校外学習での日常〜1つ目の課題編Part I〜
第29話 ~ゴールまでの道のり~
建物を出て山道までは、全員で行くがそこからは班で行動しなくてはならない。
「しゃーない。やるか。」
鬼龍院は面倒臭そうに言う。
「そうでござるな。」
そう三佳月が言うと鬼龍院は三佳月を睨んだ。
「ヒッ!」
「まぁまぁ、鬼龍院。班がこんなにもバラバラだったらことが進まないぞ。」
そう三佳月のホォローする寺野。
なんだろうか。
寺野ってこんなやつだっただろうか?
そして、山道の入り口に着くと、
「おーい。地図係!こっちにこーい。」
緑川先生が大声で叫び、小松原がスタスタ緑川先生の方へ行く。
「ねぇねぇ、鈴木殿。本当にこんなのやるのでござるか?」
三佳月が聞いてくるが、そんなの僕にもわからない。
「多分そうなんじゃないのでござるかー?」
僕がちょっとふざけて言ってみると、
「おーー!鈴木殿も『ござる道』始めたのでござるか?」
なんだ?その『ござる道』って
「いや。始めない。」
「そうでござるかー。」
「いや。三佳月さんもその『ござる道』やめた方がいいよ。」
僕がそう提案するも、
「ダメでござる!それだけは譲れないものなのでござる。」
なんだろうか?この説得力のなさ•••
「おまたせー!」
おかしな話をしている間に小松原が戻って来た。
「どこへ行くか決まったか?」
寺野がそう聞く。
「おう!わかったぞ!A地点だってさ。」
どこだよ?そもそもA地点って?
「おい、それどこなんだ?」
寺野は、僕の思っていることを口にした。
「このマップを見ればわかる。」
そう言って広げるマップ。
僕たちはそれを見る。
••••
わからん。
このマップ、上級者用だ。
等高線だとか、気圧のどうたらこうたら•••
サッパリわからん。
そして、鬼龍院は
「これでわかるのか?」
と聞き小松原は、
「うんん!サッパリ!」
「マジかよ。」
どうやら鬼龍院は失望したらしい。
だが、寺野は、
「この中で、このマップの読み方わかるやついるか?」
リーダーの鑑とも言えるその行動により、
「“我”ちょっとわかる•••でござる。」
三佳月がゆっくり手を挙げる。
「「「マジで!」」」
陽キャ組が一斉に声を揃える。
そして、三佳月がマップを見ると、
「北北西の方角だね。目印は、誰か、コンパス持ってない?」
久しぶりに、三佳月の普通の姿を見た気がする。
みんなが、コンパスを見つけるため必死にリュックサックやポケットを手当たり次第探すがない。
だが、寺野が、
「ちょっと待て!鈴木が持ってるポーチの中に入っているんじゃないか?」
そう言われて、僕はポーチの中を探すと、
「あった。」
僕はコンパスを三佳月に渡す。
そして、
「ありがとう。
あっ、ござる。」
完全に忘れてるではないか?
『ござる道』なんてものはなかった。
「目印は、あの鉄塔だ•••でござる。あの奥にそのゴールがあるよーーでござる。」
なんだかとても醜い。
もう普通に喋ったらいいのに。
そして、寺野が仕切り直しの「パチ」と手を鳴らし、
「それじゃあ、この校外学習頑張るぞー!」
「「「「えっ?(でござる)」」」」
寺野ってこんな人だったけ?
と今この班全員が思っただろう。
あの、やけにおちょくるあの性格はどこへ言ったのだろうか?
そして、僕たちは山を登り始めた。
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「あのポーチがなきゃ何にもできない!コンパスもあの中だよな。」
「そ、そうでござる。でも地図はここにあるでござるよ。」
「おい。あれってそのポーチじゃないのか?」
「えっ?」
「なんでゴルゴが持ってるんだよ!」
「わからないでござる。とにかくあれを取り返さなくては!」
「クッソ!なんであんなにゴルゴはすばしっこいんだ!」
「これは、現実?夢?」
「おい!小松原しっかり•••えっ?なんでこんなところに•••」
ゴルゴ•••
別にスナイパーは使いません。
いよいよ登山開始です。
山あり谷ありの校外学習で(どちらかというと山ばっかですね。)果たして1つ目の課題クリアなるのか?
次回は、登山をしているだけの回ではありません。ちゃんと問題もあります。(この言葉遣い間違ってますね。)
それでは、今回も読んで頂きありがとうございました。