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陰キャの日常  作者: 陰キャ代表
第5章 燃える日常
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怖い日常

第49話 ~美智香和中学校の七不思議~


2時間みっちりやらされた。

特に話も思いつかないし、そもそも書く気のない僕には無理な話だ。

「どう何か書けた?」

そう書くのは元部長であり現部長の梓川先輩。

「書けたと思います?」

「もちろん書けたわよね。」

「まぁ、」

「ちょっと見せて!」

「あっ、待ってください。そんなに書けていないんですよ!」

「な、なにこれ?」

「その、全く話が思いつかなくて。」

そう僕の原稿用紙は2分の1しか文字がなかった。

「鈴木くん。冗談だよね。この2時間なにしていたの?」

「その、色々考えていました。」

「へぇー、色々ねぇー。色々考えていたら200文字以上行くでしょ!20000字なんて読んじゃえば一瞬よ!だから––––」

また長い説教が始まった。

説教が終わることには6時30分。

宮條さんは助けてくれることなく結局、最後の鍵締めも僕に押し付けて先輩は帰ってしまった。

書け!って言われてかけるもんじゃないとは思うのだが。というのが本音だ。

作家が編集部の人に締め切りだから早くしろって言われて書かされている作家の気持ちがよくわかる気がする。

僕は旧校舎の図書室の鍵をかけて、職員室に向かう。

2月は寒くて太陽は早く沈むため旧校舎は真っ暗だ。

幸いにも電気はこの校舎に通っているため電気をつければ暗くないのだが、蛍光灯が所々付いていなくて、結局暗い。

旧校舎というのは学校の七不思議のうち7つあるスポットだ。

昇降口前の階段の普段はないはずの地下につながる階段の話だったり、音楽室のピアノで、ある音階の音を鳴らすとなにもないはずの壁に扉があったり、理科準備室の鍵は準備室の中にある薬品棚の鍵と同じで中には普通では手に入らない危ない薬品の数々があったりなどがありこの七不思議の怖いところが、オバケ的なものが出てこないところだ。それに、それが全て不可解で隠し扉や通路系が多くてそして、たしかにこの旧校舎の構造は新校舎とは違うが、昔と今の違いだとは思うのだが。

そもそも、七不思議は勝手にピアノが鳴るだとかベートベンの肖像画が動くなどの非現実的なもののはずじゃないのだろうか。

だが僕はそう言ったものは信じないのであまり怖くない。


ギシギシいうこの建物を僕は歩いて、この階段を降りれば昇降口前に行ける階段から降りようとして角を曲がった時、

「バッ!」

髪で顔を隠してまるで貞小のような人に僕は驚き後ろへ倒れ込む。

「うわっ!」

「ククククク」

貞小は笑いこちらに近づいてくる。

僕は腰を抜かして動けない。

そして、

「驚いた?私だよー!」

そう言って顔を隠していた長い髪を元に戻すと、それは梓川先輩だった。

「はぁーはぁー。び、びっくりした。」

「そんなに驚くとは思っていなかったよ。大丈夫?」

「これで、大丈夫だと思いますか?」

僕は腰を抜かしていて立つことが出来ない。

「もぅ、仕方ないなー。はい!」

そう言って先輩は手を差し出し僕はその手を掴みなんとか立つことが出来た。

「ヤバかった。」

「ヤバイのは鈴木くんだよ。あんなので驚いて腰を抜かすとは弱いねー。」

「別にいいじゃないですか!」

「鈴木くんはオバケが怖いの?」

「そろそろオバケなんていませんよ。」

「そういう人ほど、オバケ屋敷に行ったりすると怖がるのよ。」

「オバケ屋敷なんかにそもそも行きませんよ。」

「なんで?」

「行く必要ないじゃないですか。」

「怖いからでしょ。」

「そんなことはありませんよ。」

「素直に認めればいいのに。」

僕たちは昇降口の目の前に来ると、

「ねぇ、鈴木くん。あんなところに地下階段なんてあった?」

先輩が指差したのは、昇降口前の階段だった。

そして、そこにはたしかに地下階段があった。

「えっ、これって七不思議の1つでしたよね。」

「行ってみる?」

「行きませんよ。帰ります!」

僕は、さっさとこの旧校舎から出たかったため走るも、

「待って!」

また放課後同様腕を掴まれた。

「行ってみようよ。」

「何が何でも嫌です!」

「わかった。じゃあ行ってくれたら小説は書かなくていい。」

「書くほうがマシです。」

「えっー。せっかくのいいチャンスなのに。」

「じゃあ私と手を繋げる。」

「早く帰りたいです。」

「仕方ない。ほら行くよ!」

先輩は腕をしっかりと掴み階段へ近づいていく。

僕は、さっきの脅かしや、今の状況により力が入らない。

そして、階段を下りていく。

「嫌です!今すぐに引き返してください。先輩はもっとマシな人間だと思ってました!」

「今もマシよ!ってマシ以上だわ!失礼よ!」

先輩は歩くスピードを速める。

「お願いですから、やめてください!」

「やめない。だって楽しそうじゃん!」

「楽しくないです!わかりました。素直に言います。怖いです。オバケ屋敷怖いです!」

「やっぱりそうだったのね。」

先輩は足を止めた。

「じゃあ、帰え––––」

「遅いわよ!もう時間切れ!調べ終わるまではついてきてもらうから。」

「やめてください!パワハラです!訴えますよ!」

「別に仕事してるわけじゃないしただの部活でしょ。」

「全部、パワハラですよ!6時30分まで居残りだとか聞いていませんよ!」

「鈴木くんがサボるからでしょ!それにもう着いたし。」

「えっ。」

「暗いわね。仕方ないわね。」

先輩は鞄からスマホを取り出した。

「先輩、スマホは学校に持ってきちゃダメなんじゃないんですか?」

「非常事態なんだから仕方ないでしょ!」

先輩はスマホのライト機能を使ってあたりを見回す。

「ここってボイラー室?」

そこにはボイラーが沢山ありなんのために使っているのかが謎すぎる。

「やっぱり帰りたいです!早く家に返してください!」

「ダメよ。まだ調べられていないんだから。」

すると、

『コンコンコンコン』

「先輩今の聞こえました?」

「なによ?」

『コンコンコンコン』

「えっ?」

「足音?先輩逃げましょう!」

「待って静かに!出口はあの階段しかないわ。だからゆっくり慎重に。」

僕たちは、ゆっくり慎重に来た道を引き返す。

『コンコンコンコン』

「先輩足音が高い気がします。」

「しっ!ゆっくり行くから。」

『コンコンコンコン』

「本当にマズイですって。」

「よし、階段だわ!」

すると、

「君たちなにやってんだ!」

後ろから声がして、僕たちは、

「うわっーーーーー!」

「きゃーーーーーー!」

僕たちは階段を走って登り始めた。

「先輩、どう、するんですか!」

「ちょっと、まっ、て」

「おい、君たち待ちなさい!」

後ろから誰かが追いかけてきている!

僕たちは旧校舎を飛び出して、新校舎の職員室に向かう。

少し走って、土足で建物の中に入り職員室に向かった。


「先生助けてください!」

先輩がそういうと、職員室にいた全員がこちらを向いた。

「ど、どうしたの?えっ、土足?」

そう言ったのは、戸田先生だった。

「旧校舎に地下通路があって中に人が。」

「それって–––」

「それは、私のことか?」

そう言ったのはいつのまにか後ろにいた、誰かだった。

「うわっーーーーー!」

「きゃーーーーーー!」

「そんなに叫ぶな。」

男の人はそう言う。

「えっ、この人技術職員の三原みはらさんよ。」

戸田先生がそう言った。

「そうだよ。俺はあそこで空調管理をしていたんだよ。

あそこは、職員室のボタンを押すと階段ができる仕組みで、あの中に外に置ききれない物を入れてるんだよ。特にクーラーの空調はでかいからあの中に入れてるんだよ。」

「面倒なことしないでくださいよー。」

「それはこっちの台詞よ梓川さん。どうして、土足で携帯電話を持っているのかしら。」

「あっ。」

「明日、2人とも居残りなさい。」

「「はい。」」

夏の風物詩はやっぱり怖い系ですよね。

だから強引に怖い系にしてみました。


次回は、居残りの会です。


それでは読んで頂きありがとうございました。

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