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陰キャの日常  作者: 陰キャ代表
第6章 続 燃える日常
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一時停止する日常

第61話 ~休止~


「本当にあれは夢だったのよね。」

「はい。お腹の傷は先輩が寝ている間に引っ掻いただけでもあって全て先輩の妄想です。」

「じゃあなんで鈴木くんも同じ夢を見たのよ?」

「それは、偶然そうなっただけなんじゃないですか。」

「なるわけないじゃない。」

「そんなことより2人とも、早く書いちゃいなさいよ。」

「お姉ちゃんはガッカリだわ。夢の中では美野里が1番怪しい人物で悪魔が使者とか言ってたわよ。」

「悪魔なんてあるわけないじゃない。頭大丈夫?」

「美野里、最近ちょっと口が悪い気がする。もしかして思春期特有の反抗期?だとしたらお姉ちゃんすごく悲しい。」

「違うわよ!そんなんじゃないんだもん。」

「あのー。僕の家にまで来てただ話してるだけなら帰ってもらっていいですか?」

「「いやよ。」」

なんでこの姉妹はこういう時だけ息ぴったりなんだよ!

「後輩の素性を知るのも先輩としての使命よ。」

「そんな使命ありませんよ。」

「私は単に気になって。」

「梓川 美野里さんの方が正直で先輩よりよっぽどマシですよ。変な言い訳される方がムカつきます。」

「私だってこんな家来たくなかったわよ!」

「あっそうですか。それではお帰りください。」

僕は自分の周りにあった原稿用紙を片付ける。

「あっ、そういう意味じゃないの。家に帰ると親が勉強しろ!ってうるさくてさ。だからお願い使わせて!」

「嫌ですよ。図書館にでも行ったらどうですか。」

「嫌よ!だって図書館に行ってもお菓子なんて出てこないもの。」

僕たちの座ってるテーブルにはバスケット一杯のお菓子があった。

「お菓子目当て何ですか。ある意味泥棒ですよ。」

「だってここのお菓子高級なんだもん!何よ、この『La fragrance』ってとっても美味しいのだけれど。」

「知りませんよ。宮條さんにでも聞いてください。そんなことより早く帰ってくださいよ。小説よりも受験勉強してください!」

「言ったでしょ私、滑らないんで。」

「そういう人ほど滑らんですよ。それにオペ手術のポーズはやめてください。本当にマズイですよ。あと1ヶ月もないじゃないですか。本当に先輩は頭おかしいですよ。」

「何なのよ、2人して頭大丈夫?だの頭おかしいとか酷くない?」

「酷いのは先輩の態度ですよ。せめて来客らしくしてください。ほら、先輩の妹さんは律儀に座って勉強なんてしていますよ。見習ってください。」

「なんでよ。人は人それぞれの人生があるのよ。誰かの人生を真似するなんて自分の人生を他の人の人生で埋め尽くすことになるのよ。嫌よ。面倒だしそれに私は美野里じゃないの。」

「言ってることがさっぱりわかりません。」

「私もよ。」

「先輩も分からずに言ってるんですか!本当に先輩滑っても知りませんよ。」

「なんで後輩にお母さんみたいなこと言われなきゃならないのよ。」

「先輩が帰ってくれないからです。」

「仕方ないじゃない。って言ったじゃない。」

「ちょっと待ってください。先輩達が部活に来なかったら文芸部が一時的に休止なんてならなかったと思うのですが!」

「だって、仕方ないじゃない。」

「仕方なくないですよ。どうして引退してるのに部活なんてやってるんですか!それに他の2人は受験勉強してますよ!なんで先輩だけは勉強してないんですか!」

「勉強が嫌いだからよ。」

「欲望に忠実ですよね先輩って!」

「その言い方は好ましくないけれども、えぇそうよ。それのなにか問題?」

「問題ですよ。そもそもそれを問題だと理解していない時点で先輩の人生は破滅ですよ!」

「もういいわ。私は執筆作業に取り掛かるから。」

「えぇ!帰らないのですか?」


こんな慌ただしい状況になったのも全て先輩の所為だ!

変な夢を見て起きたその日の朝。

いつも通り学校に到着して神楽坂さんから聞いた。

「あの、鈴木くん。そのー、鈴木くんって文芸部の部長だったよね。」

「うん。まぁ。」

「最近、文芸部に怪しい行動があるって、会計の人が言って、その調べてみたところ3年生がまだ部活しているって報告が来て、そのーこんなこと言うのは気がひけるけど、文芸部を一時的に休止にさせてもらうよ。ごめんね鈴木くん。」

神楽坂さんとしては申し訳なさそうに言ったが、生徒会長としては正しい判断をしていた。

正直、文芸部にそこまで情があったわけじゃないが一応部長たるもの問題児を排除しなければならなかった。

佐藤さんと矢田さんは素直に納得してくれたのだが、1番の問題児が納得しなかった。

「どうしてよ!嫌よ!文芸部は私が立て直す!」

「先輩の所為で立て直すどころか崩壊してるんですけど!」

そうして文芸部は、廃部へと一歩近づいたのだ。


「もしかしてこれから毎日、毎日、僕の家に来るのですか?」

「もちろんそうだけど。何か?」

「いや、無理です!どうして、ここが新しい部室何ですか!他を当たってください!」

「ここ以外に作業環境が最適な場所なんてどこにあるのよ?」

「どこにでもありますよ!」

「もう、うるさいわね。じゃあ部室取り返してきなさいよ。」

「いずれ帰ってくることなのにどうして、抗議しなきゃならないんですか!」

「私に居座られるのが嫌なんでしょ。じゃあ早く部室取り返しなさいよ。」

「わかりました。やりますよ!部室取り返せば、この家から出て行ってくれるんですよね。」

「えぇ、一角で居座るのをやめるわ。」

「言いましたよ。じゃあ明日神楽坂さんと話してみます。」

「頑張って頂戴。」

「先輩も明日の朝、来てくださいよ。」

「えっ!もしかして朝って何時くらい?」

「8時前ですかね?」

「いやーーーー!」

「ちょっと!先輩!」

先輩は逃げ出した。

この章でも文芸部ですが、前回の章は文芸部よりも?の章っていう感じで作ったつもりです。

その?があの章でわからなかったら意味がないとか言わないでください。


次回は早速、抗議の時間です。


それでは読んで頂きありがとうございました。

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