校外学習での日常~出発編~
第27話 ∼説明∼
「二年生集合だー。」
学年主任の緑川先生がそう呼びかける。
そして、ゾロゾロと二年生が集まり、クラスごとにそれぞれ並ぶと⋯⋯
「それでは、今から『深めよう、仲間の絆。考えよう、臨機応変に。楽しもう、校外学習。』を開始する。」
ネーミングセンスを疑うようなタイトルだ。
もちろんみんな何も言わない。ただ「シーン」と悲しい時間が過ぎていく。
緑川先生は、少し動揺したが、気を取り直して
「今回の目的はわっかっているよな。タイトル通り、協調性、臨機応変そして楽しむ。最初の二つは、これから社会に出る上で最も必要なことである。だから覚悟して挑むことだ。そして、これが二年生最後の校外学習となる。さっきのことも重要だが楽しむことを忘れるな。それでは今からすることや詳細の説明をする。実行委員よろしく。」
実行委員は神楽坂さんだった。
「それでは、今から『深めよう、仲間の絆。考えよう、臨機応変に。楽しもう、校外学習。』の説明をします。 まず、今からそれぞれの班に分かれてください。」
そう言いみんなが各班に分かれそれぞれ固まると、先生が各班に1枚紙が渡された。
「それに班長、副班長、美化、救急、地図に分けてその紙に名前を書いてください。」
救急?と思ったがみんな何も言わないので、スルーする。
「どうする。誰が班長する?」
寺野が初めにそう切り出した。
「お前でいいんじゃね?1番リーダーシップありそうだし。」
鬼龍院がそう提案する。
「俺も賛成ー」
それに続き小松原も賛同する。
そして、僕と三佳月も頷く。
「そうか。じゃあやるか。」
寺野がそう言ったので次は副班長を決めることとなった。
「副班長は、君がいいと思うな。」
寺野はそう言い鬼龍院を指さした。
「お、俺か?」
鬼龍院が戸惑ったように言う。
「ああ。お前だ。これは班長命令だ。」
寺野がそう言い、紙に鬼龍院の名前を書く。
「言っとくけど、俺は何もしないからな。」
そう鬼龍院は言う。
「次は、美化だな。これは三佳月だな。」
寺野は独裁政治を始めた。
「えっ。ま、まあいいよ。」
三佳月はもう諦めたようだ。
「救急は、鈴木。お前だ。」
「わっかた。」
僕は、特に何も言わずにその役目を務めることにした。
「残るは⋯⋯」
寺野が小松原の名前を言いかけたその瞬間、
「ちょっと待ったーーーーー」
小松原が寺野の言葉を止めた。
「俺は、美化がいい。だって特に何もしなさそうだから⋯⋯。」
だが寺野はそれに応えようとはせず、
「お前は、俺を班長に指名した。俺の意見を聞かずにな!なのにお前らを好きなところに行こうだなんて俺は許さない!」
寺野は執念深いようだ。
「わっかたよ。やればいいんだろ。」
小松原は諦めたようだ。
班員の名前を寺野が書き先生に渡しに行く。
しばらくして、神楽坂さんは、
「全部の班の名簿が集まりました。それでは、今から校外学習先に向かいたいと思います。」
そして、僕たちはバスに乗り込んだ。
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山奥で、
「おい!しっかりしろ!」
「いや。ほっとけそんな奴!」
「おい!なんてこと言うんだ!」
「俺は、宮條さんに会いたい。」
「ど、どうしてこんなことになったのでござるか?」
まさか、この校外学習がこんなにも過酷だなんて、バスに乗るときは僕は想像もしていなかった。
まだ出発しませんでした。
次回も出発してもゆっくりゆっくりと話は進んでいきます。
次回も説明partⅡみたいなものだと思います。
まあ、もう少し話は進むと思います。
短いですが、今回も読んでくれた方ありがとうございました。




