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陰キャの日常  作者: 陰キャ代表
第5章 燃える日常
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進む日常

第52話 ~暗闇の中~


「本当に行くんですか?」

僕がそう聞くと、

「もちろん行くわよ。別に鈴木くんは来なくてもいいけど1人でここに残っておく自信はある?」

「もちろんありません。だから帰ります。お疲れ様でしたー。」

僕は180度回転して扉に向かうが、

「ちょっと待ちなさい。」

そう言ったのは先輩ではなく梓川 妹だった。

「何?」

そう聞くと、

「はぁ?お姉ちゃんが、ここに残るかついてくるかの選択の中にどこに『帰る』って選択肢があるのよ。」

あーあ、面倒なことになった。

梓川 妹はとても強気で何にでもグイグイ突っ込んでくる性格だ。

クラスでも仲のいい女子と話しているのを見かけたことがあるが、何か引っかかる点があった梓川 妹が引っかかる点を言った女子に何度も問い詰めていたのを見たことがある。

話の内容によるものだとは思うが帰るくらいでそんなこと言わなくてもいいんじゃないだろうか。

だが、ここで帰ったら面倒なことになるのは目に見えている。

「じゃあついていきます。」

そういうと、梓川 妹は先輩にくっついてまた暗号の話しだした。

本来の目的は掃除なんだが。

僕はそう思いつつも箒とバケツを持って先輩達の方へ行った。

すると先輩が、

「なんで、掃除用具を持っているの?」

「もしものための武器として使うことができますし、そもそもここへは掃除するために来ているんですよ。ですからこれを置いていくわけにはいきません。」

「鈴木くん。掃除のことは忘れなさい。だけど武器として使うのはナイスアイデアだね。」

先輩は自分の分の箒を逆さまにして持つ。

「これで、何か出てきたときに埃を浴びせることができるわね。」

「先輩、何か出てくる前提で言わないでください。」


「じゃあ、開けるわよ。」

先輩が隠し扉の取っ手に手を掛けてゆっくり開く。

「真っ暗だね。」

既に薄暗い旧校舎にこれ以上ない程の暗さが扉の向こうにはあった。

「こんな暗い中に入るなんて出来ませんよ。だからだから今日はもう掃除とかどうでもいいんで帰りませんか?」

「鈴木くんは一昨日のことを忘れたのかい?」

先輩はポケットからスマホを取り出した。

「すいません、先輩。何故持ってくるなと言われたものをまた持ってきているんですか?」

「それは、持ってくるなって言われたら持ってきたくなるじゃない。」

「先輩、それだと麻薬をするなと言われればしちゃう人なんですか?」

「鈴木くん。私にも常識はあるの。犯罪には手を染めないわ。」

「でも、校則には手を染めるんですね。」

「鈴木くん。いい加減にしないとこの箒で引っ叩くよ。」

「すみません。ごめんなさい。」

何故僕が謝っているのだろうか?

「もう、お姉ちゃん早く行こう!」

「わかったわ。」

そして、2人は扉の中に入った。

「あっ、待ってください!」

僕も扉の中に入っていった。


『ガチャ、ガガガガガガ』


「えっ。」

この音はと思い後ろを振り返る。

「えっ、お姉ちゃん。扉が。」

扉が封鎖された。

「こ、これはマズイですよ。先輩、今すぐ電話して先生に迎えにきてもらいましょう!」

僕がそう焦りながらいうと、

「それが、さっきまで圏外とかじゃなかったのに急に圏外になって•••」

先輩は自分のスマホを見せると、確かに通知に圏外と書かれている。

「これじゃあどうしようもないじゃないですか!」

「落ち着いて、鈴木くん。まだ道はあるわ。とにかく進みましょ。」

そう言って先頭に先輩、次に梓川 妹 最後に僕の順で進んでいく。

「どうして先輩たちは怖がらないんですか?」

「怖くないからに決まっでしょ。」

そう答えたのは梓川 妹だった。

「この状況で、なんで怖くないんですか!」

「怖いと思わないからよ。」

今度は先輩が答えた。

しばらく細い道を進むと、

「あれ?」

先頭にいた先輩がそう言った。

「どうしたのお姉ちゃん?」

そういうと、先輩は

「いや、音楽室があったのは確か3階だったわよね。」

「うん。」

「じゃあ、どうして上に続く階段があるの?」

旧校舎は3階建だ。つまり上に続く階段があることはおかしいのだ。

「屋上へつながっているんじゃない?」

そう梓川 妹が言うが、

「いえ、この校舎は切妻屋根がついているのよ。屋上なんて有り得ない。」

「じゃあ、屋根裏とか?」

「まぁその可能性はあるけれど。」

「えっ、絶対に上になんて上がりたくないんですが。」

そう僕が言うが、

「でもここまで一本道だったわよ。他に道はないわ。仕方ない。行きましょ。」

そう言って先輩は階段を登り始める。

「絶対に嫌です。こんなことになるなら残っていると言って帰ればよかった。」

「鈴木くん。可愛い女の子を放っておいて帰るだなんて解せないわね。」

先輩は僕にライトを当てる。

「先輩、眩しいです。いも•••美野里さんにも多分当たっていますよ。」

「美野里は私の後ろで待機しているわよ。どうする?今から帰る?出口がなくておまけに真っ暗な道を進む気なの?」

「それは、出来ませんが。」

「じゃあ一緒に来るしかないわね。」

先輩は僕の腕を掴むと強引に階段を登っていった。

「大丈夫です、先輩自分で歩けますから。」

「そうは言っても鈴木くん逃げたりするんじゃない?可愛い女の子を置いていって。」

「どうして、先輩自身のことをそう堂々と可愛いとか言えるんですか?」

「じゃあ、私は可愛くないの?」

「••••••そんなことはないですが、置いていきませんよ。状況によりますが。」

「もう、最後の一言で鈴木くんの信用はガタ落ちね。」

そう言ってより強く僕の腕を引っ張る先輩。

「あっ着いたみたいお姉ちゃん。」

謎の4階に着いた僕たちは、辺りを見回す。

「さっきまでの細い道は抜けたようね。」

「屋根裏にしては狭くないですね。」

そして、僕たちは連なって真っ直ぐ進むと、

「何これ?」

先輩が何かを見つけた。

「ん?確かに。」

僕もそれを見ると、

「机ですか?」

それは、1から12までの数字が並んでおり真ん中には秒針と分針の無い大きな時計が、机に埋め込まれている。

「時計には触れるようね。」

そう言って先輩は時針をクルクル回す。

「やめておいた方がいいですよ。」

「うーん?一体なんでこんなところに机なんかがあるの?」

そう梓川 妹が言うが、

「「さぁ?」」

としか答えようがなかった。

怖い系というかよくわからない系に進んでいき収集がつかなくなることを筆者は1番恐れています。

(大丈夫です!ちゃんとどんな話になるのかは計画を立てて書いているつもりです•••)


次回は時計の件ですね。


それでは読んで頂きありがとうございました。



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