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陰キャの日常  作者: 陰キャ代表
第6章 続 燃える日常
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ボランティアの日常

第64話 ~奉仕活動~


奉仕活動とは、掃除だった。

それも旧校舎の。

「ねぇ、鈴木くん。私やっぱり部活廃部になってもいいからここに行きたくないんだけど。」

「同感です。」

だが、僕と先輩以外は普通に入っていく。

「戸田先生は私たちに掃除を頼んだのって覚えてます?」

「何?覚えてるけど。」

「「えっ!」」

「先生言ってる意味わかってます?じゃあいつのことですか?」

「テストがあったその数日後だね。梓川さんがスマホを持ってきてたから。」

「じゃあこの旧校舎には地下室があって三原さんが管理しているんですよね。」

「えぇ、そうだけど。」

「えっとじゃあ、掃除2日目って僕たち何してました?」

「えっと、あの日は確か3人で掃除していたのよね。で鍵を返しにきたわ。だけどみんな魂抜けているかのようにポカーンとしていたわよ。今思うとあの時大丈夫だったの?」

僕は先輩と顔を合わせて頷き音楽室へ行ってみることにした。


「確かにこのピアノなのよね。」

「これ以外にピアノはこの校舎にはありませんよ。」

「確かあれってコードネームか何かの暗号だったのよね。」

「そうです。でもその暗号を忘れてしまいました。確かえいとかへんがあったような。」

「そうよね。あれも解いたの美野里だしなー。美野里の記憶はないからねー。」

「もしかすると、嘘をついているという可能性もあるかもしれませんよ。」

「どうなのかなー?よくわからないわ。」

「あのー、ちょっといいですか?」

突然、後ろから声をかけられてビクッとした僕と先輩は振り返ると、後輩がいた。

「あー、なんだ市川さんか。」

「はい。あのピアノ掃除したいんでちょっとすみません。」

そう言って市川さんはピアノに近づく。

もちろん何も起こらないが、何故か緊張してしまう。

痺れを切らした先輩が、

「やっぱりここは私たちで掃除しておくから、市川さんは他のところ掃除して。」

「そうですか。お邪魔しましたー。」

そう言って市川さんは少し微笑みながら出て行った。

市川さんは1年生の女子でちょっと謎が多い子だ。

謎といっても本性を表に出さない?というか直向きさが嘘っぽい?

「何故か、あの子を見ていると私と似ていると思うのよね。」

「すみません、どこがですか?」

「昔もこんなことがあったような気がして。」

「昔も先輩みたいな人が、いて廃部になりかけたんですか?」

「違うわよ!そうじゃなくて•••」

「あれっ?あの後ろの扉。」

僕が何かを見つけて指を指す。

「何?あれって。あれは•••」

「市川さんですよね。」

後ろのガラスになっている扉から顔を覗かせてニヤニヤしている市川さん。

「もしかして、何か変な勘違いされているんですかね?」

「多分そうね。」

「止めないと。」

だが僕と目が合うとスッと姿を消した。

「消えちゃいました。」

「何か嫌な予感がするんだけど。」

「同感です。」

「まぁ今はこのピアノを調べましょう。」

♩♫

「前と同じで音は出るのね。」

「最後、暗号の紙ってどうなりましたか?」

「確か、最後は美野里が持っていたはずよ。懐中電灯と一緒に。」

「そうですよね。じゃあ紙が入っていた箱は•••」

「「職員室!」」

次は職員室へ向かうことにした。


「輪島って人の机なんてないわよ。」

軒並み名前のない机があるだけ。

「やっぱり夢だったって事でいいんじゃないですか?」

「じゃあ私のお腹の傷をどう説明するのよ。」

「全部先輩の妄想なんですよ。」

「じゃあ鈴木くんが見た夢は?」

「•••」

「何か言いなさいよ。」

「夢なんて夢ですから。」

「何いってるのよ。」

「もう夢って事でいいじゃないですか。こうして平和に過ごせてますし。」

「お気楽ね。」

「実害ないじゃないですか。」

「私のお腹にしっかり刻まれてるわよ!」

もう疲れた。こんな会話をするのなら掃除したほうがマシだ。

「じゃあ、掃除しますよ。」

「嫌よ。」

「本当にいい加減にして下さい。嫌なことでもしなければならない時が来るんです。」

「嫌よ!絶対に嫌。」

「もういいですよ。僕は市川さんが掃除するといってくれたのに先輩が大丈夫と嘘をついて掃除を僕に押し付けてくると思うので早速そこの掃除をします。」

「うん。いってらっしゃい。」

「こういうのはKYというのですよね。」

「私は空気を吸っているわよ。」

「見えないものを読み取って下さい。それじゃあ僕は面倒事には関わりたくないんで。」

僕は音楽室に向かった。


その後もちょっとだけ音楽室を調べてみたものの、隠し扉があった壁も特に違和感もなく、ピアノのコードネームは何がなんだかよくわからないので調べようがなく掃除は幕を閉じた。

「さぁみんなお疲れ様。これで来週からまた文芸部は復活するから参加してね。」

先輩が旧校舎の昇降口で終わりの言葉を述べて解散となった。

「これでもう僕の家に上がり込んだりしないでくださいよ。」

僕は、先輩を呼び止めてそう言う。

「私は強欲なの。行きたいと思った時に行かせてもらうわ。」

「言ってる意味が理解できません。」

「口約束なんて何の保証もないもの。誰かがああ言ったけど他の人が違うと言えばその約束は約束ではなかったことになるのよ。」

「そんな理論に納得すると思っているのですか?」

「えぇ、じゃあね。あっ車で待ってるから。」

「?」

じゃあね。の使い方が間違っていないか?


1週間後。

ちゃんと部室は取り戻すことが出来て、活動もなんの支障も出ずに再会することが出来た。

今回、特に咎められませんでした。

実際はもうちょっとしたいことがあったのですが、最近時間がなくて困っています。


次回は、文芸部とは別のことです。所謂箸休めですね。


それでは読んで頂きありがとうございました。

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