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陰キャの日常  作者: 陰キャ代表
第6章 続 燃える日常
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私の最後の日常 part I

第71話 ~卒業式–準備–~


2年生の大変なところは卒業式の準備をしなければならないことだ。

そこまでは、『面倒くさー』と思いながら準備をするのだが、各部活の部長は卒業式に出席しなければならない。

生徒会生徒、各部活の部長、学代(学級代表)は強制的に出席だ。

伝統とか言うんじゃなかった。ハイテク最新機器とか言っていればよかった。

僕も豪邸でゴロゴロ優雅な日々を過ごしたい!

デッカいsorryのテレビでpz4のゲームをしたい!

だが事実は変えることができない。

受け入れるしかないのか•••


「今から卒業式のセッティングを始める。3年生の人たちに感謝の気持ちを込めてセットするように。特に卒業式に出席しない人たち。」

学年主任の緑川先生の野太い声が体育館中を響かせる。

マイクも使っていないのにこの威力はトラ右衛門うえもん出てくるジャンクのリサイタル風景だ。僕たち体育座りしている生徒が観客。つまり犠牲者だ。

「それでは、各クラスごとに分担して効率よく行うように、始め。」

「はーい。5組はこっちするぞー。」

源先生が手を振りながら5組生徒を誘導していく。

因みに源先生の声は崩壊していない。透き通る声だ。

5組の主な仕事は机、椅子並べ。

1組が外靴でも出入りできるように体育館全域にシートを敷く。

2組が体育館近くの掃除。

3組が昇降口や来賓の方々の目につくところの掃除。

4組が舞台の装飾や看板等々の雑用。

そして5組が、机、椅子並び。

だが、これは1組の生徒がシートを敷かないと始められないので暫し休憩となった。

すると、三佳月が、

「いやー、面倒でござる。鈴木殿、我の代わりにやっていただけないでしょうか?」

「嫌だよ。」

「ですよねー、でござる。」

「無理に“ござる”つけなくても•••」

「ダメでござる!ござる道を極めし者は語尾に“ござる”をつけなければならない習わしがあるのでござる。」

何?その“ござる道”?

「へぇー。」

「そうなんでござるよー。でござる。」

「ござるの使い方以前に言葉としておかしくない?」

「そんなことないでござる。」

「はぁ、まぁ何でもいいや。」

「そうでござる。デリケートなことは触れないのが1番でござる。」

ござるを堂々と使っている時点でデリケートも何もないと思うのだが。触れないでおこう。

「おぅ!鈴木。」

「あっ寺野。どうかした?」

そう言うと三佳月は少し僕と距離を置いた。

「あっ、いや。」

「そう。」

僕は三佳月との会話に戻ろうとすると、

「おい!待て待て。どうして、用がないとすぐ去っちまうんだよ。」

「用がないから。」

「そうじゃなくてだなー。何つーか、他愛も無い話?みたいなノリで普通話すもんじゃ無いのか?」

「そう、かな?」

「そうだよ。」

「じゃあ、何話す?」

「んーー。なんか違うんだよなー。」

話題か。

僕はちょっと有名だからといって陽キャではない。

今時の流行やらなんやらには疎い。だけど唯一知っているものがあった。

「タピオカ。」

「おっ、タピオカかー。そういえば、隣町のらんらんポートにタピオカミルクティー専門店があるらしいぞ。今度行ってみるか?」

「タピオカってデンプンの塊ですよ。キャッサバとか言う芋のデンプンを固めたもので謂わば片栗粉をお湯でグツグツ煮たような物ですよ。確かテレビで言ってました。」

「そのテレビぶっ潰してやる。どこだそんなこと放送した番組は!」

「MHKです。」

「国営かよ!あっじゃあ、『MHKをぶっ潰す!の会』に大人になったら1票入れとこ。」

これが他愛も無い話なのか?

まぁそう言うことでいいや。

「準備できたそうだから、明日運ぶぞ。」

源先生が中の様子を見てそう言った。

「そこっ!サボるな!」

「へい!すみません!」

緑川先生と生徒の主従関係を横目にしながら黙ってパイプ椅子を運んでいく。

あんな先生に絡まれるのはもう懲り懲りだ。

できれば一生顔を見たくない。あと声も。

現場監督の緑川先生は他の教師と相談しながら徐々に体育館を椅子や机で埋めていく。

巻尺を使った正確な配置にそれほど卒業式が重要なんだと感心しない。

その分、僕たちの負担が掛かるだけだ。

目分量でよくないか?1つでもズレていたらそこからまたやり直しとか鬼だろ。

もうちょっとぐらい大目に見てやれよー。

というのが準備での本音だ。


ようやく全ての準備完了。

2組3組の人もしっかり働いたようだ。

「みんな、よく頑張った。それじゃあ明日、代表の人は9時に集合!解散!」

ようやく解放された。

放課後返上でこの仕事はハード過ぎる。

来年は僕たちが受験して卒業いるんだろうな。

このことについてはあまり考えたくない。

勉強ハード、課題が多い、相対的に見て3年生の方が1、2年生のよりやることが大変なのだ。例えば体育祭の団体競技とか。文化祭の合唱曲の難易度など。

3年生は受験で大変なのに行事などの諸々が大変過ぎる。

これは、過労死する自信がある。


翌日。

朝起きると制服が蘇っていた。

いつもはしわくちゃ、ってことはないがこんなに綺麗ではなかった。

どうやらメイドさんが制服を専用の機械に通してアイロンをかけて微風でゆっくり乾燥させたらしい。

もはやこれは芸術作品と言っていいほどの逸品だろう。

着るのが惜しいくらいだ。

まぁ着るが。

朝食もいつもよりかは豪華だった。

程よい甘さのフレンチトースト、と瓶詰めされたキャビア。

キャビアは少し食べて不味かったので蓋を閉めてそっと奥へ追いやったがフレンチトーストは絶品だった。

そして、車へと乗り込む。

「宮條さん、今日なんか変じゃありませんか?」

「えぇ、今日は3年生の卒業式に出席なさるのですからこれくらいはマナーのようなものでございましょう。」

「そうなんですか。」

この時、嫌な予感がした。誰もこんなには気合を入れていないだろうと。


案の定みんないつも通りだ。僕だけが目立ってしまっている。

先生もこんな新品ピカピカの制服のようなスーツはなかった。

「鈴木くん、気合入ってるね。」

神楽坂さんがそう言い話しかけてきた。

「あっ、これ気にしないで。その、宮條さんが勝手にしたことだから?」

「宮條さん?」

「あっ、宮條さんは秘書みたいな人でお世話係みたいな人。」

「へぇー、そうなんだ。」

すると、そこへ。

「ゴホンッ!2年生集合。」

この声は緑川先生だ。

みんなが緑川先生の方に集まると、

「今から数十分後には卒業式が始まる。今のうちにトイレに行きたい人は行き、大丈夫な人は俺についてきて指定された椅子に座ること。あと姿勢は正しく。」

それぞれトイレに行く人と体育館へ入る人とで別れて僕は体育館に入った。

パイプ椅子の後ろにA4サイズの紙が貼られており各部活動名や生徒会の座る席まで細かく記載されていた。

僕は文芸部と書かれた椅子に座りちょっと背にもたれていると、

「おい、鈴木。卒業式がまだだからではなく今もう既に本番だという意識で臨みなさい。折角綺麗な服に仕立てているんだから、それくらいのマナーは守れ。」

服で判断するな!

好きでこの服着てるんじゃないし、っていうか家に帰りたい。

数十分後。

保護者、来賓、先生などの全てのスタンバイオッケー。

いよいよ、卒業式が始まる。



次回、第6章最終回!

先輩の卒業式part Ⅱです。


4月から始めてもう4ヶ月の月日が経過していたと思うと、時間って短いですね。

こんな小説を初めから読んでくださっている方、ありがとうございます。

途中から読んでいる方もありがとうございます。























(ここまで読んでいる方へのオマケ!《ネタバレ注意》)

何故だか今の気分が物凄くネタバレしたいという思いがあるのですがどうしましょうか。

よし、しましょう。

『この本にも結末はありますよ。』

ゆるーい日常系とはちょっと違うのはこの小説の特徴です。

それぞれの人間関係などの変化。

鈴木の身の回りに起こる災難による変化。

それが•••

これ以上はマズイ?いや既にマズイですね。

読む気が伏せた方、すみません。見なかったことにして読んで頂けると幸いです。


それでは、(真の)今回も読んで頂きありがとうございました。また読んで頂けると嬉しいです。

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