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陰キャの日常  作者: 陰キャ代表
最終章 春休みの日常
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戻る日常

第74話 ~帰省~


校舎から出て部活は今日はないのでそのまま宮條さんが待っている駐車場に行こうとしたが、1人手招きしている人を見つけた。

自転車置き場で微笑みながら手を振っている。

あれは、小松原だ。

僕は自転車置き場のちょうど真ん中あたりにいる小松原のところに行くにと、

「一緒に帰らない?」

そういえば、一緒に帰ったのは僕の父親が死ぬ前。

その後も一度だけ誘われたが、あれは違う。

「いいけど、その前に宮條さんに言っとく。」

この時、僕は家に帰ろうとした。

家と言っても、いつも寝泊まりしているあの屋敷ではなく元々住んでいたあの家。

唐突にあの屋敷に連れて行かれて、一度だけ『オヤマダ電気』での買い物のついでに寄っただけだ。

今度は僕の家に帰って僕の家で過ごしたいと思った。前のように。

「わかった。鬼龍院は来ない?」

「多分、来ると思うけど変な雰囲気になるなー。」

仕方のないことだ。

「僕は宮條さんに伝えてからからここで待っててくれない?」

そう言うと小松原は僕の肩を掴み、鼻息を荒くして言った。

「俺に行かせろー!」

目力が強い!

小松原は宮條さんにメロメロだ。

それに宮條さんはバツ1と言っていた。

「宮條さん、バツ1だよ?」

「そんなの関係あるかー!」

「小松原と一緒に帰るって言うだけじゃなくて、他にも言うことあるんだけど。」

「俺が変わらに言ってやる!さぁ要件はなんだ!」

小松原は宮條さんと聞くとキャラが変わる。

それがこんな感じだからまだいいけど、一歩間違えれば危ないストーカーになっていたのかもしれない。

「はぁ、じゃあ一緒に行こ?」

「まぁ、いっか。鈴木は宮條さん狙ってないだろ?」

「狙うわけないじゃん。」

「と言うことは他には狙ってら奴がいるのか?」

「そんな深読みしたって何も出てこないよ。」

「そっか。残念だな。」

何が?と思った。多分知ったところで学年に広めるだけだろ。いや、実際気になる人は1人もいないのだが。みんな金目当てク•••みんな個性的だから。

「じゃあサッサと行こ。」

「あぁ。」

黒い車が駐車場に止まっている。

あそこに宮條さんが乗っている。

僕は後部座席の扉を開けだが乗り込みはしなかった。

「宮條さん。」

「はい?」

宮條さんはこちらを振り向いた。

それと同時に嫌な顔をした。

何故なら後ろに小松原がいるからだろう。

「小松原と一緒に帰って、その後は前の家でご飯食べたりしてあの家でゆっくり過ごしたいので着替えとか持ってきてくれませんか?」

「えっと、それは一度お母様に聞いて確認してみます。」

宮條さんはスマホを取り出し僕の母親に電話をかける。 

「すみません、宮條です。

あのー、稜駿様が前の家で寝泊りしたいと言っていますが、いかがいたしましょう?」

「•••はい、わかりました。失礼いたします。

スマホの通話終了ボタンを押した宮條さんは、僕に言った。

「着替えなどを取りにいくので、あちらの鍵をわたしておきますので、皆さんと一緒に帰ってください。」

僕は家の鍵を受け取った。

自分の仕事をしようと宮條さんは車を発進させようと『扉を閉めて』とアイコンタクトを取るが閉まらない。

何故なら小松原が扉を掴んで離さないからだ。

それを宮條さんは、

「あの、閉めてもらえますか?」

「俺は、バツ1でも全然大丈夫ですよ。」

「子連れですけど。」

「「えっ?」」

またもや衝撃発言!

「息子を1人育てています。」

「そ、そうなんですかー。」

何故か小松原ゆっくり扉を閉めた。

だが、宮條さんは窓を開けて、

「あの、もうちょっと強く閉めてくれませんか?」

「は、はい。」

『バタンッ』

すると車は発進した。


「よし、帰るかー。」

何もなかったかのように振る舞い始めた小松原。

それと同時に鬼龍院がスタスタと歩いていた。

それを小松原は見つけると、僕と同じように微笑みながら手を振った。

鬼龍院はそれを冷ややかな目で通り過ぎようとするが、

「ちょ待てよ!」

なんと、どこそこの誰かが言ったあのセリフを小松原が吐き出した。

世の中は、顔だなと思わせる。

それが功を奏したのか鬼龍院は立ち止まった。

「お前、恥ずかしくないのか?」

正直、僕は笑いを堪えてる。

「一緒に帰ろうぜ!」

「遠慮しとく。」

そう言い鬼龍院はスタスタ歩いて行った。

「あいつ、あんな奴じゃないんだけどなー。」

ごめん、“あいつ”を変えたのは僕のせいだ。

「まぁ、帰ろうよ。」

小松原は自転車の鍵を外して歩き始めた。


「どう、最近?部活忙しいんだって聞いたけど。」

「あぁー、大丈夫大丈夫。厄介者は消えたから。」

「中々の言いようだな。消えるってことは先輩ってことなんじゃないか?」

「うーん•••前までは尊敬していたかもしれないけど、急に変わった気がする。あんな人だったとは思わなかった。」

「いったい誰なんだよ。」

「元文芸部部長。」

「そっか。それは多分、部長の座を取られて怒ってるんだな。」

元々しちゃダメな時にしているからその可能性はないと思うけど•••いや、元はなんちゃって部長だっだから部長は先輩だったよな。

その理由は部長の座を取られないため?

わからない。

「そうなのかな?」

「絶対そうだ。」

そうと言われればそうなのかもしれない。

わからない。

その後は、色々な話題で盛り上がった。

例えば、好きな人について。

だが、お金持ちになってみてなんだか人間不信になって気がすると話すと小松原は黙ってしまい会話が途切れてしまった。


分かれ道。

ここでいつも鬼龍院と小松原坂道を上がり僕は下り坂を下る。

「じゃあ、また。」

僕がそう言うと小松原は、

「おう、またがあるんだな。」

「多分。」

「はっきりしろよー。」

「じゃあね。」

「うん。」

小松原の行く道は始めは上り坂なのでそのまま歩いて自転車を上がっていた。

僕は下り坂を下り、暫く歩くと住宅街に辿り着いた。

二軒隣の家は空き家で、廃れている。

逆に僕の家も庭に雑草が生えていたり、完全に人が住んでいる気配がない。

実際住んでいないんだけど。

僕は宮條さんにもらった鍵で扉を開けて家に入った。

二軒隣の家は後に•••


次回予告!


「よし!明日は家の掃除だっ!」

『ピーンポーンピーンポーンピーンポーン』

「はーい。って宮條さん。」

「か、会社が大変なんです!」


「次回、第75話 ~My Only Home~」

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