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陰キャの日常  作者: 陰キャ代表
第5章 燃える日常
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CASE δ の日常

第57話 ~δ~


プロジェクターは、何かを写し始めた。

映像の始めに、輪島?が登場した。

「これは、ここに来て私に出会ってから3分経った時に流れるようになっています。そして、これがプレゼントです。」

『パチパチパチパチ』

輪島?が編集をしたのかテレビなどで見受けられる効果音の拍手が流れた。

「さて、ここではこの建物の説明、この部屋の説明、最後に、選択をしてもらいます。

最後まで話をよく聞いて、選択してください。」

輪島?がそう言うと不気味な笑顔を見せた。


「では、始めにこの建物の説明をします。既に話しましたが、ここは『全ての狭間』全ての事象の間にある土地です。例えるのであれば1秒と1秒に挟まれた0.5秒の世界。もっと言うと0.5秒と0.5秒に挟まれた0.25秒の世界と限りなく続く狭間の世界のある特異点に作られた建物がこの『全ての狭間』です。

ここでは24の今後起こりうる可能性が、形となって存在しているのです。

じゃあ、どうして私達、僕達がこんな全ての狭間になんか連れてこられた、招かれたのか?そう疑問に思う人もいるでしょう。教えましょう。

その理由は、ある強い思い。又は、人界で言うところの『悪魔』との契約。などが挙げられます。

つまり誰かの強い思いで、招かれたのか、誰かが悪魔との契約を果たしたのか。どちらでしょうか。

ちなみに悪魔との契約の際それなりの対価が必要となります。身近な人で最近様子がおかしいと思うのであれば、その人がここに招いたのでしょう。

ですが、これを見ているみなさんは、もうお分かりですよね。誰がこの世界に招いたのか。」

この『全ての狭間』とやらに招いたのは確実に梓川 妹?だろう。つまり梓川 妹?は“元凶”ではなくここの“主”と言うことだろうか。

「鈴木くん。この輪島が言ってることって、美野里が悪魔と契約した可能性があるってことだよね。」

「多分、そうですね。でももし梓川 美野里さんが悪魔と契約をしていたとして、何を対価として払ったんでしょうね。」

「わからないわ。何か物という可能性もあるし、精神的なものかもしれないし。」

「でも、強い思いという可能性もありますよ。」

「強い思いって一体どんなものなの?」

「それもわかりません。」

そんな、話をしている間に、プロジェクターの輪島?はまた話し始めた。

「それでは、この部屋の説明をさせていただきます。

この部屋は、『CASE δ(デルタ)』です。ちなみに、この部屋の元凶も私です。

この部屋ではこの先階段を降りても扉や追いかけられたりなどもせず、次の階段に行くことができます。次の部屋『CASE ε(エプシロン)』に繋がっています。

つまり、今起きている出来事も今後起こりうる可能性があるということです。

じゃあ、この部屋は何をするところなのか。

それは、『ショートカット』です。

これから後、20個の今後起こりうる可能性を体験するのは、さぞかし大変なことでしょう。

そこで、この『CASE δ』では、最後の24の番目の『CASE ω(オメガ)』までのショートカットができる地点です。

ここから後20個の起こりうる可能性を体験して、『CASE γ』のように殺されかけるか。

それとも、最後の1つだけ体験してこの『全ての狭間』から脱出するのか。

さぁ、どちらが良いでしょうか。」

「ショートカットって一体どうやってするのよ!」

先輩がそうプロジェクターに向かって言う。

「先輩、画面に向かって言っても意味ないですよ。」

「じゃあ一体どうすればいいのよ!もう沢山!美野里が連れていかれて、残ったのは頼りない鈴木くんで、『狭間』だの、『生と死』、『天国と地獄』ってもう嫌!私たちを家に返してよ!」

「頼りない•••って先輩!落ち着いてください!そんなこと言ったところで問題が解決するなら僕だってしています。」

「だって、仕方ないじゃない!美野里が謂わば美野里がこんなわけのわからないところに連れてきて、何かしたかったわけでしょ。

それがわからないの!

美野里は何がしたくて、悪魔と契約したの?強い思いで何を願ったの?」

「身近な人がいなくなる気持ちはわかります。僕だって父親が亡くなりましたから。だけど、美野里さんはまだ生きている可能性もありますし、何より義理でも姉妹という最高のタッグじゃないですか!僕の父親なんて、仕事は長距離トラックの運転手と言っていたのに、本当は大企業の社長ですよ!隠し事ばかりで亡くなった今も父親がどういう人だったのか1つもわかりません。だけど、先輩は美野里さんのことよくわかっているじゃないですか。それでも諦めるのですか?」

「私は、美野里と–––」

そう言ってから少し黙っていたが、突然涙を流し始めた。

「始めて美野里出会った日、私は5歳だった。美野里は4歳で麦わら帽子にワンピースでとっても可愛らしかった。そして美野里にこう言われたの。

『お姉ちゃん、大好き!』って。何を見て思って言ったのかはわからないけど、美野里はお姉ちゃんっ子だったの。私はそれを知って美野里は私の大切な妹だって思ったの。なんとしても守らないと、なんとしても助けないと、って。だけど今は私が助けられてばっかりだけどね。頼りないお姉ちゃんでごめんね。美野里。今度は私が美野里を助ける番だね。」

「落ち着きました?」

そう僕が聞くと、

「うん。落ち着いた。ありがとう鈴木くん。」

そして、また輪島?が話し始めた。

「それでは最後の、選択に移ってもらいます。

選択というのは、ショートカットするのかしないのか。

というものです。

ショートカットする場合は、目の前にある時計を時計回りに3時まで回して反時計回りに6時まで回してください。

しないのであれば、どうぞ階段を降りて下さい。

ちなみに、私が預かっている子は『CASE ω』を越えた先です。」

そこで画面は真っ暗になりプロジェクターは上に上がっていった。

「先輩どうしますか?」

「もちろん、決まっているわよ!美野里を救うのに1秒でも無駄にはできないわ!」

そう言って先輩は、机に埋め込まれた時計を、時計回りに3時まで回し、反時計回りに6時まで回した。


すると、

『ガチャ、ガガガガガ』

僕たちから見て右の壁に扉が出来ていた。

「鈴木くん、心の準備は?」

「バッチリです!」

「私もよ!じゃあ行くわよ!」

そう言って先輩は扉を開けて、僕たちはその先の道を走って行った。


いよいよ、5章も残すところあと僅か!

果たして、『全ての狭間』から3人は脱出することはできるのでしょうか⁉︎


次回は、CASE ω ですね。


それでは読んで頂きありがとうございました。

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