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陰キャの日常  作者: 陰キャ代表
最終章 春休みの日常
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1人の日常

第75話 ~My only home~


家は散らかってはいない。

だが、埃っぽい。

人が出入りしないと何処からか埃がやってくる。

これも掃除しないと。


多分、母親は帰ってこない。

仕事が忙しそうだし。

僕は今社長という地位にいるが仕事は全くしていない。母親は僕のするべき仕事+自身の仕事に負われている。

だから母親は、鈴の音イグディスの本社で寝泊りしている。

色々やってくれているから感謝しなければならない。

というか、僕はまだ鈴の音イグディスの本社に行ったことがない。

美智香和に本社があるとは思うが、詳細な場所は知らない。

確か大きなビル丸ごと一棟が鈴の音イグディスの会社らしい。


僕は元自室へ行き鞄を下ろす。

ここも埃っぽい。

そして、今は春休み。特にすることがないので早速下に降りようとした時、

『ピーンポーン』

チャイムが鳴った。

僕は急いで玄関に行き扉を開けた。

インターホンを押したのは、

「•••たちばなさん?」

たちばな 躬弦みつる、現在副社長で僕の代わり。社長と変わらない人だ。

だけど、何をしているのかはよくわからない。

「どうしたのですか?」

僕がそう尋ねると、

「すみません急に、秘書の宮條から着替えとカードケースと手紙を預かって参りましたのでお受け取りください。」

「えっ、でもどうして宮條さんじゃないんですか?」

「それは、その手紙に書いてあると思います。」

「それと、どうして橘さんが態態わざわざこれを?」

「それは、ちょうど屋敷に行った時に宮條があたふたしていたので何かお手伝い出来ることはないかと聞いたらこれを持って行ってくれ。と頼まれたのです。」

「そ、それはありがとうございます。」

「いえいえ、とんでもない。では私はこれで失礼致します。」

そして橘さんは車に乗って何処かへ行った。

何かあったのだろうか?

それよりもこの手紙はなんなのだ?

手紙を書けるくらいなら持って来てくれたらいいのに。

僕はそう思いながらも手紙を開ける。

内容はすごく単純なものだった。

《すみません、急用ができてしまったので行けません、カードケースにクレジットカードがありますのでそれで何か買い物してください。出前でもなんでも結構です。》

走り書きのような字体で本当に急いでいることを物語らせる。

何頼もうかな?

_________________________________________


「ありがとうございました。•••ようこそ、いらっしゃいませ。」

何故、こんなことになってしまったのだろうか。

「初、して欲しいことがある。」

俺の父さんは、何1つ悪いことはしていないはずなのに。

こうしてフリーターで頑張る父さんを見ていると、復讐心が絶え間なくアイツを痛めつけろと言う。

_________________________________________


『ピーンポーン』

「はい。」

「こんばんは、ピザのお届けです。」

若そうな男性がそう言った。

「カードでお願いします。」

「はい•••ん?」

配達の人は目を疑っている。

どう見ても、真っ黒のあのカードだから。

そして、なんだか配達の人は何処を見ているのかわからない状態で、

「こ、こちらがピザです。ありがとうございましたっ!」

僕はピザを頼んだ。

この近くにピザ屋があり配達圏内なのでデリバリーを使った。

Sサイズの1人から2人分の量のピザは半分はベーコンアンドチーズというピザでもう半分はシーフードピザだ。

今日はこれで十分だろう。

僕はピザを食べ始めた。

テレビをつけて1人でいるこの静寂さを芸能人の声がかき消した。

今までとあまり変わらない。

コックと宮條さんと僕だけが広い屋敷の広い食堂でたった3人で食べるご飯とあまり変わらなかった。

そして、食べ終えると僕は自室の掃除をした。

今日寝る部屋なんだから埃っぽい部屋で寝るのは良くないだろう。

自室の掃除が終わると、後はお風呂に入り布団に入った。


次の日。

朝食は食べれなかった。

デリバリーも朝方はやってないし、家に食べ物も無いため食べることはなかった。

だから午前中は部屋の掃除をした。

リビング、廊下、玄関、トイレ、脱衣所、父親と母親の寝室など色々なところの掃除をした。

お昼は外食しようと思い外へ出かけた。

正直、カフェで充分だったので駅前にある有名なカフェに行った。

そこで、カフェ・オ・レと軽い軽食を頼み昼食を済ませた。

それ以外何もすることなく帰宅した。

家の前、相変わらずまだ外観は古臭い家みたいになっている。

庭の雑草が原因だろうか?

だがそれは明日に回そう。

折角の春休みは満喫しないといけない。

何をするのか、もちろんお昼寝だ。


時計を見ると、7時。

随分と寝ていたようだ。

寝過ぎて逆に頭が痛い。

お風呂のお湯をため始めたその時、

『ピーンポーンピーンポーンピーンポーン』

インターホンを連打する不届き者が現れた。

僕はお湯をそのまま放置して、玄関に急いだ。

寝過ぎていたためちょっと不機嫌気味に扉を開けると、

「あれ?宮條さん?」

息を切らして疲れ切っている宮條さんが僕に言った。

「か、会社が大変なんです!」

「はい?」

この時理解できなかった。

「い、今すぐ本社の方へ来てください!」

会社が未曾有の一大事に陥っていたことを。


僕の唯一の家は、ここだ。

どれだけ廃れようが父親と一緒に過ごした思い出の場所、忘れることは出来ない。

何故ならここで僕は決心した。

“欲”に忠実にならないと。




•••読んで頂きありがとうございました。


すみません、特に書くことがございません!

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