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陰キャの日常  作者: 陰キャ代表
第4章 決着する日常
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満たす日常

第37話 ~買い物~


校外学習学習を終えた僕達に待っていたのは、三連休だ。

久しぶりに休日を満喫することができる気がする。

土曜日。

平日よりは遅くに起きたかったが残念ながら叶わなかった。

いつもの時間に宮條さんが起こしに来ていつもの時間に朝食を食べる。

想像とは違う。

優雅に勝手気ままに食ちゃ寝をしていたいが現実はそう甘くないようだ。縛られた生活。今まで過ごしていた環境が違いすぎたのだろう。

そして朝食を食べながら宮條さんが、

「家電買いに行きましょう。」

「いいですね。この家は色々ありません。」

「まぁそうですね。」


ということで、僕達は着替えて車に乗り込み早速出発するが僕が、

「前の家に寄ってもらってもいいですか。」

と宮條さんに頼み僕は前の家に行った。

普通の住宅地にある普通の二階建ての家。

表札には鈴木と書かれた文字。

僕は深呼吸をして家の中に入った。

家の中は最後に母親と家を出る時と変わらず色々散らかったままだ。

引っ越して来たがこの家にも思い出はたくさんある。

たった2年でまた引っ越しするなんて引っ越して来た当時は誰も思いもしなかっただろうな。

僕はちょっと気になって冷蔵庫を開ける。

中には何も入っていない。

「冷蔵庫の中身などは、処分したり屋敷にお持ちしました。」

宮條さんがそう言う。

中で悲惨なことになることはないみたいだ。

僕は二階へ上がり自室へ入る。

中は衣類などはなかったが、勉強机やベットといったものは全て放置されたままだった。

あと勉強道具もだ。

勉強道具は流石に屋敷へ持って行こうと思いそれらを持ちあちこちを見回りながら家を後にした。


「次は家電量販店ですね。どこに行きます?」

「オヤマダ電気でいいですよ。」

「わかりました。」

僕達は近くの『オヤマダ電気』まで行くことにした。

「いらっしゃいませ!」

明るそうな店員が、笑顔で僕達を迎えている。

そして、僕達の後をその店員さんは付いてくる。

しかも“付いて来ていない。同じ場所に行くだけだ”

という雰囲気で真っ直ぐ付いてくるわけではなく少し寄り道したり回り道をして付いて来ている。

スーツ姿の宮條さんにラフな服装をしている僕があまりにも歪で、注目されるのはわかるがもう少しというかついてこないで欲しい。

まずはテレビから見ることにした。

あまりテレビのことについて詳しくはないが4Kや5Kといったものが流行なんだとか。

目の前で詳しく説明してくれている先程から付いて来ていた店員が説明する。

何がいいのか?

正直4Kも5Kも大差ないような気がするが画素数というものが違うらしい。

5Kの方がより鮮明に映るらしい。

そして宮條さんが、

「どうしますか。何か気になったのとかありますか?」

「まぁはい。」

「何ですか?」

店員も興味津々に聞こうとしている。

「『Sorry』の『brand』の5Kですかね。『Sorry 』って『pz4』を作っている会社ですよね。そこのテレビだからゲームもしやすくなるんじゃないかなと思ったんですけどまぁいいです。」

だってお高いんだもの!

こんな額を見るの初めてだ。

「お客様!大変お目が高いですね。こちらの商品お客様の言う通り『Sorry』のテレビでございまして、『pz4』の親会社でそれに対応した機能も付いております。そしてこちらの商品今即決でご購入になられるのであれば、この額を15%割引させていただきこの額でご提供いたしますがどうなさいますか?」

この店員目がヤバイ。なんだかちょっと鼻息も荒い気がする。

そして宮條さんが、

「これでよろしいのですね。」

僕に聞いて来たので、

「まぁ額があれなんで別に•••」

「買います。」

別にいい。と言おうとしたら宮條さんが即決で買うようだ。

は?

意味がわからない。

だってこんな額。

それは、店員も同じで汗が吹き出しており興奮状態なのだろう。

「あーりがとうございます!ではお支払いのためカウンターまでお越しください!あっ、申し遅れました私は滝沢たきざわです。よろしくお願いします。」

カウンターまで移動して、なんだかよくわからない書類を滝沢さんが持ってきた。

「よろしければこちらにサインを後お支払い方法をお選びください。後、こちらのテレビは後日配送致しますのでお待ち下さい。」

そして宮條さんが、

「あのー。すみませんこれにサインしてもらっていいですか。」

宮條さんが僕にペンを渡して来た。

「お支払いする人がサインしなければならないようで。私はお支払いのお手伝いをすることができないので、サインお願いします。」

「はぁ。」

よくわからない書類に一通り目を通してサインして、1番下にお支払い方法を選択する部分があった。

「あのー。お支払い方法って何ですか?」

「あっはい。クレジットカードです。」

僕はお支払い方法の欄にクレジットという枠に丸をして店員に渡す。

「あれ?先ほどの女性の方ではないのですか?」

「購入するのはそこの人なので。」

宮條さんがそう滝沢さんに言った。すると、

「あーりがとうございます!ではこちらの書類とカードをいただいてよろしいですか。」

宮條さんは持っていた鞄から小さな箱を取り出して、中に入っていた黒いカードを差し出す。

「こ、これは•••」

滝沢さんは驚いた表情で、今にも倒れそうになっている。

ブラックカード。これは対応していれば一括でなんでも好きものが買えてしまう魔のカード。

ある特定の裕福な層でしか作れないそのカードは、一般の人がお目にかかるのは一生ない代物だ。

「し、少々お待ちください!」

滝沢さんはすぐさまその場を立ち去り、会計を済ませて戻ってきた。

「大変長らくお待たせしました!では本日は『オヤマダ電気美智香和店』をご利用頂き誠にありがとうございました!」

と見送ろうとするが、

「私達まだ帰りませんよ。」

「えっ?」

滝沢さんは「大変申し訳ございませんでした!」

と謝っていた。

その後もephoneで有名なmelonが出しているAlexを買ったり新しい『pz4pro』を買ったりして沢山のお金を散財した。


父親の最期の手紙で『欲』について言われたのに僕は何をしているのだろうか。

わざわざ5Kのテレビなんか必要だったのか。

なんだか少し後悔した気分になった。



類似した商品名があってもそれは9割9分9厘偶然です。残りの0.1はそういうことです。


次回は、日曜日を飛ばして月曜日の出来事についてです。

ある人物たちが屋敷を訪ねてきます。

そして、ある会議を開きます。


それでは今回も読んで頂き誠にあーりがとうございます!


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