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陰キャの日常  作者: 陰キャ代表
第4章 決着する日常
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私の最後の日常は

第48話 ~卒業制作~


ある日の朝。

後、1ヶ月もしないうちに3年生が卒業。

そして、その1ヶ月後には僕たちが3年生だ。

「それじゃあ行きましょう。」

車のエンジンをかけてゆっくり徐行していく黒い車。

そして、門を出ると左に曲がり通常のスピードで走行していく。

「今日、塾の予定はありますか?」

僕は車を運転している宮條さんに聞く。

「今日はありません。今日はとても良い日ですね。」

何故良い日なのかはわかる気がする。

「じゃあいつありますか?」

「えっ?何言ってるのかちょっとよくわかりません。」

わからないのではなくわかりたくないのだろう。

「わからなくはないと思いますが。」

「いえ。わからないことはわからないのです。あっ、もしかしたら今週の木曜日休むかもしれません。」

あっ、塾木曜日だ。

「そうですか。そう簡単に専務取締役が許可を下すとは思わないのですが。」

専務取締役とは、僕の母親のことだ。

「大丈夫です。サボります!」

自信満々でいうそのセリフは、後でペナルティが下されるものだと思う。

「でも、僕を送るのは誰になるのですか?」

今まで何だかんだ言って毎日送ってくれている宮條さん。その宮條さんがサボってしまうと歩かなければならないのだろうか?

「まぁ確かにそうですが、代わりのものに任せれば。あっ、着きました。」

いつのまにか美智香和中学校に到着していた。

車を降りていつもの道を辿り2年5組の教室に到着する。

そして扉を開けると、いつもの日常が待っていた。


今日も1日が終わりに近づき早いようでもう終礼。

「キーンコーンカーンコーン」

男子学代が『起立』といい女子学代が『さようなら』という。

そして、クラスのみんなもゾロゾロと教室から出て行く。

僕も今日下を出て昇降口へと向かおうとしたが、

「ちょっと待って!」

どこかの女子がそう言った。

残念ながら女友達なんていない僕には無縁なので無視して帰ろうとするが、

「ちょっと待ってってば!」

そう言って誰かが僕の腕を掴む。

ドキッとしたが、照れ隠しのつもりで普通の顔をして相手を見る。

「あっ、先輩。」

ただの文芸部の元部長だった。

「ねぇ。言ってるのわかってた?わかってて無視したの?」

「いえ。そのただ他の人を読んでいるんじゃないかと思って。」

文芸部元部長であり現部長でもある梓川 翔子先輩に連れられて旧校舎に直行となった。

そして、旧図書室に入るとまだ誰もきていない様子だった。

鞄をカウンターに乗せて僕たちは机に座ると梓川先輩が言った。

「どうして、最近部活サボってたりしたの?」

「サボったりなんてしてませんよ。」

「そう。なら何故ここに来なかったの?」

「黒板に書いていないから。」

僕が行くのは部活動黒板に『あり』と書いている時だけだ。

「最近戸田先生が忙しくて、そんなの書いている暇がないのよ。そういう時こそ臨機応変に行動すべきじゃないの?部長として。だって今日はないけれども先週も1年生の子たちや2年生の子たちも来てたわよ。同じクラスの私の妹だって。」

いや。なんちゃって部長ですし。だとかそんなの聞いていないし。だとか言うと先輩怒るだろうな。

「聞こえてるわよ!」

「えっ?」

「なんちゃって部長でも部長でしょ。聞いていないのであれば聞きに来る。本当にそれでも社長なの?」

そういえば、梓川先輩僕の家まで原稿用紙買ってくださいと頼んでいたのを思い出した。

ちょっとは有り難みみたいなものはないのだろうか。

今度は口を閉じた。

「罰として、今日の6時までここで小説を書くように。」

「えっ?本気ですか。」

「もちろん本気よ!さぁ早くして。」

「今から2時間もですか!」

「そうよ。私が監視しておくから早く書いて!」

「えっ。まだ何も考えてない。」

「じゃあ今すぐ考える。私も書かなければならないんだし。」

「そういえば、梓川先輩は入試のテスト対策してますか。部活よりもそっちに。」

「大丈夫よ。その辺りは上手くしているから。」

「でも何度も復習しないと•••」

「だから大丈夫なのよ。さっさと書いて。」

まるで獄中にいる犯罪者が書く反省文のような時間だ。

これでも先輩は受験生だ。

入試対策しないとヤバイはずなのに平気で原稿用紙に何かを書く先輩。

「本当に梓川先生まずいんじゃないですか。卒業まであと少しなのにこんなにも遊んでいたら高校行けなくなりますよ。」

「大丈夫よ。私行くのは私立だから。」

違う。私立でも勉強しなきゃダメだ。

「それに、私は中学校生活最後なのよ。折角の青春の1ページを無駄にすることなんてできないわ。

だからね、鈴木君。私決めたの。

この中学校生活最後として私は小説を仕上げるという卒業制作をするって!」

ダメだ。この先輩。



ということで第5章では文芸部の話になります。

なんだか今回はちょっと色恋の話ような雰囲気だったと思いますが、残念ながらそんな展開にはなっていきません。

ご了承の程よろしくお願い致します。


次回は、あの続きからだと思います。


あと、次回からは『陰キャの日常if』です。

それと、『この世界のどこかで誰かは生きている』の更新ペースをもうちょっとだけ上げようかなと思っています。そちらの方も気になったら是非、読んでいただけると幸いです。


それでは今回も読んで頂きありがとうございました。


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