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陰キャの日常  作者: 陰キャ代表
第6章 続 燃える日常
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一生のお願いをする日常

第69話 ~help me~


神楽坂さんと別れて車が駐車している校門の方へ行く。

すると、

「ちょっと、開けなさいよ!」

そう言って車をコンコンと叩く。

この声は聞いたことがある。

梓川先輩だ。

そして叩いている車は宮條さんが乗っている黒い車。

どう見ても恐喝じゃないか。

僕は駐車されている他の車の影に隠れながらジッと様子を伺う。

どうやら宮條さんは車に閉じこもって身を守っているようだ。そして、それを先輩が車に乗せてもらえるように脅す。

どうしようか。

そのまま気づかぬフリをして歩いて帰るか?

それとも、先輩が何故恐喝をしているのかを聞きにいくか?

冷静に判断した結果、よし!歩いて帰ろう。

僕は180度回転し別の門の方へと歩き出した。

「にしても、鈴木くんは遅いわね。ちょっと探してくる。そして、絶対にあの豪邸に行くんだからね!」

どうやら先輩は僕の家に行きたいようだ。

だが来られても困る。

だが、そうは行かず先輩は僕を探すため校舎へ行こうとしたのか180度振り返る。

ここから別の門と昇降口は途中までは一緒だ。だから、

「あっ、見つけた。」

僕は全身全霊で走った。

「待ってたわーー!鈴木くん!」

「来ないでください!」

僕だって男。先輩に負けるはずもない。が、

前から野球部の集団がランニングしていて前が塞がっている!

『1、2、1、2、•••』

野球部はこちらに気づいてはいるがスピードを緩めない。

「お前ら足緩めたら筋トレ10倍だからな!」

そういうのは後ろの方からメガホンで叫ぶ野球部顧問。

マジかよ!

すると、定例報告会に出席していた野球部部長が手で退けと合図している。

退きたいけれども、退けない事情があるんだよ!

後ろから追いかける先輩は本気で追いかけている。

あぁー!どうするどうしよう!

考えている暇はない。

考えているだけでも野球部との距離は縮んでいく。

現在50メートルほど。

だとすれば相手も本気で走っているわけではないから15秒の時間はあるはずだ。

だが15秒しかない!

どうする?えっと、進路変更•••できない!八方塞がりだ。

じゃあ、野球部の集団に突っ込む•••完全にどこかしら怪我をしてしまうだろう、そして結局先輩に捕まる。却下!

諦めて観念する•••それは僕のプライドが許さない。そうこれは捕まったら何かしら事件が起こる。そんな予感しかしない。

最後の手段、勢いよくUターンして全力でダッシュ!

これなら先輩に捕まらず野球部との衝突事故を防ぐことができるはず。

よし!

僕は野球部とぶつかる寸前で勢いよくUターンした。

先輩との距離は約15メートル。これなら行ける!

そして、全力ダッシュ!

だが、腕を掴まれてしまった。

「捕まえた。」

「先輩後ろ!」

危機が去ったわけではなかった。

後ろから野球部が追いかけてくる始末。

「お前ら!気を抜かすなよ!」

野球部顧問の声が聞こえる。

どういう状況か知らないからそんな呑気なことが言えるんだ!

僕と先輩はほぼ野球部に追いかけられている状態。

「ちょっと、もっとゆっくり走りなさいよ!じゃないと私たちあなたに轢かれるのだけれど。」

野球部の部員数は多いそれに美智香和中学校の野球部は強豪だ。だがら練習も相当ハードなものなのだろう。

「マジで無理!筋トレ10倍とか死ぬ!」

息を切らしながら野球部の部長がそう言う。だがペースは崩さない。


そして、野球部との追いかけっこの末、僕は先輩に捕まったが逃げることは出来た。

「はぁ、はぁ、野球部ヤバすぎです。」

「はぁ、はぁ、同感。」

だが、今はそんなことをしている場合ではない。

逃げていたのに、何故先輩に話しかけているんだよ。

走りたいが生憎運動はしていない(体育の授業も含めて)なので体力が底を尽きた。

「ほら行くわよ。」

先輩はまだ体力は残っているようだ。

「ちょっと歩くの早いです、もっとゆっくりお願いします。」

って違う!だが逃げ出せない。もう無理だ。

そして車に着くと、

「宮條さんでしたか?社長は預かりました。今すぐに私の頼みを聞いてくれないのであれば、この後輩くんはずっと私によって苦痛を受けることになるわよ。」

苦痛、思いつくのがあれば、先輩が毎日屋敷に居座られてお菓子や紅茶を暴飲暴食して財政破綻させること。(流石にそこまではならないが。)

高校生になったはずの先輩が、OGとして中3になっても文芸部を不法占拠していること。etc...

なるほどこれは、詰みだな。

「宮條さん助けて!」


「あのー、本当にうちの社長を使って脅すなどやめてもらっていいですか?」

後部座席に座る僕と先輩をバックミラーで確認しながらそう言う。

「今回は、本当に申し訳ないのだけれど助けてほしいの鈴木くん。」

「あれっ、私の話聞いてますか?」

宮條さんの言葉を無視して先輩は、

「勉強を教えてほしいの!」

「「は?」」

3年生、これからの人生の行く末を決める第一歩、既に先輩は躓いていた。


つまりはこういうことだ。

小説を書くのに没頭しすぎて勉強を疎かにしていた。

「先輩の自業自得だと思います。」

「私もそう思います。」

宮條さんも同調する。

「それは重々承知しております。ですがこの鈴の音イグディスの慈悲を頂きたいのです。」

「すみません、ここは宗教じゃないんです。神の慈悲とか求めないでください。どうせなら紙の慈悲でもこいねがうのはどうですか?」

「本当に、これが最後のお願いだから!この屋敷の人でも塾でもどこでもいいから紹介してできれば塾だったり家庭教師だったりするのならお金の面はそのー、ね。」

「『そのー、ね。』が1番知りたいですよ!」

「お願いよ!一生のお願い!」

「先輩絶対にこれまでも一生のお願いって言ったことありますよね。」

「鈴木くんの前では言ってないわ!」

「言ったことあるんですね。って泣かないでください。」

ウルウルした目から水が滴る。

「うわっーーん!意地悪!」

「宮條さん、どうします?」

「そうですね。原稿用紙を仕入れたこちらにも非はあるのでしょうか?」

「ある!」

「先輩、いい加減なことは言わないでください。無いですよ!」

「うわっーーん!」

「先輩、後輩の前で泣くとか恥ずかしくないんですか?」

「うわっーーん!」

恥ずかしく無いようだ。

「泣き脅しってやつですかね?」

宮條さんがそう言うと、

「うわっーーん!うわっーーん!」

泣き声のボリュームが増した。

「うるさいです。」

「うわっーーん!うわっーーん!うわっーーん!」

「あぁ!もう、わかりましたよ。最上さんでいいですよね。」

「げっ、アイツですか?こちらで家庭教師でも手配しましょうか?」

「えっ、最上さん?」

「先輩、元気ですね。」

「うわっーーん!」

「無駄ですよ!」

「うわっーーん!うわっーーん!」

「もう、わかりましたから嘘泣きはやめてください。最上塾っていう塾紹介しますから。」

「そう、ありがとう。鈴木くん。君って本当に優しいよね。」

「先輩が脅したのでは?」

「方が助けてくれたんだよ。況してや脅すなんて。」

「「•••」」

僕と宮條さんは冷めた目をしていた。


そう、これが本題だ。

どうして、先輩は最後まで迷惑をかけるのか?

そう言う体質なのか?

地震が来た。

初期微動が終わり主要動が来た。

これは震度7だな。




そろそろ、小説内の冬も終わりですね。

春休みの到来は近いですね。


次回は勉強会&入学試験です。

早いだって?

入学試験まであと1週間だった場合どうしますか?


それでは読んで頂きありがとうございました。

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