っていない椅子を持って真ん中に座った。

それと同時に三佳月は俯いた。

まぁ、気持ちは分からなくないがあからさま過ぎる。

「マジ、サンキューな。」

そうして、黙々とお弁当を3人で食べる。

僕は緊張からかいつもよりお弁当を食べるスピードが増して、もう空っぽだ。

9年も離れていれば、流石にもう友情は終わっているのだろう。

実際、今どう話せばいいか分からないし、昔のように話すのはどうなのか?

だが、昔のことをあまり覚えていないので却下だ。

じゃあ、同窓会の雰囲気で話すのはどうだろうか?

と言っても、同窓会にも出席したことのない14歳の僕が一体何を喋るのか?

でも、最近やっと寺野とも打ち解けられている筈だから普通に喋れるとは思うのだが、なんだろう。僕と寺野の間に反り立つ壁みたいな?


考えるより行動をという気持ちで僕は寺野に話しかけてみた。

「えっと、し、進路ってもう決めてる?」

「うわぁー、考えたくもねぇ。」

「でも、3年生だし1年後には高校生になってるはず。」

「“はず”とか怖いこと言うなよ。じゃあ鈴木はどこに行きたいって思ってるんだ?」

「それが、特にない。」

「特にねぇんだったら仲間じゃねぇか。どうする?最終学歴中卒になるか?」

「それは、ちょっと嫌かな?でも別に必死に勉強する必要は無いかなって思ったり思わなかったり。」

「どっちなんだよ。そりゃ頭良い高校に行った方が良いだろ。」

僕は知ってる。大抵の陽キャは頭が良い。

多分偏差値60なんて簡単に取れるものなのだろう。

残念ながら、僕にそんな才能がなく必死に勉強してやっと偏差値60に辿り着ける人なんだろう。

だけど、必死に勉強する気なんてない僕が偏差値60なんて夢のまた夢のさな氏をしても仕方がないのだ。

「まぁそうだけど。」

すると突然三佳月が席を立ち、

「じゃあ我は此れで失礼するでござる。」

「うん。」

僕はそう返答した。

すると場が白ける。進学の話もこれ以上話す気がなくなった僕はそれとなく寺野に言った。

「進学も面倒だね。」

「あぁ。じゃあ俺も戻るわ。ありがとな。」

「こちらこそ。」

そう言って寺野は立ち去り僕は机を180度回転させて机の位置を元に戻す。


3人で一緒に食べると会話がなくなり。話す材料も見つからないため結局寺野と話した時間は数分。

僕は本を取り出してページをペラペラめくり前回読んだところまでめくる。

栞が挟まっているところで、本をめくるのをやめて栞を抜き、読書を開始する。

本のタイトルは『〜Plus Ultra〜とは?』白石 謙三の本だ。

前は大まかにしか読めていなかったので今度はしっかり内容を確認して読んでいく。

だけど特に感想は変わらない。

ちょうど切りがよく終わったので栞をまた挟み本を閉じる。

チャイムまで後5分。

こう言う時は適当に時間を潰す。

今から本を読んでおかしなところで終わるのは嫌だから適当に教室を眺める。

すると、寺野が視界に入った。

2年5組の頃の友達ではない人たちともう仲良く喋っている。

僕と寺野の間に反り立つ壁は一体なんなのだろう。

いや、多分わかってるはず。現実から目を背けてるだけ。

ずっと、僕は寺野を羨んできたんだろう。

僕は現実を見つめて、過去を振り返る。



次回は過去を振り返るところからです。


時間に余裕があっても書かなきゃ意味ねぇー。

というのはこの1週間程度でよく学びました。


それでは読んで頂きありがとうございました。

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