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陰キャの日常  作者: 陰キャ代表
第4章 決着する日常
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変わらない日常

第42話 ~意味のない審議~


もう、木曜日。

今の今まで進展のなかったはずの審議にある刃が瀬尾に向けられていた。

「お前、俺たちの班に睡眠薬を入れただろ。」

寺野が指をさしてそう言う。

「なんのことなのかさっぱりわからない。睡眠薬?なんでそんなものがあるんだよ。」

「お前の実家は医者なんだろ。睡眠薬くらい簡単に手に入るはずだ。」

「そんなの言い訳だ。むしろ僕は被害者だ。お前たちに殴られた!」

「そうなのか?」

今まで黙っていた緑川先生が口を開いた。

「そんなわけありません。瀬尾を殴ってもなんのメリットもありません。」

寺野がそう言う。

「じゃあ誰が殴ったんだ?」

「それは、瀬尾自身です。」

みんな耳を疑った。僕も疑った。

「言い訳にもほどがあるぞ。何故、自らを殴る必要がある?」

「それは、俺たちに暴行されたと訴えるためですよ。そのために睡眠薬を飲ませて暴行する口実を作ったんですよ。つまり全て自作自演の行為だったんです。」

「それを裏付けるものはあるのか?」

「••••••」

寺野は黙り込んでしまった。


まるで裁判だ。

寺野が訴訟側、瀬尾が被告側、緑川先生が裁判長で、僕たちが傍聴人。

自分の無実をはらすと同時に犯人を決めつけて、相手を蹴落とす。それを見て審議を決める緑川先生。


黙っていた寺野が柳の手を取りその手を挙げて、

「この人が、証人です。」

「⁉︎」

寺野以外全員がびっくりしていた。

「どうしてそう言い切れる?」

「この人は全てを知っているからです。」

「じゃあ説明してくれ。ちなみに嘘がつきバレてしまった場合には、それなりの“減点”対象となるからな。」

この言葉に柳は小さく微笑み話し出した。

「仕方ありませんね。私が瀬尾に指示しました。『私を楽しませて』と。そして瀬尾は小さな頭脳でこう解釈したようです。『私が1番になるために手助けをして』それは大いなる勘違いですが、瀬尾はそれをやり遂げようと、寺野さんの班に睡眠薬を仕掛けました。そして、私達が下山している途中に『忘れ物がある』と言い戻りました。ねぇ皆さん。」

そう柳の班に向かって言うと瀬尾以外全員頷いていた。そして、瀬尾は絶望の目で柳を見ていた。

「そのあと私は瀬尾のことが心配になり戻りました。もし、ゴールの条件が全員でゴールすることだったらいけませんので。

すると、瀬尾くんはキャンプ場には戻っておらず山道の少し陰になっているところで、自分を殴っているところを見ました。そして、倒れた瀬尾を起こそうとしましたが、残念ながら寺野さんの班がこちらに向かってきていたのでその人たちに見つかるとあの毒キノコの件で責められると思った私は、瀬尾をあの人たちに任せて先を急ごうと判断しました。

つまり寺野さん一行は瀬尾を殴っておらずむしろ被害者だと私は思います。」

そうして、柳が説明を終えると緑川先生は、

「だから?」

「「えっ?」」

寺野がそう言った。

「お前ら2人見損なったぞ。今回のルールはルールなしだ。瀬尾が自分を殴ろうが睡眠薬を入れようが、犯罪にはならない。事件の謎が解決できてもこの審議の解決には至らない。つまりお前らは今まで、ごっこ遊びをしていただけだ。

論点を見失うな。」

「至らないところがありすみませんでした。」

柳は緑川先生に深々と頭を下げた。

「以降気をつけるように。」

「わかりました。」

みんなこの光景を見て、訳が分からなくなっていた。

何故、柳は怒られたわけでもないのに頭を下げたのか?と。

「じゃあ結局どうすればいいんだよー。」

小松原がそう言うと緑川先生は、

「簡単だ。自分たちで決めるか、私達の方で勝手に決めるか。

これでふりだしだな。明日が最終日だからな。期待して待っているよ。」

そう言って緑川先生は会議室を出て行った。

「あーーー。もうどうすればいいんだよ!」

寺野が頭を掻きながらそう言う。

「私も恥を晒してしまいましたね。わかりました。この恥を挽回するために私も手伝いましょう。」

「おう。助かる。」

寺野が心強い声で言った。

「まずは整理をしましょう。私と寺野さんの班で成績を分けると。でどちらも成績は欲しくないため、結果私達は成績を貰わないためにはどうすればいいのか。」

「そうだな。じゃあどうやって成績を貰わずに済むのか•••」

寺野と柳は自分たちの世界に入り込んだため2人以外全員会議室を出た。


「じゃあまた明日。」

「また明日でござる。」

僕と三佳月は昇降口で別れて車に向かう。

そして、いつも通り車に乗り込む。

「おかえりなさい。どうでしたか審議の方は。」

「今日は裁判みたいになったのですが、結果有罪も無罪もそもそもなかったみたいな展開で話についていけませんでした。」

「そうですか。私も成績欲しいかったですね。いつも3ばっかりでしたから。」

「でも今は関係ないんじゃ•••」

僕は言葉を濁らせた。

「どうかしました?」

「あのー。明日、ちょっと学校に来てもらえますか?」

「まぁ、いいですけど。」

僕はあることを思いついた。



いよいよ次回、校外学習編が決着します!

第4章になっても中々止まらない校外学習編でしたが、次回やっと終わりを迎えます。

鈴木がどんな案を思いついたのか。

わかる人はわかると思います。

まぁ楽しみにしておいてください。


じゃあ残りの5話分はどうするのかというと、第1章を見返すとわかるかもしれません。


それでは今回も読んで頂きありがとうございました。

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