避けろ! 塾のある日常!
第四話 ~下校~
あれから、三佳月からノートを返してもらい、昼休みを読書で時間を潰す。
それから、5、6時限目の授業も耳から通して耳から出す。という作業を繰り返し、既に終礼の時間。
学級代表の男女二人が、終礼の進行をする。
「それでは、終礼を始めます。 礼!」
そう男子 学代(学級代表)がそう言い、クラスのみんなが一礼する。
「では、明日は・・・」
変わって女子学代が話し始める。
僕は、この話も耳から通して耳から出す。
「それでは、終礼を終わります。 さようなら。」
「「「さようなら。」」」
クラス全員でそう言い、ゾロゾロみんなが教室から出ていく。
「それじゃ鈴木、また明日ー。」
三佳月がそう言ったので、
「うん。また明日。」
と、僕が言い返す。
僕は、日直だったので、最後まで教室に残り教室の鍵をかける。
そして、鍵を職員室に持っていくため、歩き出す。そのとき、
「ピーンポーン」
放送のアナウンスが学校中に響き渡る中、
「二年五組 鈴木 稜真君、職員室に来てください。」
「ピーンポーンパーンポーン」
ん? えっ!
何故だ。特に何もしていないし、呼び出されるほど何かすごいことをした覚えがない。
そのまま、職員室へと再び歩き出す。
「コンコン」
「失礼します。二年五組の鈴木です。」
僕がそう言うと、
「あっ、鈴木君こっちこっち。」
そう言った職員室にいた先生が手招きする。
そう促されるまま、先生の方へ行くと、母親がいた。
「すみません。ありがとうございました。」
母親がそういう。
何でいるの?
鈴木 真由子四十二歳。父親とともに共働きだ。
「いえ。それでは。」
先生が立ち去ろうとするが、
「あの、先生。これ二年五組の鍵なんですが、直しておいてくれませんか?」
すると先生が、
「はい。わかりました。」
そう言って、僕から鍵を受け取り、今度こそ立ち去って行った。
「で、何?」
僕がそう母親に尋ねる。
「あっ、そうそう、今日の朝言うの忘れててさ。《塾にいくよ》って。いや稜真のことだからが学校の他の人と会いたくないかなって思って、学校の終わったすぐだったら、だいじょうぶかな。って思ってね。
はい!だから今から行くよ。」
そのために、わざわざ学校まで来てすることなのだろうか?
それに、仕事は、どうした?
そんな疑問にかまうことができないくらい切羽詰っているのか、急いで学校の駐車場に停めてあった車に乗り込む。
そして勢い良く車が走り出した。
ポツンと佇む一軒家。《最上塾》についた。
車を最上塾近くの駐車場に停めて、歩き出す。
僕はしばらく無言のまま、歩きやがて、「帰りたい。」とぽつりと呟く。
オレンジ色の夕日に僕と母親が照らされる。僕が母親の影に隠れるように歩く。
そしてとうとう、扉の前。
母親は、何の躊躇もなく扉を開ける。
「すみませんー。」
母親の大きな声が塾内に響く中
「はーい。」
と大きな声がまた塾内に響く。
塾には誰もいないのか、さっきの人の声以外何の音もしない。
そして、とっても爽やかそうなイケているメンズが出て来た。
「こんばんは。鈴木さんですよね。今回は体験授業ということで、よろしいですか?
あっ、私塾長の最上 悟です。よろしくお願いします。」
「はい。よろしくお願いします。 ほら、稜真も!」
「よろひくおねがいします。」
陰キャの人のほとんどが患っている《人見知り》 それが、もう炸裂中。
それに、気を使ったのか、最上さんは、
「心配しないで、大丈夫。 では、さっそくはじめましょう。」
「はい。それでは、私には、まだ仕事が残っているので」
そう言い残して、母親は出て行った。
「じゃあ、この椅子に座って待っててね。」
「はひ。」
授業は、わかりやすかった。
だけど、塾には通いたくはない。理由は、単純で勉強するのが嫌だから。
まだ、体験授業だから、通うとは決まっていない。
どうにかしてやめさせなければ!
母親が迎えに来た。
「あっ、お母さん塾の手続きはまた後日お願いします。」
最上さんがそう言う。
「はい。わかりました。」
よし!これで説得できる時間ができた。
「それでは、さようなら。
「しゃようなら。」
家に着き、さっそく母親が尋ねてきた。
「どう、よかった最上塾?」
「よくない。あの塾宿題は多いし、わからなかったこと聞いてもわからないとなれば逆ギレされるらしいし。」
そう、僕は適当に嘘をついた。
「えっ・・そ、そう。まあわかったわ。もう少し様子を見て、稜真の成績が落ちた時点で即最上塾行きだから。」
「わかった。」
はぁ、勉強頑張ろう。
思ったより軽い話でした。
まだまだ重い話のはずだったのですが、嘘ついてばかりですね。
次回は、前期学級代表、現在、生徒会会長のすごいお友達の登場です。(嘘ではありません。)
それでは、今回も「陰キャの日常」を読んで頂きありがとうございました。