陽キャと陰キャの日常〜はじまり〜
第40話 ~不安~
昇降口前で、僕と寺野が座っている。
『1、2、1、2』
と外回りをしている運動系の部活の人達の声が響く。
そんな中寺野が、
「なぁ、鈴木。俺って何だ?」『1、2、1、2』
寺野がそう言った瞬間そう無機質な声とともに混ざる声。
「俺はお前らとは違う。リーダーを押し付けられて仕方なくリーダーをしていたが、地図の読み方もわからないし、料理だって出来ない。人を助けることもできないし、成り上がることもできない。俺は何でもない存在なのか?
なぁ鈴木、俺はわかったよ。俺はこの校外学習で俺は何でもないことを。
この校外学習でみんなが活躍した。鈴木だってヘリで迎えに来て1番になることができた。
でも俺は何だ?
リーダーという存在ながら無力で何の価値もないただの人。
何でみんなそんなすごい才能を持っているんだ。
俺は班すら統率できない愚か者。
なぁ鈴木教えてくれ。
『俺は一体何なんだ。』」
寺野は、悩んでいる。
自分という存在は一体何なのかということに。
もちろん寺野は寺野だ。
それ以上でも以下でもない。
寺野は何を言ってるんだろうか。
「寺野は、寺野 忠彦は英雄だよ。どうしてずっと元に戻したいのかが全くわからなかった。何のために元に戻そうとしている理由が全くわからなかった。
でもわかった。
寺野は、みんなに幸せになってもらうために元に戻そうとしたんだと思う。
おかしな教師のせいで今日みたいに班に亀裂が入ることを恐れていたんじゃない?
毒キノコだとか、他の班の騙し合い、睡眠薬だとか全部普通なら考えもしないし、やらない。だけどこの校外学習はやった。
その理由ってルールがないからだと僕は思う。今回の校外学習のルールは『校則、法律に違反しないもの』だったと思う。もしこれが、『一般の常識で考えて禁止されているもの』だとしたら、毒キノコも騙し合いだとか睡眠薬なんてものは絶対なかったと思う。
だから思ったんだ。人ってルールがなければどこまでも凶暴になるって。
だからおかしな教師から僕たちを幸せにするために成績もすべていらないって言ったんじゃない?
そう思うと、寺野は英雄だよ。」
その言葉に寺野は苦笑して、
「そうか。鈴木はそう考えるんだな。なんかもう吹っ切れたな。ちっぽけな悩みだったと思うよ。
俺は何のために元に戻したいかというと、もちろん鈴木の言ったこともあるかもしれないが、俺は鈴木と仲良くしたかったんだと思う。
俺たち幼馴染だろ。なのに何にもない。『お久しぶり』だとか、『元気だった』とか言う言葉なんて一言もなく気づけばもう3学期じゃねぇか。そんな何にもないことに俺は嫌気がさしたんだと思う。だからたまに話しかけていたが、中々そう言う思いは伝わらないな。そして鈴木は突然俺たちとはかけ離れた存在になった。
折角仲良くなろうと思ったのにどこか遠くに行くようで、俺は決意した。校外学習で仲良くなろうと。
まさかこんな感じで仲良くなるなんて思いもしなかったが。」
『1、2、1、2』
また運動系の部活が声を上げて走っている。
「ふぅ。じゃあ俺は帰るわ。また明日鈴木。」
「うん。じゃあね。」
僕たちは別々の方向に向かっていった。
校門の前あたりに黒い車が止まっている。
僕は扉を開けて、車の中に入る。
「今日は遅かったですね。何かあったのですか?」
「あぁ。あの校外学習の件がまだ残ってたじゃないですか。あの審議をしていたんですよ。これからは、3時50分くらいに来てくれるとありがたいです。」
「いいえ。いつも通りの時間に来ますよ。だって私が断る理由なんてないですしこれが仕事ですから。」
「そうですか。」
「じゃあ出発しますね。」
車はUターンして走っていく。
僕はつい愚痴を宮條さんに言ってしまう。
「あの緑川先生はなんであんなことしているんでしょか?」
「あの先生は昔から変な感性を持っているんですよ。」
「どういうことですか?」
「私、美智香和中学校の卒業生ですから。あの時から緑川先生はいて、普通の先生とは変わった先生でしたね。」
「こんな校外学習はありましたか?」
「いえ。私は緑川先生の学年ではなかったので、わかりませんが噂では、教育委員会を牛耳っているらしいですよ。」
「そうなんですか。」
それから僕たちは屋敷に帰るまで、喋ることはなかった。
ルールは必要ですか必要じゃないですか?
今回の話を読んでもらうと、なんとなく必要という傾向にあるかもしれません。
(twitterで投票を募集してみます)
ルールは何のためにあるのか。解なんてものは無いと思います。だからこの話は1つの案であり案は無数にあると思います。
だから皆さんが考える案がある意味正しいと思います。
だからこの話は参考程度に考えてもらえればいいなと思います。
次回は、水曜日と木曜日の審議についてです。
2日分一気にやるような感じです。
いよいよ決着がつく頃だと思います。
それでは今回も読んで頂きありがとうございました。




