解く日常
第51話 ~暗号の意味~
今日も放課後、掃除をするはずだったのに、
「どうして、梓川 美野里さんもいるんですか。」
「どうしてってこの暗号のことについて聞いてみたら『私も手伝いたい』って言ってね。だから連れて来たの。」
「どうせなら掃除を手伝ってくださいよー。」
「私たち家事とかできないタイプだから。」
「義理の姉妹なのにどうしてそんなにも息ピッタリなんですか?」
「性格が元々似ていたんじゃない?」
ということで、同じクラスの梓川 妹も同伴することになったのだが。
「お姉ちゃん、これ見て!」
「なにこのシミ!汚いなー。鈴木くん掃除しっかりして!」
「じゃあ先輩も手伝ってくださいよ。元はと言えば、地下に行った挙句スマホを持って来ていた先輩が1番悪いと思うのは僕だけですか?」
「そうよ。鈴木くんだけよ。ねぇー美野里。」
「そうよ!お姉ちゃんは悪くない。」
100%先輩が悪いのになんだこの姉妹は。
その後も職員室からちょっとずつ僕だけが掃除してようやく3階。
「先輩たちはなにやってるんですか?」
「もちろん、この暗号らしきものを解読しようとしているの。」
「その前にやることあるんじゃないですか?」
「何よ?やることって。」
「お姉ちゃんこっちも探しましょ。」
「わかったわ。」
そう言って音楽室の方へ行く。
「ちょっと、待ってください!」
僕は箒やバケツを持って2人の行ったところへ向かう。
「うーん、ここも特に何もないかな?」
ここは音楽室。
入ってすぐ奥にはピアノがあり、後ろには机と椅子が密着しておりかなり広く感じる。
梓川 妹 が
「でも、ここも七不思議あるじゃん。確かピアノで、ある音階を押すと隠し扉が開くみたいな。」
「ピアノねぇー。」
2人はピアノに近づく。
『♩ ♫』
「音は鳴るのね。」
そしてそれを知った先輩は、楽しそうに鍵盤を弾く。
「先輩!うるさいです。やめてください。」
ピアノからは物凄い不協和音が出ている。
「お姉ちゃん、流石に下手だよ。」
「ピアノは諦めるわ。」
そう言って先輩はピアノから離れる。
そして代わりに梓川 妹 がピアノに近づく。
「ピアノはね、こうやって弾くのよ。」
そして、梓川 妹 が弾き始めたのはクラシックの曲だった。
「美野里ピアノ上手いわねー。美野里には敵わないわ。」
「すごいですね。梓川 いもう•••美野里さん。」
僕は同じクラスの梓川 美野里を心の中では 梓川 妹 と言っている。
すると、梓川 妹 が、
「ん?」
ピアノを弾くのをやめた。
「どうしたの?美野里?」
「あっ、わかった。わかったよ!お姉ちゃん!」
「何がわかったの?お姉ちゃんの持っている暗号の意味!」
「えっホント?」
「うん!ちょっと暗号見せて!」
「う、うん。」
そう言って先輩は梓川 妹に暗号を渡す。
「やっぱり!」
「ど、どういうこと?」
「この、『⇨6、⇦4 FF c e 嬰c f 変c g』って最初の矢印と数字はわからないけどそれ以外は、全部音楽の記号とコードネームだよ!」
「「コードネーム?」」
僕と先輩はそう聞き返した。
すると梓川 妹は
「このFFって大文字よね。これはコードネームと混ざらないようにするためだわ、きっと。だからFFはffはフォルティッシモ意味はとても強く。だから強く鍵盤を弾くってこと。
でコードネームっていうのは、『ドレミ』の音階の代わり。よく『いろは』の音階で言うでしょ。『い』が『ド』とか。だから『c』は『ド』、『e』は『ミ』でこのよく分からない漢字は記号の和名にしたものでこの嬰っていうのは『えい』って読むの、でその意味は♯つまり半音上げる。だから『嬰c』は『♯ド』で、『f』は『ファ』こっちも同じようにいくと変っていうのは『へん』って読んで、意味は♭つまり半音下げる。だから『変c』は『♭ド』で最後に『g』は『ソ』ってこと。」
「美野里、言ってることがよく分からないのは鈴木くんも同じだと思うわ。ね、鈴木くん。」
「まぁ確かに。」
「簡単よ。ピアノさっきの順番で弾けばいいのよ。見ていて。」
そして梓川 妹はピアノの前にいくと、
「ffでド、ミ、♯ド、ファ、♭ド、ソ」
そしてピアノをその通りに弾くと、
『ガチャ、ガガガガガガガガガ』
「何か音がしましたね。」
僕がそう言うと、
「あっ、あれを見てみんな!」
先輩が指をさして言った。
先輩が指をさした方向には、
「隠し扉。」
壁が後ろへ引っ込み横にずれている。
そしてその奥には扉がある。
「僕、帰っていいですか?」
「「ダメに決まってるでしょ。」」
僕たちは恐る恐る扉に近づいていった。
音大生だったりピアノを習っている人ならわかるかな?という問題でした。
ちょっと簡単な気もしますが、難しくしても意味はないと思うので。(というか思いつきません。)
次回は隠し扉に入っていきます。
それでは読んで下さりありがとうございました。




