決着する日常〜テスト編〜
第47話 ~テスト返却~
「はい。今日はテスト返却だぞ。学年で配られている反省シートに各教科の反省を書き次に生かすようにとのことだ。ちなみに提出は月曜日だ。」
やる気のない声が一応教室に響いている。
教師の声が小さいと仕事が成り立たない。即クビだろうか?
そして、僕にその反省シートが回ってきた。
各教科に反省欄が2行程あるだけのシンプルなデザイン。
配り終え今日の連絡事項を簡単に伝え源先生は教室を出て行く。
すると、途端に教室がうるさくなる。
『マジウザい』だの、『ふざけんな!◯◯』、『マジ4◯』などの反省シートの誹謗中傷が飛び交った。
1時限目数学のテスト返却。
特に頑張ったという印象はないが、テストの点数は•••
83点
これを高得点と言わずに何という。
『真剣ゼミ』の漫画とかでたまに70点、80点取っているのにマジか。と嘆くシーンを見たことある。『真剣ゼミ』ハードル高!と思ったのはその時だろう。
2時限目、音楽。
78点
そこそこ良い点数だとは思うけれど少し残念な気がした。
3時限目、美術。
50点
色々間違えていた。
ピカソのゲルニカ、レオナルド•ダ•ウィンチの最後の晩餐。
何でこんなミスをしたのだろうか。
4時限目、国語。
いつも、苦手だった記述問題が今回は正解だった。
昼休み。
僕は机をくっつけて三佳月と昼食を食べている。
「テストどうだったでござるかー?」
「うーん。まぁまぁな感じ。」
「具体的に言うのでござる。」
「副教科がちょっと。」
「あー。副教科はほとんど勉強しないでござるからねー。」
「やっぱり、テスト2日前から勉強したのが悪かったのかなー?」
「絶対それでござるよ。何やってたんでござるか!もしかして、5教科も悪くない点数って2日にしてはってことじゃないでござるよね。」
「違うよ。80点くらいあるやつもある。」
「えっ?どうやってそんな点数を2日でとったのでござるか?教えてく欲しいでござる。」
「まぁ、家庭教師のおかげかな?」
「やっぱりお金持ちは違うでござるなー。我の家は家族が多いのでお金がいつもないのでござる。」
「何といって良いか。」
「簡単でござる。“お金あげる”とさえ言ってくれれば良いのでござる。」
「それは、なんというか無理な話だと思う。」
「無理な話を可能にするのが、鈴の音イグディスの社長の仕事でござる。」
「それは、時と場合と状況によるね。」
「お金くださいでござるー。お金欲しいなー。たまには贅沢したいなー。」
「待って待って、みんなこっち見てるから。それいうのやめて。」
周りの人たちが、俺も私も欲しいという雰囲気でこちらを直視している。
「じゃあお金くださいでござる。」
僕は小声で
「今度考えるから。」
「それってくれるのでござるか?」
「色々審議してくるよ!」
「ありがとうでござる。さぁ食べよ食べよ!」
5時限目、理科。
化学式だの化学反応式だのややこしい問題が多かったテストだが、
85点
という点数を叩き出した。
6時限目、技術。
先生もテストして次の日に採点しているので目に隈ができている。
先生がヨボヨボの声で、
「それではてすとかえします。」
と言い重労働だったことがものすごく伝わってくる。
ちなみにテストの点数は
50点満点中40点だった。
2日目。
あとは、英語、社会、家庭科、体育だがどうだろうか?
英語。
72点。
いつもにしてはそこそこ良い点数でラッキーと思うところだが、他のテストが80点台が多いのであまり嬉しい他は感じなかった。
社会。
81点。
歴史分野のみのテストだが、人の名前を覚えるのがあまり得意ではないので、その分の点数が落ちてしまった。
家庭科。
50点満点中32点。
特にいうこともなく、裁縫の知識が不足していたくらいだろうか。
最後は体育。
運動の技能の面ではいつもながらA、B、C評価でいつもCの最低評価を頂いているが筆記の面ではそこそこ良い点数だ。
80点。
特にダメだ。という箇所もなく保健、実技の面で同じくらいの出来だった。
テストが全て返却されて、家に帰ると玄関に最上さんが腕を組んで待っていた。
「お帰り、稜駿君。さぁ点数を見せてもらおうじゃないか。」
「はぁ。」
なんだろか?
父親気取りなのか威厳があるという雰囲気が出ている。
「すごいじゃないか。」
部屋で点数を見せるとどの点数も高得点だったため頭を撫でてくれている。
久々に嬉しいと感じた。
「でも、社会は人名と特に時事問題が良くないね。例えばこの問題。『アメリカが中国などの共産主義国家に経済制裁として貿易をしなくなりました。貿易をしなくなることで生じる問題をなんと言いますか。』これは、ニュースを見ていればわかる簡単な問題だし、習ったと思うんだけどな。これは『貿易摩擦』特定の国に急に輸出や輸入を制限やストップすることだよ。ニュースしっかり見よう。」
このように社会だけでなく、英語や国語、数学などのポイントを詳細に教えてくれた。
反省シートの参考にというか答え出させていただきます。
テストも終え最上さんも泊まり込みでの仕事も終わり。
宮條さんは猫のように最上さんを警戒し、とっとと出て行けと目が言っていた。
「ほぼ1週間ありがとうございました。」
最上さんが僕にそう言う。
「いえいえ。勉強を教えていただいてこんな点数も取れたことだし全然良いですよ。」
「じゃあもう1週間、と言いたいですが、佳奈が嫌そうな顔をしていますね。」
?佳奈?
「佳奈って宮條さんのことですか?」
「まぁ、はい。それじゃあ1週間ありがとうございました。」
そうして最上さんが出て行った。
「ちょっと最上さんを送ってきます。」
宮條さんが最上さんの後を追いかけるようにして玄関を飛び出す。
絶対に何かあるなと気になるが一直線の道で話が聞こえるくらい近くで尾行するのは無理があるだろう。
僕は扉を閉めて、反省シートを書くことにした。
今回も読んで頂きありがとうございました。
全く関係がわからなくなってきた佳奈と悟はまたしばらく登場しません。
次回は第5章の前触れのような話です。
2年生の集大成を飾るのは、あの人たちです。
もしかしたら第6章もその話かもしれません。
ではでは2回目ですが、今回も読んで頂きありがとうございました。




