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陰キャの日常  作者: 陰キャ代表
第5章 燃える日常
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脱出する日常

梓川 妹は、輪島に銃口を向けた。

「今すぐ離れなさい。じゃないと撃つわよ。」

「そうか。じゃあ私からも言わせてもらおう。」

そう言って輪島も『CASE β』にあったハンドガンを手にする。

「君が撃ったら、私も君を撃つ。命が惜しければ、その銃口を鈴木に向けろ!」

そして、梓川 妹は少し悩んでいた。

「ちょっと、本気で僕に銃口を向けるつもり?」

「鈴木、お前に私が受けた痛みなど分かるまい。あの酸は実験用だったのに。」

「そもそもというかどうしてあの腕が輪島と連動しているんだ?」

「お前、訳がわからずやっていたのか!ならば尚更死んで欲しい!私は既に人間ではない。ゾンビみたいなものさ。ゾンビは頭を何かでぶち抜かれないと死なない。つまりそれまでは全ての器官が連動しているんだよ。『CASE γ』で私がどれほどの生命力があったのか分かるだろ。だが、痛みがあるというのは、欠点だな。」

「欠点がわかってるっていうのは良いことなのよ。」

場の空気を読まない。いや、もしくは和ませようとしてやっているのかはわからないが先輩がそう言う。

「そうか。それはありがとう。この欠点を克服できるように頑張るよ。」

そう輪島が嬉しそうに言う。

「えぇ、存分に頑張っちゃって!」

だが、輪島は先輩の手には乗らずに適当に遇うと、

「さぁ、梓川 美野里。選んでもらう時間だ。どちらにする?鈴木を殺して君たちが助かるか?それとも私を殺して君も死ぬ。そして残った2人は助かる。

この場合、どう考えてもメリットがあるのは鈴木を殺すことだけど、どうかな?」

「私は•••」

梓川 妹は僕の方に銃口を向けた。

「ごめんなさい、鈴木。私、お姉ちゃんを守りたい。お姉ちゃんと私で助かりたい。だから、殺してもいい?」

甘い声で言う梓川 妹に一瞬頷きそうになったが僕は首を振り、

「無理無理無理無理!」

「無理じゃない。ほんの一瞬、ほんの一瞬のことだから。頭にちょっと穴が開くだけだから。」

「何言ってんの!姉妹揃ってなんなのですか!」

「ちょっと、私がどうかしたって言うの?」

僕の言葉に先輩が反応したようだ。

「どうもこうも、先輩が悪魔に好かれたせいでこんな状況になってるんですけど!」

「私だって、悪魔に好かれたなんて嫌よ!」

「で、心の準備は!」

梓川 妹がハンドガンのセーフティーを下げた。

『カチッ』と音が鳴り、いつでも発射可能な合図だ。

「えぇ!ほ、本気?」

「もちろん本気よ!悪魔をヘッドショットしたくらいなんだからもう平気よ!」

「僕って悪魔なの?」

「じゃあ鈴木、今までありがとう。」

そう言って引き金に手を掛けた。

「せ、先輩!た、助けてください!こんな狂気妹とよく一緒に暮らしていましたね。」

「あら!私の可愛い妹のことを狂気妹だなんて言うのは心外ね。美野里とことんっちゃって!」

「せ、先輩!」

「アッハハハハ!仲間からの信頼0だな!どんだけ頼りないんだよ!」

輪島が急にお腹を抱えて笑いだした。

「さようなら、鈴木。」

そう言われ、僕は目を瞑った。

そして、梓川 妹は引き金を引いた。


『バン!』


息を止めた。

もう死んだのだろうか。

この意識は、死後の世界?

「危ねーなおい!」

そんな輪島の声が聞こえて目を開ける。

すると、梓川 妹は輪島を撃っていたのだ。

僕を撃つ直前に90度回転して輪島を狙った。

だが、狙いは違ってしまい輪島の頭をぶち抜くことはできなかったようだ。

そして、それに気づいた輪島は銃を梓川 妹に向けて、

「死ね。」

そう言い、引き金を引いた。

弾速はとても早く、階段からここまでも撃ってしまえば0.1秒もかからないくらいの速さで弾は進み梓川 妹の体へとぶつかってはいなかった。

「あっーーーー!」

先輩が梓川 妹の代わりに倒れた。

「お姉ちゃん!」

「先輩!」

僕と梓川 妹はすぐに先輩の方へ近づく。

すると、まだ息があった先輩が、

「ありがとう。2人とも•••」

そう言って先輩は目をゆっくり閉じた。

「先輩!先輩!」

僕は体を揺らす。

「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」

梓川 妹は先輩に抱きついている。

今にも泣きそう。

また、大切な人を失ってしまうこの辛さに•••

「ん?」

そう言ったのは梓川 妹だった。

「お姉ちゃん、死んでない?」

そういうと、

「あっ、バレた?」

先輩が目を覚ました。

「先輩、よかったです。」

「ちょっと、何泣いてんのよ鈴木くん。そんなに心配した?大丈夫よ。球が脇腹に掠れて痛かったけどもう大丈夫よ。だって血も出ていないし。」

「あと、0.1秒遅かったら死んでましたよ!」

僕は少しだけ涙を流してそう言った。

だが、輪島が

「クソッ!どうして私の邪魔をするんだ!梓川!」

と言うが、

「「はい?」」

どちらも梓川だ。

「あっ、梓川 翔子!」

「「ダッサッ。」」

「う、うるさい!」

「同じ名字は大変ですね。」

僕がそう言うと、

「全くだ。」

と何故か輪島が同意する。

「って!あーー!ややこしい!」

輪島がとうとうキレた。

「このクソが!」

そう言って輪島は銃を乱射し始めた。

『バン』『バン』『バン』『バン』『バン』『バン』『バン』『バン』『カチッ』『カチッ』『カチッ』

8発撃ったところで、弾が切れた。

だが僕たちには一切当たっていない。

なぜなら•••

「お前が私を撃ち、お前が私のフィアンセを撃ったのか!」

そう、悪魔 アザゼル だった。

アザゼルは先程と変わらない服装だが、弾を弾き返していた。

「私は、撃っておりませぬ。今、初めて撃ったのです。」

「嘘を言え!お前は私のフィアンセを殺そうとした。それを私が運良く防いだ。最初は油断していたが今は違う。お前は私のフィアンセに銃を向けて撃った時点で地獄行きが決まっておる!さぁ私と一緒に来てもらおうか!」

そう言って、体の大きなアザゼルは輪島をヒョイと担ぎ白い部屋へと戻ろうとしていた。

だが、先輩が

「アザゼル、ありがとう。」

「私のフィアンセが婚姻直前に死ぬなんて、私が悪魔となった時と同じ思いはしたくなかったからな。」

頬を赤らめる悪魔。

なんだこれ?

「でも、私まだ契約書にはサインしてないから。」

そう言って先輩は、僕たちを引き連れて階段を登り始めた。

「えっ、私のフィアンセじゃない?」

「そうよ。あと2画足りなかったの。」

「そ、そんな待ってくれ!」

だが、輪島を抱えたアザゼルにはどうすることもできなかった。


階段を上るとまたあの部屋だった。

「もう、机は十分よ。なんて書いてあるの?」

先輩が机に近づく。

すると、

『目の前の扉が出口

出口に5桁の番号を入力』

「たしかにタッチパネル見たいのがあるわね。」

梓川 妹がそう言う。

「じゃあヒントはこの部屋のどこかにあるんですか?」

「多分そうね。」

「じゃあ探してきます。」

「待って!」

僕が探そうとすると、梓川 妹がそう言った。

「どうしたの美野里?」

「私は全部知っているのよ。こんなの手の物よ。」

「そうだったわね。」

「じゃあ、お姉ちゃん。そのライトと暗号の紙、貸して。」

「いいけど、何するの?」

先輩は言われたものを梓川 妹に渡す。

「このライトはね、『ブラックライト』って言って特殊な塗料があると見えるようになるの。」

そう言って、梓川 妹はブラックライトを紙に当てた。

すると、『⇨6 ⇦4 FF c e 嬰c f 変c g “37564”』

「ほら!タッチパネルに37564っと。」

『ピーーガチャ』

そう音が鳴って鍵が開いた。

「じゃあ、開けるわよ!」

梓川 妹がそう言う。

「美野里、あなた一体誰なの?」

「さぁ、誰でしょうか。」

「使者って何?」

「さぁ?」

そして、僕が、

「この数字、37564、つまり“皆殺し”って意味じゃないですよね。」

「鈴木くん、考えすぎよ。」

「そうですか。」

「じゃあ、もう一度!開けるわよ!」

「わかったわ。ありがとう美野里。」

「ありがとうございます。梓川 妹。」

「は?鈴木、今なんて言った。」

「梓川 美野里さん。」

「鈴木!ふざけんじゃねーぞ!何が梓川 妹だ!」

梓川 妹が豹変した!

「ごめんなさい!」

僕は急いで出ようと、扉を開けた。

「あっ私が開けようとしたのに!鈴木ー!」

「ひっ!」

「何?この光?」

先輩が指差したのは扉の向こう側のことだった。

_____________________________________________


「はっ!」

目を覚ますとそこは私の部屋だった。

「夢?」

とても鮮明に覚えている。

美野里と鈴木くんで旧校舎を探検して、輪島だったり悪魔アザゼルと出会ったり。

「お姉ちゃん!」

ドタドタ廊下を走り私の部屋を開けたのは、美野里だった。

「お姉ちゃん、無事?」

「えぇ、無事よ。って何が?」

「そっか。旧校舎のこと忘れたんだ。」

「それは、忘れてないわよ。旧校舎でしょ。あんなの忘れるわけないじゃん。」

「えっ、お姉ちゃんも同じ夢見てたの?それって、鈴木とお姉ちゃんと私で、訳の分からない悪魔や全く知らない輪島と戦ったのよね。」

「そうそう。悪魔に結婚を迫られたわ。」

「えっ?」

「でも、夢でよかったじゃない。」


制服に着替える時、私は『なんで?』と思った。

脇腹に何かが掠れた跡があった。

何が掠れたのかは分かっている。

拳銃だ。

あれは夢だったのよね。

どうしてこんな傷が•••

「お姉ちゃん?どうしたの?」

「この傷。」

目の前にいた美野里に診てもらうと、

「これって、輪島ってやつが撃った時のよね。」

「やっぱり!」

「ねぇ、あとで鈴木にもこのこと聞いてみない?」


そして、学校に着き教室に行くと鈴木くんが私の教室の前で待っていた。

「あっ、先輩!大変です。」

「そう。分かってるわよ。」

「なら、もう文芸部には来ないでください!」

「はい?」

「えっ、生徒会が先輩がコソコソ部活しているんじゃないかと疑っているんです!」

「そ、それもそうだけどさ。鈴木くん、夢見なかった?」

「夢?あぁ。あの悪魔とか輪島とか先輩と先輩の妹さんが出てくるやつを見ました。」

「そう、それ!私と美野里も同じ夢を見たのよ!それに私の脇腹に輪島に撃たれた弾のかすり傷があって。」

「えっ!どういうことですか!3人とも同じ夢を見たってことですか?」

「もしかしたら、本当にあったことなのかもしれない。」

「えっ。怖すぎます。」

「だよね。だよね。でもどうすればいいのか、さっぱり!」

「1番早いのは、梓川 美野里さんに話を聞くことだと思います。」

「やっぱり、美野里は使者とか言ってたものね。悪魔が。」

「そう言われると信ぴょう性が全くないですが、とにかく聞いてみましょう!」


「夢?なんのこと?」

「えっ、朝言ってたじゃない。同じ夢を見たって。で使者のことについて聞きたいことがあるの。」

「お姉ちゃん、頭大丈夫?あと鈴木も?」

「大丈夫よ!だって私の脇腹に何よりの証拠があるのよ!」

たしかに傷はある。

「よくわかんない。」

「忘れたってこと?」

「多分そうですね。いずれ僕たちも忘れてしまうんじゃないですか?」

「そ、それは大変!急いで何かに書き写さないと!」


だけど、私と鈴木くんは、忘れることはなかった。

_____________________________________________



「この箱、何かな?」

市川いちかわ山田やまだのところへ持ってきたのは、謎の木箱でコピー用紙のA3ほどの大きさの木箱で3桁のダイヤル式の南京錠で閉ざされており中身がわからない。

「市川先輩、こういうのは見ない方がいいんですよ。だって南京錠をかけるくらいのものが中にあるんだと思いますし。」

「山田くんは好奇心がないなー。南京錠があるから開けたくなるんだよ。」


第59話 ~そして、狭間は繰り返す~

今回は、『話』を最後に持ってきました。

初めにあのタイトルではほぼネタバレ同然ですから。


残り、1話で第5章は終わりです。

残りの1話は何をするかと言いますと、また

secretです。

確実に訳の分からなくなる話なので期待しておいてください。

Twitterでもしかすると、次回予告するかもです。

(念のために、次回予告は@reading_swordでするのであればこのアカウントでします。)


それでは読んで頂きありがとうございました。

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